第24話-12 1年の球技大会-12 2日目お昼ご飯と男子バスケ決勝1
女子バスケは6組を圧倒的な点差で負かして3組が優勝した。予備要員の咲良ちゃんが出てくれたからこんな点差になったんだよね。
先ずは1勝。後は男子バスケとサッカー。
この2つは午後からなので、これからお昼ご飯を食べることにしようか。
今日も昨日と同じ中庭の芝生でみんな集まってお昼ご飯にする。
今日もみんなで食べれるようにまた御重にたくさん作ってきた。おやつのパウンドケーキも。
「英子、美亜、今日もいただいていいのかな?」
「大丈夫だよ。昨日よりも多く作ってきたから、どうぞ」
「「「「やったー。お返しにお母さんの作ったのだけどこっちのも」」」」
「ありがとね。他の家の味も味わってみたかったんだよね」
「「「「そうなの?なら普通に今後もお昼のおかず交換を!」」」」
「いいよ」
みんなでおかずの交換をしながらお昼ご飯を食べる。
他の人の家の味ってあまり味わったことがないから食べてみたかったんだ。同じ料理でも使ってる調味料とか違ったりするんだよ。市販の合わせ調味料だったりもするけど、好みの味付けだったりするなら真似てみたいよね。
他に具材が微妙に違ったりも面白いし、今後の料理の参考になるしね。
「やあ、英子ちゃん、美亜ちゃん、今日もご相伴に預かってもいいかな?」
「いいですよ、えりす先輩。藤井先輩もどうぞ」
「昨日もだけど作るのは大変じゃないのかい?」
「昨日夕ご飯の買い物ついでにたくさん買って、美亜ちゃんや大ちゃん、直くんと下ごしらえしておいて、今日美亜ちゃんと仕上げました。詰めたのは大ちゃんと直くんですよ。
4人で準備してますからそれほど大変じゃないですよ、ね、美亜ちゃん?」
「私もいつも下ごしらえや作ったりはしてますから」
「わあ~、やっぱり料理出来るのいいなぁ」
「そうですね、えりすさん。先輩のは……ですから」
ああ、えりす先輩は出来ない方なんですね。
咲良ちゃんもあんまり出来なかったけど、夏休み後半から練習してそれなりに出来るようになったよ。
えりす先輩も藤井先輩も美味しそうに食べてる。
今日もサンドウイッチやおにぎり、唐揚げやタコさんウインナー、とんかつ、照り焼きチキン、ポテサラ、卵焼き、オムレツなどなど。おやつはパウンドケーキレモン入とフレンチトーストかな。
「やっぱり……料理が出来る子の方がいいよね?」
「どうでしょう?うちの両親は付き合い始めた頃はママの方が料理がヘタだったそうですよ。味付けが微妙だったとか。
簡単な味付けの仕方から教わって今は美味しいですよ。
パパも言ってたけど、市販の合わせ調味料もあるし、そういうのを使ってもいいと思うって」
「いい両親だね。私の場合、切る方もだめでね」
「そうそう、せっかくの食材が原形をとどめていないですから。これならスープにした方がって感じだよ、服部」
包丁とか使い慣れてないんだろうな。私達も始めの頃は切ってボロボロにしてたもんね。
落ち着いて切れば上手く切れるようになりますよ。多少大きさが不揃いだったとしても、多少凸凹過ぎたとしても、家庭料理ならそのくらいOKですし。
「落ち着いて始めはゆっくり丁寧に切っていけばいいんじゃないですかね。私や大ちゃん達もそうでしたし。
先ずは時間をかけてゆっくり切ってみましょう」
「いいのかな?」
「大丈夫ですよ。お店でご飯を出すわけじゃないですから。
私達も始めの頃は2時間くらいかけて作ってましたよ、ね、直くん」
「そうですね。お昼ご飯の予定が夕ご飯になってましたから。身内で食べる分には遅くなってもどうということはないと思いますよ。
遅いとかいう奴は放っておけばいいんですよ」
そうそう、うちはみんなその辺は気にしない人達だったから。
おじいちゃんやおばあちゃんは私達が作るってだけでいくら時間がかかっても嬉しそうだったし。
でも、料理の腕が壊滅的らしいえりす先輩がそんなことを聞いて来るということは……何かある?
