04-4
俺が7つになるころ、上の兄弟たちは学園へ通うようになった。
このころの両親はさらに忙しくしていて、下の兄弟たちにかまう時間が少なくほとんど使用人に頼んでいる様子だった。
上の兄弟たちは物心がついたころには、両親が俺に接しない理由をしっかりと言い聞かせられていてそれを理解できる年齢だったため、俺と話すことはなく屋敷内ですれ違うこともほとんどなかった。
それに対して下の兄弟たちは両親が接している時間が少ないからか、俺に対する警戒心がほとんどなかった。
最初はよく屋敷内で見かける俺を不思議そうに見ていることが多かったが、時間が経つにつれて俺の行動に興味を持ち始め、俺が何かしていると近づいてきて来るようになった。
時には俺のやっていることをただ眺めていることもあれば、一緒に交じって何かをやってみることもあり、その流れで屋敷の探検や鬼ごっこ、木登りなど遊ぶことも増えてきた。
俺のことを知っている屋敷の者たちはその行動に対して何か言うこともなく、ただ見守っていた。
両親はそれに気づいているようだったが、自身が忙しくあまり子供たちに構えていなかったことも自覚していて、上の兄弟たちは将来家を継いでもらうものにばかり目を向けていた。
また、俺と関わっても問題は何も起きていない、屋敷の者たちの意見も聞きこれからも特に問題ないだろうということで特に何もしてこなかった。
もしかしたら、俺が兄弟たちと接する中でいろいろな知識を教えていたことが利用できると考えたのかもしれない。
理由はなんであれ、俺としてもずっと屋敷にいた中であの子たちがなんの悪意もなく楽しそうに話しかけてくれて、兄と慕ってくれることはうれしかった。
他の兄弟たちにとっては赤の他人のような存在だったかもしれないが、彼らといるときだけは兄としていられるように感じた。




