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70.  お願い

 一旦外へ出て僕は気づいてしまった。 オーブ取得ツアーが途中からアイテムボックス取得ツアーに趣旨が変わってしまっていたことに。 本来はオーブ取得で皆を強化することが目的だったのに。


 帰って来た僕が見たもの、それは女子達の満面の笑顔だった。 

 まあ、これはこれで僕も嬉しいし楽しい。 何となくだが、女性に貢物をする男の心情というのが分かった気がする。  


 ……イヤイヤまだだ。 僕はまだそんな気持ちを理解してはいけない。 女に貢いで身を持ち崩すにはまだ年齢が若すぎる。


 そう思って頭を振り振りしていたのを見てマリが話しかけて来た。


「ヨシ、どうした? 何か不都合なことがあるのか?」


「そんなことはないさ。 ただね」


 僕は楽しそうに(かしま)しく会話している女子たちに目を向けた。 楽しそうに(はしゃ)ぐその姿はまるで子供のようだ。 これじゃオーブ取得ツアーを続けるどころの話じゃないかもしれない。



「ああ、そうだな。 俺も彼女達があんなに喜ぶなんて予想外だったな。 今日はこれまでだな。 これ以上やっても身が入らんだろう」


「そうだよな。 時間は、……午後6時半か。 って、ああっ!」


「どうした? 何か問題が?」


「昼食を食べ忘れてるっ!」


「お前、ダンジョンに入る直前に食べただろう」


「あ、いや間違えた。 おやつを食べ忘れてるっ」


「それも中で食べたと思うぞ」


「……」



「ヨシ、別に俺にボケて見せなくたっていいと思うがな」


「でもさ、お腹がかなり減っているような気がするんだけど」


「まあ、今回はかなり気を遣わせてしまったからな。 思いのほかストレスが溜まって腹が減ったんだろう」


「まあ、確かにね。 最後のカナさんの時にはどうなるかと思ったよ」


「ああ、あれはちょっとスリリングな展開だったな。 あれでアイテムボックスが出なかったらどうなるんだと思ったぜ」


「いや、その前にスキルオーブだろ。 僕が”噛み付き小石”を倒しても一個もでなかったんだよ。 やはりゲームのように初回撃破のボーナスとかなのかな? そんなことも有るって聞いたような気がするけど」


「俺に聞くな。 分かるわけねーよ。 まあ初回撃破ボーナスはあるという話だがな」


「それに彼女達が取得したスキルはアイテムボックスだけだったよな。 こんなに取得スキルが偏るなんておかしくないか?」


「おい、俺とお前が獲得したスキルが何かを忘れているぞ。 ……それにしても確かに変だったな。 スキル取得はランダムと言われちゃいるが、実際に出るときにはランダムじゃねーな」


「マリの言っていることはわかる気がするけど、出るときは続けてでるし、出ないときは徹底して出ないってことだよな?」


「いや、たぶん違うな。 やはりお前のプライベートダンジョンは特別なんじゃねーか? 何となくだが、お願いを聞き入れるみたいな感じだぞ?」


「ということは、マリはやっぱり、ポーター役になりたかったという事か」


「……」



「ポーター役はともかく、アイテムボックスは俺だって欲しかったのは事実だな。 あれは誰でも憧れる夢のスキルだからな」


「なるほど、まあそれじゃ”お願い”説も仮説の一つとして考えて置くかな。 今度は、そうだな。  僕はDEXアップのオーブが出るのをお願いしたいな」



 僕は自分のステータスを確認してみた。



 LV 88


 HP   2000 + 60%

 MP   2000

 STR  2000 + 180%

 VIT  2000 + 360%

 AGI  2000 + 160%

 DEX  2000

 INT  2000

 MND  2000


 スキル:  体力3(ON)、筋力9(ON)、頑健18(ON)、俊敏8(ON)、回復魔法3(50/50)、アイテムボックス5 (5/10)

 ユニークスキル:  急所突き、ダンジョン生成、ダンジョン内探知



 ところどころで僕もオーブも使っていたので全てのステータスが上限に達していた。 上限とは言っても通常の倍の2000だ。 普通じゃない。

 攻撃的には突きの効果を高めるためにDEXだけが低くてアンバランスな状態だ。 今は何よりこのDEXが重要だと思っている。 DEXのスキルブーストが付けられれば、思いっきりクリティカル攻撃ができるのだ。 そうは言ってもそれが必要になる魔物は、今のところ”噛み付き大岩” ぐらいだけど。



 結局その日はそのまま解散となった。 彼女達は夕食も取らずにさっさと2D-VRルームへ行ってしまった。 恐らくアイテムボックスへ入れておきたい物――縫いぐるみ?とか簡易トイレとか、をサロナーズオンラインで注文するんじゃないかと思う。 

 マリは疲れてしまったのか、僕とホテルで夕食を取ったあと、そのまま部屋へ引き籠ってしまった。


 そして僕は、夜の活動――プライベートダンジョンの攻略を進めようとしていた。

 やはり高レベルの武器はかなり有用だ。 できるだけ”噛み付き岩”とかを倒して手に入れておきたいと思ったのだ。 今のところそいつは僕だけしか倒せないのだからソロの方が好都合だ。

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