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高校デビューは大失敗に終わったけど...?

はじめまして、「弓林」と書いて、「キュウリン」と読みます。

どうぞよろしくお願いいたします...!


さて、

拙い文章かもしれませんが、

ぜひ読んで頂ければと思います。


一話2〜3千文字で投稿していきます。


よろしくお願いいたします...!


************************



第一章『何もかもが初めての日に出会う』



**********************



サイコメトリーとは、人の記憶が読める能力らしい。

でも、実際はそんな便利なものではない。

現に私は出来ることなら、この能力には消えて欲しいと思ってる。

世の中、ヒーローモノやら、異能モノ、異世界転生などで盛り上がっているが、何がいいのかさっぱりわからない。

わからないからこそ、使わないようにしている。


だって、まず能力には制限があるから。

私の能力は、あくまで「()()()()()()()()()()()()()」を「()()()()()()」事しかできない。当時どんな感情で、視野に入っていない部分がどうなっていたかまでは分からない。


ーーーただ、他者の()()()()()()()を傍観できるだけ。

それも、ポップコーンとコーラを添えて、ムシャムシャ食べながら観る気軽さで。


そして、発動にだって条件はある。

()()()()()()()()()()()()()()()んだ。


人の記憶世界は、まるで海のような感じ。真っ青で、その中を私は歩いて、()()()()=『記泡(きほう)』に映る映像から見極め、選別して確認する。

何故、見極めた選抜が必要かって...関係ない記憶は極力見たくないから。


だって、プライベートなことでしょ?

好奇心は自分を殺すって、有名な言葉じゃないかな?



そう思いながら、今いるこの教室で、

私は見事にーーーー「ぼっち」を極めていた。



***


「(...オワった)」


登校初日というのは、なかなか大切なもの。

そこで8割型、今後の人間関係が決まると言っても過言じゃない。

少しシャイで、大人しい方の人間だと自負してる私は、思い切って前髪を「オン眉」にし、THE元気っ子代表キャラを狙ったが......


「(自分から話しかけに行かないなら、意味なくない??)」

普通に誰も話しかけてくれなかった。誰もだ。



こう見えて、私はハーフだ。

オーストリア人の父と日本人の母の間に生まれ、髪は黒いが目は薄いグレーが混じった青色。

そこそこ、モテそうな要素は多いけど、なにぶん口数が少ない。

しかも、2039年の今、流行ってもいない「オン眉」をしてるのだから、相乗効果なんて言葉じゃ表せないくらい、マイナス値が加速してる。


ここで、明るそうな女の子達の集団が声をかけてきた。


女子A「えぇ!目青くない!?カラコン...?」

女子B「校則セーフだったっけ...?大丈夫?名前教えてよ!」

女子C「初日からめっちゃ飛ばすねw」


カラコンの件はよくある。これで私が金髪だったなら、ハーフと聞かれていただろうけど、あいにくとても綺麗な黒髪だ。


私「あっ、私ハーフなんだ...。名前は、朝日あさひ 美景みかげ...よろしくね...?」


悔しいことに、疑問もないのに疑問系のような語尾になってしまった。


女子A「あっ、よろしくー!ハーフなんだー!」

女子C「通りで!外国人っぽいと思ったんだよねー!どことどこのハーフなの!?」


ここまではお決まりのパターンで食い付かれる。

問題はこの後だ。ハーフのくだりが消えたら、何も話すことがない。

私には、趣味らしい趣味もあまり無く、部活でやってた吹奏楽部は、この高校には無い。

少しの間静寂が流れ、取り巻き達は「あはは...」と言いながら、言い放ったのがーー「前髪、短いね!」だった。


つまり、容姿以外で話題になりそうな箇所は、陽キャですら見つけられなかったというわけだ。最悪じゃないか。


私「あっ、張り切って切りすぎちゃったんだよね...ゴメン...」

女子B「えっ笑 何で謝るの?笑」

女子C「あはは...でも、ハーフって明るい子多いイメージだったけど、静かなんだね朝日()()は!」


苗字呼びだ、これはもうグループへの昇格は厳しい。


ーーーカーンコーンカーンコーン。


救いのチャイム過ぎた。けど、ホームルーム前の交流としては、何とも情けない結果で終わった。

そして、この後は事務的な授業が続き、登校初日にしてSNSすら交換されなかった。ハーフという絶好の要素すら活かせない自分に、心で滝のような涙を流しておいた。


こうして、初日はトボトボとした足取りで校門を出て、帰路に着いた。もちろん、1人でだ。

しかし、せっかくの高校生デビューなのだから、中学ではなかなかさせて貰えなかった、『寄り道』はしたい。

地図アプリを開き、近場にあるカフェを検索したら、1件...窓からの景色が綺麗な、坂の上にあるカフェを見つけた。

メンタルブレイク中ではあるけれど、そこは頑張りどころ。

帰宅ルート半ばから背を向けUターンし、坂道の入り口まで行く。

重い足どりに対して、初めての寄り道ということで、気持ちは軽やかだった。


私「はぁ...はぁ.......キッツ.....っ」


中々勾配のある坂だったが、何とか登り切った。肺が痛い中、息を整え、顔を上げると、小さなカフェがポツンと一軒だけ、左手にあった。右手には林があり、坂は更に上へ続いていた。カフェの周りは整備されているのか、芝生で囲まれていて、見晴らしが良かった。


私「(こんなに見晴らしが良くて、周りに腰ほどの草木しかなくて、住家も一個下のゾーンにあるとなると...土地代高そう)」


生々しすぎる感想と共に、若者が好きな映え的には最高にいいカフェだとも思った。なのに、列どころか店内はカランとしてる。入り口に置かれたハットを被った白いウサギは、頑張れば不思議な国のアリスに出てくるキャラクターに見えなくもない。

コンセプトカフェだろうか?

恐る恐る取っ手に手をかけ、扉を押したーーー。


カランッ カランーーッ


カウンターの奥にいた男性と目が合う。

(どこかで会ったことがあるような.....??)

思考を巡らせる間もなく、男性が発した。


男性「ーーッ! 

   ようこそ、カフェ『yours’(ユアーズ)』へ。」



優しいを具現化したなら、このような人になるのだろうと思わせるくらい、柔和で無邪気な笑顔。

センターで分けた前髪が片方は垂れ下がり、もう片方は耳にかけ、スッと切れ長の目がこちらを見ている。それはもうとてもスマートイケメンだ。おまけに、口元にホクロまであるときた。要素としては完璧。

だけど....、年齢的にも30後半か手前はありそうな、適度なホリの深さとシワがある。

これは...ーーーー


美景「これは...イケおじだ......っ!!」

男「えっ....イ...イケおじ???」



これが私と彼の初対面。

何もかもが初めてだった日に、起きたこの出会いが、

私の人生を想いもよらぬ方向へと動かすーー。


****


第一章『何もかもが初めての日に出会う』ーーーーfin


****


次回、第二章『アンティークショップカフェ《yours’》』


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