「でもえりす先輩がそんなことを気にするとか、作ってあげたい人でも出来たんですか?」
「え?マジですか?えりすさん。今までそんな話聞いたことがないのに。
誰ですか?女ですか?男の娘ですか?」
「藤井先輩、男子は入らないですか?」
「男に興味がまるでなかったんだぞ?えりすさんは。それが突然興味が出てくるとか信じられないだろ!」
「紫乃、お前、酷いことを言うな?」
女子達全員えりす先輩の気になる人が気になり、みんなで尋問タイムになっちゃった。それでもえりす先輩は話してくれなかった。恥ずかしがる先輩が可愛くてなかなか止められないよ。
ただ、視線は大ちゃん達の方に向いてたみたいだけど。
それでも昼休みの時間が終わり、えりす先輩はバレーボールの試合があるからと逃げていった。
おもちゃを失った私達も男子バスケの決勝戦があるから体育館に戻る。
さっき体育館の幽霊さんの話が聞こえてた人は、直くんや大ちゃんとくっついて歩いてる私や美亜ちゃんのそばに寄って来てた。私達が視えることを知ってるから安心感があるみたい。祓ったりするわけじゃないけどね。
体育館のバスケのコートに到着し、直くんや大ちゃん達バスケのメンバーはアップを始めた。
しばらくすると対戦相手の4組の人達が来た。
「宮崎、決勝はお前んとこか。負けんぞ」
「悪い、宮崎。この間のプールで女子に嫌われてから機嫌が悪いんだよ。女子にいいところを見せようって今頑張ってるんだけどさ」
「それで僕と対戦するから威嚇してるの?八つ当たりじゃない?
仲良くなってた女子よりあの面倒な河野ありす先輩に目が行ってた吉田達が悪くない?
僕は英子ちゃんしか目に入らないよ?」
「何ぉぉ。仕方ないだろ。あの2年のトップ美少女が水着で、しかもビキニだぞ。目が行ってしまうのは抗えない男の本能だろ」
「いやいや、僕も大輝も潤も全然視界に入ってなかったよ。それにうちの女子達だって頑張ってビキニを着てただろ」
直くんと話してるのはプールに一緒に行ったバスケ部の男子みたい。プールで女子に嫌われたからって八つ当たりしてるみたい。
それを観てる井上さん達がジト目で軽蔑の眼差しを送っていた。
バスケ部の男子もモテて当然と思ってはいないみたいだけど、一度の過ちで嫌われるのが納得いかないのかな。
女子からすると当然なんだけど。
しばらく言い合ってると、4組の他のバスケの選手の人が「いい加減戻って来い」って。すごすごと自分達のチームの方に戻っていった。
「直くん、向こうのチームの人どうしたの?」
「この間一緒にプールに行って女子に嫌われて、根に持ってるみたいだよ」
「ああ、あの一人か……でも、仕方なくない?ありす先輩に目移りするとか」
「だよね。ただ、の八つ当たりだから気にしなくていいよ。
この試合で心を折っておくから」
「頑張ってね!直くん」
4組も3組もアップが終わり、試合開始の時間。
「宮崎、絶てぇ負けねぇ」
「宮崎、悪いな、ほどほどでよろしく」
「吉田、松井。英子ちゃんのオーダーで吉田の心を折るから、よろしく」
「宮崎ぃ、絶てぇ潰す」
「煽らないでほしいなぁ、宮崎」
センターラインに集まって例をした後、すぐにコートに散らばった。
ジャンプボールは吉田くんが飛ぶらしい。
大ちゃんはベンチスタートだからまだ出ていないけど、出たらもう勝負が決まる……はず。
### 続く ###