あとがきっぽいモノ
今回はなろうの企画に合わせ、サラッと短く終わらせた。
分水嶺という企画を見た時から何か無いかと探し、一番の分水嶺であろう事件、そして人物に焦点を当てる事にした。
ただ、歴史改変小説として書き上げるにはあまりにも変更点が小さいすぎる。幣原は外交手腕はあっただろうが、その後を見れば政治的影響力はなさそうに思える。
もっと影響力がある人物だったなら、弄くり倒しても良かったが、どうもそうでは無さそうなので、歴史改変は極小にとどめ置く形にしている。
南京事件での対応を変化させる事は可能だった。しかし、彼の対応だけで内閣の存続が出来る訳でも無いので、田中内閣成立は阻止できず、下野するのは仕方ないかな。
大きく変化の無い時期なので、そのまま次の内閣で再任もそのまま。
そこで統帥権干犯問題に切り込みはするが、自身の外交は継続出来ていないので、満州事変を止める術までは持ち合わせていないハズ。確かに広州政府の提案に乗るのは良いが、じゃあ、どうやって実行するんや?となる罠。
ならば、表向きは提案を退け、関東軍に責任を被せた方がやり易い。
ただまあ、若槻内閣を存続させて物事を進めるのは困難かなぁと。
満洲国にはそんな訳で米英企業も進出してきて資本投下は史実以上になる。
まあ、幣原の日本有利な進出条件をかの大魔王が許容するとは思えんし、なんなら自分の権益に対する妨害くらいに考えそうである。
日本にも大アジア主義なんてモノがあるから条件整備を多少整えたからと史実から大幅に改変されるのかと言うと、あまり楽観していない。
軍人だけではなく、大陸浪人やら国内の勢力やらが蠢いているので、それらを掃除出来るだけの力や立場がないと。
そう考えると、幣原には別人に変身でもしてもらわないと無理な訳で、近衛ほどスタートラインが自由に設定出来ないかな。
そう考えた結果、満洲国建国までの条件整備に留め、後は漂流させて史実に近い状態としている。
それでも史実以上の基盤は作れているハズ。
まあ、そうは言っても別に戦争に勝つ話にしようとは思っておらず、史実同様か少し遅れる程度で歴史は推移して行くと仮定した。
中国共産党が盧溝橋事件を起こさない理由も無いので数ヶ月や一年程度の遅れで類似事件を起こし、日本を引きずり込むのは止めようがない。日本側がそもそも史実の思想なのだから、キッカケさえあれば史実準拠は当たり前。
この頃になると蒋介石とルーズベルトは接近しているだろうし、当のルーズベルトが満洲国進出を妨害と捉えたならば、浙江財閥に自ら近づく理由も出来上がる。
結局、大魔王にとって日本は邪魔な存在なんだから。
英帝は上手く付き合えば衝突の必要は無いが、当時の外交で上手くやって行けるとは思えない。
国際連盟脱退こそ阻止したが、後を担うのは東亜ナンチャラだの大経済圏がどうしたという松岡洋祐なので、史実から大きな改変が行えるはずもなく、大魔王は歴史が変わってさらに大陸へとのめり込むかも。
そうなると、日華事変の様相はさらに露骨な大魔王の介入を招き、米軍が義勇兵として入り込んでいる事もあり得る。なんなら爆撃機部隊を展開して日本爆撃の機会を窺うくらいには。
そうした下地を整え、松岡と言うピエロが大魔王の望んだ方向へと日本を向かわせることで舞台は整ってしまう。
ただ、大陸の爆撃機部隊と言う脅威があるので空母をハワイへ向かわせて基地航空隊でフィリピンと言う流れはいささか不味い。
中途半端にハワイへ向かわせるくらいなら、台湾の防備を固めてじっくりフィリピン攻略かなぁと。
結果として第一次マリアナ沖海戦が生起するんだろうが、ここでは日本が勝てるものと予想。
米空母ってミッドウェイでも実のところちゃんと組織的に作戦を成功させたというより、幸運の要素もあるように見えるので、マリアナ沖で真珠湾とミッドウェイを起こせば、その後の展開はどうせ大した違いもなく進むんじゃね?知らんけど。
ニューギニアや珊瑚海に行かずに終わるかも知れんが、だからと言って石原説の絶対国防圏での長期持久が成功するとも思えない。それが出来るなら苦労はしない。第一、石原が指揮する事はこの世界線では絶対あり得ないんだから。天皇の意思を無視したヤカラだよ?石原は。統帥権干犯が不発に終わっている事から、満州事変を不問には出来ないだろう。予備役や閑職行きになっているかもしれんのだから。
そんな事が起きた戦争は大魔王が異世界へ召還されたことで、我が小説お得意の米国内の内部分裂から急展開を見せることになる。
今回は対日政策の転換というごくわずかなモノにはなるが、それがひと月早い終戦という形にしてある。
なにせ、大魔王の計画のままであれば、せっかく得た満州権益を失ってしまうのだから、ソ連参戦以前に確保に走るのは当然の話でしょ?
こうして、ソ連参戦以前に満州入りを果たすために早期降伏のために条件を緩和、さっさと降伏に導くことになる。
戦後の話は、幣原9条発起説の中身を見れば、単に彼は引き受けただけっぽい。急死だからそのまま押し付けられたのか、彼自身がそれを行ったのかは分からないが、まあ、自ら受け入れたと考えて、最終変節を行う。
結果として一年長生きしてもらう事にはなったが、そこは仕方がない。
さて、本編で描かれなかった戦後の状況。
満州は北部はソ連が、南部にはいち早く米軍が入ることになる。朝鮮はほぼ米軍が確保できるが、いち早く山地を確保され、現在の朝鮮族自治区や北朝鮮北部辺りはソ連が確保。
金日成を高句麗のナンチャラと称して黒竜江省の一部も加えて高句麗人民共和国として独立。当然、南進は起こるし、呼応して満州内でも共産騒乱が起きる事になるんだろう。
史実の朝鮮戦争よりも広範囲の戦線を抱えることになるので、まず間違いなく三項実現が達成可能になるはず。
幣原が未来知識で得たNATOにおける西ドイツ軍の在り方を知ったマッカーサーが警察予備隊指令以前の早い段階で講和条約と同時締結の軍事協定で米国の主導と日本軍の行動制限を明記した上での再軍備を提言すれば、史実1948年の提案によりさらに具体的な話が早期に始められる。
満州情勢は当初から不穏になることは間違いないので、米国も早期からウェイトを満州と考え、早々に日本の限定的な再軍備を画策したであろうから、講和条約や安保条約をきっかけに一気に動き出すのは、戦争がなくとも起きるであろう事態。
そこに密約として結ばれた三項指令を投下し、議長として強行したならば・・・
この世界には当初から日本軍が創設され、吉田の抵抗は幣原の強引な改正審議とGHQによる具体的かつ明確な再軍備令で退けることが出来るかもしれない。
そうなれば、現在の問題は全く何も存在しない世界が広がっている事だろう。
ただ、現在の感覚でそれが良いか悪いかは、その人によって大きく評価が変わる事は間違いないのだが。
この世界の日本軍は冷戦崩壊後はドイツの様な経緯をたどるんじゃないかと希望している。そうあって欲しいもんだ。
きっと、対高句麗対策として縮小してしまった米帝謹製満州国と韓国、日本、米帝で極東版NATOが実現している事だろうしね。