第25話-3 中間試験勉強会-3
大皿に焼きそば、焼きうどんそれぞれ3種類大盛りにして出した。後はみんなで取り分けて食べることに。トッピングに紅ショウガや青のり、花かつおも出して好きに使ってもらう。
「「「「「美味しい」」」」」
「「「美味いな」」」
「足りないならまだ作るからどんどん食べてくれ」
「市販のタレとかでこんなに美味しく出来るんだね」
「ああ、市販のタレとかは濃い目の味付けになってるけど大体美味い。
薄味が好きな人はいろいろ調整した方がいいけどな」
「そっか。でも料理自体あんまり出来ないから出来るようになった方がいいのかな?」
女子が料理出来て当然出来なきゃいけないって思っちゃってるクチかな、山本さんは。
うちはパパが教えてくれたから大ちゃんも直くんも出来るけど、おじいちゃんはそんなに出来ないから。男子だって好きで覚えたりしてるんじゃないと出来ないよ?
「出来た方がいいけど別に出来なきゃってほどではないんじゃない?山本さん」
「江藤くん……」
「うちの母ちゃんは市販の料理の素使ってることが多いし、野菜を切って焼いたり炒めたり出来るれば十分じゃね?」
「そうだよな、うちの母さんも肉や野菜を切るだけで、調味料の入った袋に入れて電子レンジでチンしてたりするよ」
「後藤くん……ありがとう」
「料理はやらないと出来るようにはならないから、簡単なのから作ってみればいいんじゃないかな?」
「うちのママは味付けが下手だったらしいよ。パパに教えてもらいながら何度も作って覚えたって。咲良ちゃんもそうだよ」
「服部さんのお母さんもそうだったんだ。でも、橋本もってどういうこと?」
咲良ちゃんに料理を教えてるのは誰にも言ってなかったね、そういえば。
でも、山本さんも安心したみたいだし、作って覚えればいいんだからゆっくりやっていけばいいから。
焼きそば、焼きうどんは結構な量を作ってたけど、全てみんなのお腹の中に消えていった……
後藤くんも江藤くんもかなり食べるのね。
その後はしばらく食休みで、勉強部屋でクロにご飯をあげながらいろいろ咲良ちゃんの料理の失敗談で盛り上がった。
食休みも終わり、試験勉強を再開する。
クロは休み時間に思いっきり遊んでもらったから満足したみたいで、隅に置いてあったお気に入りのクッションの上で寝てる。
午後も質問に対して教えていく形で勉強を進める。理数系以外に英語関連の質問が後藤くんと江藤くんから出た。
「英語って苦手なんだけど、どう勉強すればいい?
サッカーやってるから夢は海外でプレーしたいって思うし、そうじゃなくても海外で仕事してみたいんだよな」
「俺も俺も。無茶言ってるけどMBAとか夢は海外で、なんだよな」
「服部や河合はどうなんだ?将来」
「俺はサッカーで海外とか目指してはないな。父さんと同じようなIT関係の仕事をしたいと思ってる」
「僕もかな。IT関係で海外で仕事をするってのもいいけど、そこまでは考えてないよ」
「宮崎は?」
「僕は英子ちゃんと同じ獣医とか動物に関わる仕事かな。父さんの跡を継ぐってわけじゃないけど、英子ちゃんの仕事の手助けをしたいかな」
直くんが私のお仕事の手助けが出来る仕事に……か。嬉しいけど自分が本当にしたい仕事をしてくれていいと思うんだけどな。
いつも私を優先してくれるけど、本当に本当にしたいことがいつか出来るんじゃないかと思うと私が邪魔をすることになったら嫌だ。
「宮崎らしいけど、自分が本当にやりたいことが出来たら悩むことになりそうだ」
「大丈夫だよ。英子ちゃんが1番だから」
「話しがそれたけど英語については先ずは苦手意識を解消するところから始めた方がいいだろう。
橋本さんと小林さんが今実践してるけど、橋本は効果が出てるらしい。橋本のお母さん情報だけど。
小林さんはどう?」
「私も楽しみながら英語の勉強が出来てるから少しが良くなってるよ。ただ、実際に会話するとなるとリスニングとかで自信がないけどね」
「その辺は次の段階があるから大丈夫」
やっぱりあの方法は英語が苦手だったり嫌いな人にはいい方法みたい。これからもっと結果が出てくるかも。
「で、どんな方法なんだ?」
「英語訳されたマンガを読んでもらってる。好きなマンガの英訳なら頭に入りやすいだろ?
