05-4
どれくらい時間が経ったのだろうか
ただ座って虚空を見つめているだけの時間が過ぎていく
元々の性格上俺は死ぬ道を選ぶことはなかったが、それでも何もできないというのは流石に精神的に疲弊した
何かを考えることなくただその場所にいるだけ
そんなふうにしていたある時、急に空気が揺れた
外から時空の牢獄が開かれた
その開かれた場所の方に目を向けると誰かがいる
3つ4つくらいの人影が見えたかと思うと、そのうちの一つが俺の前に飛んできた
その影の正体は俺について来ていた彼女だった
彼女は俺に飛びついて、言葉にならない声を発しながら泣いていた
ああ、彼女も生きている
俺らと同じようにちゃんと感情を持っている、持つことのできる存在だった
俺はそう思った
それは普通のことだと思われるかもしれない
けれど彼らのことを見て来た俺からしたら、その行動はとても驚くものだった
俺がいなくなったことに悲しみ、俺が無事だったことに安堵し喜び泣いてくれている
不謹慎かもしれないが、それがとても嬉しかった
彼らも俺と同じ生きている存在なのだと分かったから
俺を救ってくれたのは組織だった
○○の拠点の一つ、かつて俺がいた拠点を特定した組織が彼らの少ないタイミングを狙い、回収された魂を解放しに来たらしい
そのとき組織の者と会った彼女は、その者たちに俺を助けてほしいと願ったようだった
そこから彼女の記憶と痕跡を頼りにあの空間を見つけた
そんな風に、組織に救われた俺は、その組織に入ることを決めた
それが俺の組織との出会いとはじまり
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05 第一章 i end…




