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06

 いたい

 なにもみえない


 たくさんのおとがきこえる

 こわいこえ、かなしいこえ、わたしのこえ

 なにかがちぎれるおと、つぶれるおと、がちゃがちゃとぶつかるおと


 いたい

 なにかがあふれてでていく

 おわらない、なにもかわらない


 ーーー


 わたしのお母さんとお父さんは、とても仲のいいふうふでした。

 お父さんはとても強く、お母さんはすごくやさしいひとでした。

 そんな彼らのことが私は大好きでした。

 わたしは多分ふつうではありません。

 そんなわたしが村のものたちは大きらい。

 

 だからわたしが生まれたらすぐにころそうとしました。

 たくさんたくさん切ってつぶしてとって、ぐちゃぐちゃにしました。


 でもわたしはしななかった。

 しねませんでした。



 そんなわたしを村のものたちは化け物だと言ってとおざけていました。

 そんな中、わたしのその力をうまくつかえないかと考えて、彼らはいろいろなことをためしはじめました。

 わたしはそれでお父さんとお母さんといっしょにくらせるならそれでいいと思っていました。


 毎日ある場所に行って家に帰ってお父さんとお母さんとすごす。

 それがわたしのふつうでした。

 


 そんなわたしを見たお父さんとお母さんはいつもごめんなさいと言っていました。

 わたしは知っています。

 ふたりはわるくないことを知っています。

 外で暮らしていた二人が、理由があってこの村に帰ってきたことも知っています。

 それが何よりもその村のためであるということも。


 わしはこの村の中しか知らない。

 だからこれいがいのことを知りません。


 わたしが来る前の村のすがたも、お父さんとお母さんのしあわせなすがたもわたしは知りません。


 お母さんは言っていました。

 あなたを守れなくてごめんなさいとあやまっていました。


 でもお父さんとお母さんがわたしの前で泣いているところは一度も見たことがありませんでした。

 家にいる間だけでもわたしといっしょにいられるように、できるだけ明るくふるまっていました。



 ある日、お母さんがこんなことばをこぼしていました。

 

 わたしが大きくなったすがたを見たい。


 それはわたしがはじめて聞いた、お母さんからのおねがいでした。

 だからわたしは大きくなりました。

  自分で歩いて、話せるくらいに

 わたしにできることはこれくらいだったから。


 それでふたりの心からよろこんでいるすがたが見られるかもしれないと思ったから。

 ふたりはそんなわたしのすがたを見て、はじめてわたしの前で泣いていました。


 とてもかなしそうに


 何がダメだったのかわたしにはわかりませんでした。

 わたしにはなにもありません。

 ただ、お父さんとお母さんといっしょにいられるだけでもうれしかった。

 だからきっとわたしはそれいじょうのことをのぞんではいけない。

 ふたりのために



 ある日、いつも通りあの場所へ行き家に帰りました。

 いつもの道を通り帰っていると、少し血のにおいがしました。

 そのにおいは家に近づくほどこくなっていきました。


 とびらをあけて家の中に入ってみると、あたりは赤くそまりへやの中で二つのかげが横たわっているのが見えました。

 そのかげから自分のもっていけるものを手に取ると、家の外に出てわたしは家に火を放ちました。

 もうわたしがここにいる理由はありません。

 

 村を見わたせる小さながけに2つの石を立てました。

 そこには何もありません。

 わたしはふたりが好きだと言っていた花の種をまわりにうめると村をさりました。


 あいぼうたちといっしょに


ーーー


《いきるって

どういうことなんだろうね》


ーーー

ーーーーー


 06 第一章 in end

一章おわり

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