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第05話-3 GWの巫女のアルバイト3 解決するかも編

 次の日も美亜ちゃんのところの神社でバイトに勤しむ。小林さんには休憩時間に合わせて来てもらうことになっている。

 でも……今日もやっぱり社務所の方はお守りやおみくじ目当ての人達が列をなしてたので、美亜ちゃんとフル回転で担当のお守りの授与を。

 ようやく休憩の時間になったので、カフェの方の休憩室に小林さんと咲良ちゃんと入ってお昼ご飯にする。今日は直くんも一緒にいてくれる。大ちゃんはまだホールの方を担当中。


「小林さん、昨日の今日で急にごめんね」

「ううん、いいよ。でも、宮崎くんも一緒なのは?」

「ここのカフェでバイトしてて休憩なんだよ。ついでに昨日英子ちゃんと三条さんと一緒に話を聞いてたから、何かあれば補足できるかと思って」

「そうなの?何で一緒に」

「小林さん、宮崎くんは英子の婚約者なんだよ。だから、大体英子の家にいるんだよ」

「婚約者?ほんとに?ああ〜、それは泣く子がいっぱいいそうだね」

「へ?」


 小中と一緒だから同じ中学の子や比較的近くの中学校の人なら結構知ってるみたいなんだけどな。

 まぁ、そんな話は置いておいて……


「で、話なんだけど、帰っておばあちゃんに聞いたら多分ビンゴな症状の人が知り合いにいたから」

「でもその知り合いって?」

「パパの方のおばあちゃんのお兄さん。東京に住んでる大叔父さん」

「へぇ~。でも、その大叔父さんも大変なんでしょ?」

「今はそうでもないみたい」


 とりあえず瑛太大叔父さんの状況を話す。そこからどういう病気か、治療方法とかも話すことにする。


「その大叔父さんの場合は4年ごとに1ヶ月日曜以外午前9時から11時頃、右目の奥がドリルを突っ込まれた様に痛くなるんだって」

「お父さんも痛みに関してはそんな感じ」

「で、大叔父さんの病気は『群発頭痛』っていうんだって。

 群発頭痛は一定周期で数週間~数か月、割と決まった時間に目をえぐるような痛みの頭痛がする病気。男性がなることが多い偏頭痛の一種らしいの。人によって症状の出方が違うって言ってた。

 小林さんのお父さんも毎年、娘さんの命日の前後2週間毎日っていう周期できてるから多分あってるだろうって話」

「確かに痛みが出る時間も毎日大体一緒だって言ってた。しかも、お姉さんが亡くなった時間ぐらいって」

「うわぁ、それは凄いタイミング悪い話だよね。無くなった子に恨まれてるって思いたくもなるわ」


 そうなんだよね。これが違うタイミングで痛む頭痛なら素直に病気かもって思うんじゃないかな?

