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SPECIA  作者: うらら
3章 侵略者との邂逅
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episode3-3

 ハコは上機嫌で俺の力を面白いと言った。が……。疑問をぶつけた。

「なんでお前が使うのと俺が使うのとじゃ違うんだよ」

「媒体の違いさ。俺が使うとただの攻撃AB強化版みたいなやつが、お前が使うと逆にABをぶった斬るやつになるんだ」

「訳が分からん!」

「分からなくてもいいからとりあえず戦うぞ」とルカ。そのまま彼女は言葉を続ける。

「お前の力はもしかしたら私のモノよりも強力になるかもしれないな。……私の力は人間にしか効かないから」

 そう言って戦いに戻って行った。俺の、ハコの力が……強力に……。と実感して、剣を強く握りしめる。黒い光が剣に纏った。

 光線は未だ俺を狙っているようだった。異質なものとして判別されたのだろう。ハコやルカと話している間は髭面たちがどうにか凌いでくれたようだ。

 とりあえず攻撃が有効なことが分かって、勢いよく剣を振る。するとまたバリアで塞がれるが、そのバリアが割れた。そこを狙って一気に斬撃をしかけると、一気に眼が潰れる。他の目で狙ってくるのもどうにか凌げた。練習でやったルイ先輩の斬撃の方が強いし早い。

「おおっ?!」

 と髭面。やはり異質な光景なのだろうか。その反応を気にする暇もなくもう一度広範囲攻撃を行うと、十ほどの眼を潰せた。

 上からの長距離攻撃も聞いているようだ。向こうも人間は外そうとしてくれているが、たまに事故がおこって弾を受ける人もいた。だが俺はどうにか仲間たちからの弾や弓矢は受けずに済んだ。徐々に目が潰れていくのを確認して、ある男が叫ぶ。

「止めるな! このまま討伐を……」

 そう男が言った途端だった。俺はもう一度剣を振り上げていて、沢山の弾や弓矢、武器が飛び交っている間だった……その瞬間、円柱は少しぼやけたと思うと、あっという間に消えてしまった。跡形もなく。驚くべきことだった。周りがしん、と静まり返って、騒ぎ出す。

「?! 消えた……!」

「どこだ!?」

辺りは混乱状態である。遠くからの攻撃が止まないので、一旦全員引いた。引いている時にルカに聞くと、ため息をついてルカは答えた。

「……退避だな。ワープを使えるタイプだったのかもしれない……たまにあるんだ。種類によるけど、奴らも一応生命体だから、逃げられることがある」

「……逃げられたってことですか」

「……そうなるね」

 ルカのその言葉を聞いて、俺は複雑な気持ちでその場を後にした。


「初戦は不完全燃焼に終わっちゃったね」

 と、リサが例の応接室で話しかけてきた。集まってミーティングをしよう、となったのだ。予想外のことが起こったからだった。ルカが言う。

「……珍しいことだ。滅多に退避などしない。いや、する奴もいるが正確には……」

「普通に走ったり、高速移動することはあるけど……ワープってことでしょ? 俺は見たことないな」

 とタイガ。ほとんど侵略者はワープを使わないと聞いたことに、俺は驚く。あんな道具があるぐらいだから日常茶飯事かと思ったのだ。タイガは続ける。

「それって『k-58』なんだろ? 今までの報告では逃げたなんてなかったよな」

「……暫く現れないといいけどね」

 ルカが深刻な面持ちで返す。俺はふと疑問に思って聞いた。

「どのぐらいの頻度で侵略者って来るんですか?」

「入隊の時渡したやつに書いてたけど? ……大体月一ぐらい」

 読み込みが足りてなかったようだ。月一……。まぁまぁな頻度だなと思うが、同時になぜ立て続けに来たりはしないのだろうかという疑問も生じた。書いてあった記憶を辿ると、奴らは自我を持つかもコミュケーションが取れるかも現段階では不明。例の分厚い壁をやぶって内部に侵入し、地区を荒らしていく……という。

「……」

「とりあえずお疲れ様。どうにもならないから今日は解散でいい」

 ルカが言って、とりあえずその場は解散になった。


 俺とリサが寮に戻ろうとしていると、後ろからタイガに呼びかけられた。

「お疲れ様。突然だけど明日休日じゃん。飯でも食い行かない? リヒトとルカも誘ってさ! 同期会!」

気さくな声とは裏腹に相変わらずあまり変わらない表情のタイガ。ところで……休日。初めてな気がしたけれど、そんなことは無かった。今まで慣れないことや訓練で疲れで一日中寝て消費していただけだ。