で、次の段階は英語のアニメや実写ドラマとかを見てもらう感じだ」
「そんなので身に付くのか?」
「嫌いなものはなかなか身につかないだろ。練習もしたくないしな。
先ずは『嫌い』を『嫌いじゃない』『好き』にまで自分の気持ちを変えるんだよ」
「マンガを読んでるにしても英訳のなら親も怒らないか。試してみるか」
「うちにいろいろあるから貸すよ。橋本さんと小林さんも英語版のアニメを貸すからその内言ってくれ」
その後は気になる教科をそれぞれ質問してきてそれに答えてく。理数系以外にも大体対応出来るしね。
文系は基本暗記系が多いから覚えるしかない。英語なんかも文法っていったって範囲内の分だけだから丸暗記くらいのつもりでもそれなりに点が取れる。
ただ、やる気がないと覚えるのにも精度が違ってくるから、苦手でも嫌がらないで覚えるように。
途中少し休憩を挟みラムネでエネルギー再チャージ。
ちょっとフィナンシェとかパウンドケーキも少し出してお腹具合も満足してもらう。
ついでにクロの機嫌もみんなで取っておく。もふもふ具合がたまらんとか井上さん達が蕩けていたけど。
その後もそのまま継続して勉強を続ける。
午前中から質問されたところの復習で同じような問題を解いていくことにした。
つまればそれについてまた教えて解いてもらう。
バスケやサッカーも練習は反復が基本。勉強、特に理系計算問題も一緒だよ。どんどん解いてね。
ラストスパートの前に3時の休憩。
今日もちょっと暑いんでロイヤルミルクティーのシャーベットを出す。涼しい日でなくて良かったよ。
「このシャーベット美味しいね、いい具合に紅茶の風味や渋みなんかがマッチしてる感じで。
でも、どこかで食べたような味がするんだけど」
「服部さんのおばさんのとこのケーキに添えてるシャーベットじゃない?イートインの時にしか食べれないけど」
「「「確かに、そんな味がする!」」」
確かに真琴おばさんとこのシャーベットと似た味がするのはそうなんだけどね。
「ああ、それはね。マンガにあったレシピでうちのパパが作ったのがベースになって作られたからだよ」
「「「「「え?」」」」」
「バレンタインデーにママにあげたパウンドケーキに添えたこのシャーベットが美味しくて、子供の頃からちょくちょく作ってくれたんだけどね。
真琴おばさんの旦那さんが食べて美味しかったから、お店で出してもいいレベルまで改良したのがお店のシャーベット。結構好評だよね」
「うん、あれ丸々丼一つ分食べたい時があるよ」
うんうん、このシャーベットは美味しいよね。確かに丼一杯食べたくてパパにおねだりしたことがあるよ。
それで食べ過ぎて……
「だよね。それで昔ママが食べ過ぎてダイエットしたらしいよ?
だからお店のはカロリー抑えめで、それでも素材の吟味して美味しいのに改良したって」
「「「「「え?あの服部さんのお母さんがダイエット?これ、どんだけカロリーあるの?」」」」」
「服部、うまいな。俺達なら試験明けの部活でカロリー消費出来るよな?」
「大丈夫だろ。俺は新聞配達しながら走ってるからそれで消費出来るけどな」
部活をしてない女子にはちょっと食べ過ぎはお腹にお肉がついちゃうけどね。
「結構簡単に出来るからレシピを送るね。お家で作ってみったら?」
「「「「服部さんの鬼ぃ!」」」」
「載ってたマンガも教えるから他の料理も作ってみるといいよ」
「「「「それは嬉しいかも」」」」
後は夕方までラストスパート。
今日教えてもらったりしたところで確認しておきたい所とかを質問されて答えていく。
試験勉強としては十分出来たかな。テストの出来が良くなってたらいいな。
夏休みの頃に比べて外が暗くなるのが早くて、もう結構暗くなって来てた。6時になったしそろそろ終わりに。
ちょうどパパとママがデートから帰って来た。
「「「「「お邪魔してました」」」」」
「勉強出来た?」
「はい、いくらか前より点数取れると思います」
「それは良かったわ。試験当日は頑張ってね」
『『『『『このお母さんがダイエット……』』』』』
「え?」
ママが帰ってきたからクロが夕ご飯にありつけると思ってママに飛びついていった。
試験勉強回です。ただ勉強してるだけです。
ただ、美亜と咲良が大人しくしてるためほとんど喋ってません。いるはずなのに。
その代わり、今回は初出のサッカー部の後藤とバスケ部の江藤の方が出番が多いです。
今後出番がどのくらいあるかは分かりませんが。