 小林さんのお父さんも娘さんのことで凄く悔やんでるんだろうなぁ。


「服部さん、治療方法は?」

「多分試してると思うけど、市販の頭痛薬は効かないって。効くところが違うから。

 大叔父さんの場合も基本的に今も治ってはいないって言ってた。多分治らないかもって。

 ただ、頭痛が出ないように抑えることは出来るみたい」

「治らないけど頭が痛くならない?」

「そう、先ずは頭痛外来を受診してみた方がいいって。お薬を処方してくれるから合えば大丈夫だし、頭が痛くなった時用の鎮痛剤も出してくれるみたいだよ。

 ただね?」

「……ただ?」

「合わないと頭痛は続くんだって。大叔父さんの場合はそうだったって」


 未だに群発頭痛の発症の原因が特定されてないから、瑛太大伯父さんは頭痛外来で処方された薬では改善しなかったみたい。

 まだ分からないから絶対に効く薬が決まっていないのが理由らしい。人によって違うから大叔父さんには最初に処方された薬は効かなかった。


「その大叔父さんはどうしてるの?」

「大叔父さんの場合は別の方法で抑えてるんだって。

 帯状疱疹って知ってる?」

「かなり前に『65歳以上は帯状疱疹のワクチン接種をしましょう』とかCMが流れてたアレのことだよね?」

「そう、それ。大叔父さんもだいぶ前に帯状疱疹になったらしくて治療をしたんだ。そうしたら、次の群発頭痛の時には頭が痛くならなかったんだって」

「え?何で?」

「その時は大叔父さんも分からなかったんで治ったと思ったらしいよ。でも、更に次の時はまた頭が痛くなったんだって」

「それはご愁傷様だね、大叔父さん」


 群発頭痛になった原因が分からないから、突然治ったりなんてことも期待したくもなるよね。

 大叔父さんも群発頭痛で随分大変だったらしくて早くどうにかしたかったらしい。


「でも……大叔父さんは諦めなかったの」

「それで?」

「何かしたから頭痛が起きなかったわけで、当然その間の違いは帯状疱疹なんだよね?帯状疱疹って誰でもなると思う?」

「誰でもなるんじゃないの?」

「そうでもないんだって。水疱瘡ウイルスに感染した人、要は水疱瘡になった人だけなんだって。水疱瘡にならなかった人はならないとか」

「ほう。それで群発頭痛とどう繋がるの?」

「大叔父さん曰く、かなり前にテレビ番組で頭痛外来の特集が流れた時に群発頭痛の話が出て、そこの先生は水疱瘡ウイルスが関係しているという話をしてたんだって」

「ということは?」


 大叔父さんの群発頭痛に関しては水疱瘡ウイルスが何かしらのタイミングで関係しているのかもしれない。その時期になるとウイルスがある程度増えているとか。

 だから、大叔父さんと同じ症例の人についてのみ有効な治療法という事にはなるんだけど……


「帯状疱疹の治療で水疱瘡ウイルスを殺す薬が処方されてたから、それを飲めば抑えられるかもしれないと言う結論に至ったんだよ」

「当然実行したんだよね?」

「薬を自分で手に入れて帯状疱疹の時と同じ量を飲んだら、次の時は頭痛が起きなかったとか。

 大叔父は賭に勝ったのでした」

「「おお~」」


 それからはその薬を定期的に入手して服用してるらしいよ。それで今のところ落ち着いて生活しているとのこと。


「ただ、やっぱり人によって原因も違うみたいだから、大叔父さんのやり方が全員に当てはまるわけじゃないみたいだけどね。

 周期や期間、痛む時間や長さけど、小林さんのお父さんも群発頭痛の可能性があるんじゃないかなって」

「お父さんに話してお医者さんに見てもらうようにしてみる」

「納得してくれなかったら、大叔父さんが話してくれるって言ってたよ」

「その時はお願いするかも。すぐにどうにか出来なくても頭が痛くなくなる可能性があるならそれに賭けたいよ」


 小林さんは希望を持てそうということで、「ありがとうね」って言って咲良ちゃんと帰っていった。

 咲良ちゃんも話をする時に何かあれば補足してくれるって言ってたから、ひとまずは良い方向に進展してくれそう。

 これで絶対に治るというわけではないけど、娘から恨まれているっていう思い込みから解放されるといいね。


「英子、良くなるといいね」

「うん。せっかくお祓いもしたんだし、いい感じになるといいね」




 その後、説得にしばらく時間がかかったけど、小林さんのお父さんが頭痛外来を受診したそう。

 どうしても子供が亡くなったことに自分が悪いんだと思ってしまうみたい。心療内科も一緒に受診した方が良いかもしれないと美亜ちゃんのお父さんが言ってた。

 それでも受診した時は症状が出る時期を過ぎたため、次に症状が出る前にまた受診することになったって。

 …………

 ……


 後日談

 結局、次の年は薬が合わず全然改善はせず、更に次の年に頭痛外来で別のアプローチ、瑛太大伯父さんと同じ薬を処方してもらってようやく改善したらしい。

 何で群発頭痛を発症したかは頭痛外来の先生も分からないけど、瑛太大伯父さんが言うには娘さんを亡くしたストレスが影響してるんじゃないかと言ってた。自分も最初に発症した頃ストレスがすごかったらしいからって。


この作品はフィクションです。間違いがある部分があるかもしれませんのでご了承ください。


群発頭痛について

群発頭痛は実際にある病気です。1000人に1人の病気だそうです。

ちなみに私も群発頭痛持ちです。

1ヶ月ほど日曜以外9時くらいから2時間ほど痛みます。

はっきり言って非常に痛いです。右目にドリルを突っ込んでぐりぐりしたように痛いです。ひどい時は吐き気もするし、目をえぐり出したくなるほど痛いです。

大体いつ頃痛くなるかは分かるので、その時期が近付くと憂鬱になります。


作中同様頭痛外来を受診しましたが改善せず、たまたま発症した帯状疱疹を治療した際に副次的に一度発症しなかったため、治療で飲んだ薬を取り寄せて飲むことで発症しなくなりました。

帯状疱疹は水疱瘡ウイルスが体内にあるため発症しますが、群発頭痛も私の場合は同じだったようです。その時期に水疱瘡ウイルスが増えてたりするのでしょうか。

この辺は発症する原因が確定していないため、人によって原因が違うようです。


非常に周期性が強いため、毎年子供の命日に群発頭痛が発症するようなことになれば恨まれてると思いたくなるかもしれませんね。


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