「いいけど、どこに? 食堂?」

「何言ってるんだ。校外に決まってるだろ」

「えっ」

「校外! 私久しぶりかも」

 リサが言う。俺は驚いて二人に聞いた。

「学校の外に出ていいのか?!」

「届けさえ出して門限を守ればいいに決まっているだろ」

 そう……いうものなのか。もっと厳しいのかと思っていた。

「その様子じゃあジンはまだ外出したことないだろ?」

「う、うん」

「じゃあ行こうぜ。正門集合、もちろん私服!」

「分かったー!」

 リサが元気よく返事した。リサは輝いた目で俺に話しかける。

「私も二ヶ月ぶりぐらいなの! どこ行くんだろ〜」

「……俺は初めてだ」

「……そっか。そうだね。じゃあ案内する」

 リサはにっこりと笑ったが、そこに少し影が見えたのは、やはり友人である『ジン』のことを思い出したからだろうか。どことなく、罪悪感が湧いた。


「……お前それ私服じゃねぇだろ!」

 待ち合わせの校門に行くと、俺は盛大にタイガにつっこまれた。どれがいいか分からずジャージを着てしまったからだ。仕方ないだろ、初めてなんだから。と心の中で言い訳を並べる。リサもよこで軽くため息をついていた。

 かくいう二人は、タイガは黒いパーカーにジーンズと無難な服、リサはふわりとしたシルエットの可愛らしいブラウスにタイトスカートを履いて、上品かつ可愛らしく仕上がっていた。なおかつ髪型もハーフアップ……というのだろうか、に普段とは変えていて、俺は驚いて、二人に言う。

「……逆に二人似合うね?! センス良いね?! すごい……!」

「ふふん」

褒めるとリサは得意げに笑ったが、タイガは「俺は無難にしただけだよ」と笑った。あれ、と思い聞いた。

「リヒトとルカは……」

「リヒトはめんどくさいから来ないってさ。でもルカは来るって……」

「……お待たせ……」

 ルカの声に若干びくつきながら振り向くと……

「「「いやジャージかい!!」」」

 ……三人の声がピッタリ重なった。予想外だ。ルカもジャージで来ていたのだ。ルカは少しいつもは見せないような恥じらいを垣間見せながら言い訳した。

「だ、だって遊ぶことなんて私滅多にないんだから……」

「だとしてもジャージ……ですか……」

 リサが突っ込むと、「うるさい!」と一喝した。逆ギレである。俺とタイガは顔を見合せて笑う。ルカは思っていたより怖い人じゃないのかもしれないな、と少し微笑ましく思った。


 俺たちはとりあえず服屋に入った。色んな服があったが、俺はシンプルな服を、ルカは散々着替えさせられて遊ばれた上にフリフリの服が似合わないとタイガに切り捨てられ怒っていた。そういう、普通の学生のようなやりとりを、俺は楽しんでいた。ここに来てから初めて、心の底から楽しいと思ったかもしれなかった。


「歩いたね〜」

リサが疲れたように言う。俺たちは適当に入ったご飯屋で食べていた。色々な食べ物があって、リサはパスタをクルクル巻いていた。俺はハンバーグを切りながら答えた。

「色々あるんだな、この街」

 服屋以外にも、色々な場所があった。勿論人が住むための場所……家々もあったし、アミューズメントパークから温泉まで色々なものがあるらしかった。その発展ぶりはとんでもなく、俺はこの地区に正直舌を巻いていた。タイガが返す。

「まぁ四地区のなかで一番発展してるって言われてるしな」

「そういえば他の地区って……?」

「あんまり知らないけどここまで発展はしてないとかなんとか。小中の授業で軽―く習うぐらいだからあんまり覚えてないなぁ」

 うーんとタイガ。ルカが言った。ルカはエビフライを口に放って飲み込んでからタイガの言葉に返した。

「四地区はそれぞれの発展を促すために貿易や外交をあんまり積極的にはしていないからな。そもそもだいぶ前にAU地区は全壊してそれどころじゃなかったし、落ち着いたと思ったらSP地区だからな……しばらくはあるとしたらSP地区からの支援依頼とかじゃないか?」

「そうでしょうね」

 リサが同意したところで、ルカのジャージから着信音が鳴った。ん?とルカが出ると、何かを話し始めた。どうやら深刻な話らしく、俺たち三人は目を見合せて食事を続ける。ルカの通信が終わったらしく、言った。

「……ルイ先輩からだ。……私とリサとジン。この三人に本部からお呼びがかかったと……」

「軍本部ですか?」とリサ。

「……いや、作戦本部の方だ」

「作戦本部……って中心都市の!?」

 四人で顔を見合せた。タイガは「……俺は仲間はずれか……」と呟いて、彼の食べていたカレーライスを頬張った。

うららです。

いつもと比べて多少短めですがキリがいいので。

やっと起承転結の起が終わったぐらいですかねぇ。

このままちゃんと完結させられますように!!

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