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04-5

 今日もまた書庫で適当に本を読み漁り、屋敷の中を歩き回り屋敷の者たちと何気ない会話をしながら裏庭の方へ向かう。


 いつも通り魔法やら武術やらいろいろやっていると、少し騒がしい声が屋敷の方から聞こえてくる。

いくつかの足音と声が少しずつこちらに近づいてきて、俺たちの前で止まる。そしてその声は俺に声をかけてくる、いつも通りの日常。


 ある満月の日、今まで何年も俺を見向きもしなかった両親は俺を地下に閉じ込めた。手枷をはめられ、その先を地下の壁に付けてその場から逃げられないようにされる。枷には魔力を封じる効果がつけられ、能力を使うことはできない。


 それでも俺は抵抗をすることなく捕まり、地下の牢屋に入れられた。

 いつかそうなるだろうとは思っていた。むしろ遅いくらいで、なぜ俺のことを自由にしているのか謎だった。


 異物は何があっても異物であることは変わらない。どこかに歪みを生み出す。排除するのが最も早い。


 けれど彼らはたとえ異物であってもそれを己の目で見て判断した。その判断が中途半端だった。


 けれどそれのおかげで俺はあいつらと一緒に過ごすことができた。それは俺も感謝している。多分それがあったから俺は両親を恨むこともなく、家族の愛情を知ることができた。


 それが無くても俺が誰かを恨むことはおそらくなかっただろう。

 だってこれは誰れかが悪いわけではないから。俺らの誰も悪くない。


ーーー

 牢屋にいる間も食事は用意された。

 ほんの少しの、周りのものに知られないほどの余っていた食事を持ってきてくれていたのだろう。おそらく本当は何も用意はされていなかった。


 俺はたとえ何もなくても死ぬことはない。それは経験則からわかる。

 でも食事が用意されていたのは、屋敷の者たちが気遣ってくれていたから。


 あまり深い話をしたことはなかったが、それでも彼らはそれなりに俺のことを心配していたらしい。それと多分、弟たちが頼んだのだろう。


 俺が来なくなったことに気づいて、屋敷の者たちなら何か知っているのではないかと考えていろいろ話を聞きに行ったのが想像付く。

 なんならたまにこっそり俺に会いに来ていた。


 全員で一辺に来たらばれてしまうため、順番に一人か二人で屋敷に荷物が運ばれるタイミングを見計らい、屋敷の者に協力してもらっていたようだった。


 彼らは俺のところに来るとその日に何をしたのか、どんな出来事があったのかを楽しそうに語っていた。


 3日に1回、ほんの10分ほどのその時間は俺にとって唯一誰かと話せる時間であり、何もないこの場所の中のほんの少しの幸せだった。


 そしてそれが彼らにとっても良い時間になっていたらうれしいと思っていた。

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