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桃色の陽光 三月三日に

作者: 檸檬

母の枕元にある本棚は硝子の扉


綺麗に整頓されていた


ミステリー小説の数々


ばあちゃんの本棚 箪笥の隅っこに


隠すようにサザエさんシリーズ


断然私はおおらかなばあちゃん派だった


箪笥の隅っこを開ける時


とてもワクワクしたんだ


子供だったからね


アニメより少し激しくてシュールな感じが

なんとも好きだった


今日は

そのサザエさんシリーズがあったような


箪笥の横に飾っているんだ 


母の何十年と続けてきた趣味である

ロマンドールの陶器の手作り人形


西洋風雛人形


お顔がとても優しいから好きなんだ


飾った日にはなんだか不満そうな顔に見えたけど


今日じっくりと見てみると


和やかに笑ってた


細かい手作りの衣装に花飾り


お内裏様とお雛様 


ふたり並んで和やかな桃の節句


部屋の窓からの陽光に


母の粘土を捏ねる細やかな手と

よく手を繋いでくれたばあちゃんの

おおらかな手が浮かんで


ふたりの笑顔が重なった


ふたりの笑顔は違うようで


どこか似ていて 心の奥からあたたかになった


女性の手がいつまでも


落ち着いて和やかになにかを紡いでいける


そんな世の中はどこか


薄紅色のしあわせが漂っている


桃の花飾り


花のような笑顔に感謝が溢れた


3月3日の日に 桃色の花を飾り


女性の手が震えることのない


自由と平和と愛を


いつまでも この手に


箪笥の隅に隠すことなく


和やかに掲げよう 女性として生まれた熱情を


もしも人形が壊れる時がきても


今日の和やかなお顔を忘れたくない


ふたりの手のぬくもりと笑顔を覚えておきたい


時に苦しい時にもゆっくりとおおらかに


少しずつ細やかに紡いでいたその手を


その時の陽光の様な眩さを























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