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05-1

《生きる目的は別に幸せのためだけとは限らない。ただ何かを考える余裕もなく今を生きることに必死になっている人も、誰かに対して恨みを抱いて生きている人も、やりたいことをやるために生きる人も、何もなくただ生きている人もいると思う。



自分で手に入れられるようになったとき、幸せを与えたい存在は自分ではなく他人に対してかもしれない。他人の幸せな姿を見ることが自分にとっての幸せかもしれない。誰かのために生きることは難しいことだけど、一生に一度出会える最高のチャンスだと思ってる。》

 魂は輪廻から世界へ回り、また輪廻へ帰ってくる。

 それを繰り返すことで魂は強く大きな力を持つことができる。


 俺は人間だった。その辺にいる普通の人間。


 俺はいくつもの人生を生きてきた。


 どの人生も苦労の絶えないもので、大人まで生きることができたことは少なかった。


 でもどれも俺にとっては経験を得るもので、いろんな人からたくさんのことを教えてもらい、たくさんのことを知ることができた。俺は人にとても恵まれていた。


 だから俺は自分が不幸だと思ったことはないし、生きることをあきらめたことはない。


 その中で俺が望んだものがある。


 それは一度だけでいいから、大人になってその一生の最後に自分の人生は後悔のないくらい幸せなものだったと言うこと。




 そんな俺が人間だったころ、正確にはある人生の間にある魂だけの状態

 その間の記憶は決してどの人生にも残らない、魂を認識できるようにならない限り思い出すこともできない


 そんな俺に語り掛けてきた存在がいた

 それが俺と彼女の出会いだった


 彼女は幼い少女の姿で、何を考えているのか分からない光のこもらない目を俺に向けて問いかけてきた


 ”なぜあなたは生きることをあきらめないの”

 ーーー



 彼女と話してさらにいくつもの人生を巡ったころ、最後の人生で俺は望みをかなえることができた。


 大人になるまで生き、幸せな家庭を築き、大切な人に見送られる形で俺は後悔のないと言えるくらい幸福を得て人生を終えた。


 魂はたくさんの一生を生きることでその力強さが増していく。そんな風に強い力を持った魂は、ある条件を満たしたときとても少ない確率で輪廻から外れてとある場所へと導かれる。


 その場所は様々な呼ばれ方をしている。どの呼び方も同じような意味が込められている。


 ”原初”、はじまりの世界と言う意味が


 この世で一番初めにできた世界としてそう呼ばれている。全ての存在が生まれ、帰ってくる場所。

俺はその場所に流れ着いた。

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