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63.  第14区画へ

 それから自転車に乗って僕らはダンジョンの奥へと進んで行った。 途中の弱い魔物は全てスルーだ。 もちろん途中の”噛み付き石”は見逃さない。 ”噛み付き岩”は絶対に見逃さない。 スキルオーブを落とす可能性があるからだ。 

 僕の少ない経験では ”噛み付き石"もスキルオーブを落とすことがあるのだが、その確率はかなり低い。 それに対して”噛み付き岩”はスキルオーブを結構な確率で落とす感じなのだ。 


 スキルオーブはともかく、倒したその場でドロップした普通のオーブはできるだけマリ達に順番で使用してもらうことにしている。 僕とパーティを組みダンジョンを攻略してもらうためにはメンバーに強くなってもらわなければならない。 また初級ダンジョンの攻略を安全に進めるためにもできる限りステータスは上げておきたい。



 そして僕らは第7区画、ハイゴブリンのいるゾーンへ到達した。 マリや彼女らは初見であるものの、ステータス上は十分対処できるはずなので、ここからは僕抜きで殲滅してもらうことにした。 もちろん安全のためにVRヘルメットは装着してもらった。 

 結果、最初マリ達は少しだけぎこちなかったが、次第にハイゴブリンと自分たちとの実力差を認識し、圧勝という形で何の問題もなかった。



 第8区画の殿様バッタも同様に倒してもらい、第9区画のオーガのところへやって来た。 僕の見立てではオーガも相手にならないはずなので、今まで同様に戦ってもらうことにした。


「ええっ? あれってオーガじゃないの? オーガっていえばレベル30付近の魔物で初級ダンジョンのボスクラスよ? 私たちが戦っても大丈夫なの?」


 ミレイさんが心配そうに僕に聞いて来た。



「ああ、あれはオーガだよね。 だけどこのダンジョンのオーガは、めっちゃ弱かったよ。  大丈夫だから戦ってみてよ。 危なそうだったら僕が手を貸すから」


「お、おい。 本当に大丈夫か?」


「ああ、大丈夫さ。 やってみな」


 結果は当然圧勝。 パーティで戦う意味も感じられないほどの一方的な虐殺だった。 僕の見立てではプライベートダンジョンの敵は弱めのはずなのだ。



 第10区画のビッグキャットだ。


「これって、ビッグキャットよね? レベル40相当って聞いているわよ?」


「ああ、コイツもなんちゃってビッグキャットだったよ。 倒してみてよ」


 もちろんマリ達の圧勝だった。 なんちゃって魔物なんだから当然だ。



 第11区画のビッグタイガー、普通であればレベル50相当だが、同じく圧勝。

 第12区画のレッドウルフ、普通であればレベル60相当だが、問題なく勝利。

 第13区画のブルーインコ、普通であればレベル70相当だ。 多少のアクシデントはあったものの、僕が手を下すまでもなく殲滅できた。


 ちなみに運がいいのか、レッドウルフとかブルーインコは低確率でオーブをドロップしていたようだった。


 う~ん、オーブのドロップって本当に運なのだろうか?



 そしてやってきました第14区画の”噛み付き小石”ゾーン。

 ぱっと見た感じでは、ずっと先まで何もない景色――通路が広がっているだけだ。


「ここは? まさかセーフティーゾーンまで到達したってこと? こんなに簡単にセーフティゾーンまで来れるなんて、このプライベートダンジョン?はイージーなのね」


 安全区画だと思ったミレイさんたちは鬱陶しいVRヘルメットを外しながら僕に問いかけた。


「ちっちっち。 ミレイさん、それは違いますよ。 よく観察してみてください。 ……例えば、ミレイさんの右足の付近とか」


「えっ? 何? 何よ。 あれっ? これは何、小石?」


「なるほど小石のようだな」

「小石ですわね」

「小石か~」



「えっと、まさかこれって?」


「はい、正解です。 口に出してないけど正解です。 ”噛み付き小石”です」


「ま、まさか。 これがこの第14区画にたくさん落ちてるってこと?」


「当たりです」



 僕はそう言ってミレイさんに歩み寄った。 なぜだかミレイさんは僕を避けるように横にどいてくれた。


 僕は無言で、”噛み付き小石”に剣でを突き入れた。 当然一撃で倒すことができて、それはエネルギー石と、オーブを2つドロップしたのである。



「”噛み付き小石”は弱いんですよね。 御覧の通り一発で倒せますし。 もしかしたら<急所突き>でなくても倒せるかもですね。 やってみます?」



 倒せるならマリ達で倒した方が良い。 そうすれば、”僕だけにしかできない”とか思われることもないはずだし、彼らだって自分でオーブを勝ち取りたいはずだ。 僕は歩いて行き、比較的近くにある小石を指さした。



「でもよ。 オーブを2個落とすってさ、レベル100以上の魔物じゃないのか?」


「う~ん。 そうかもだけど、ここの敵って弱めな気がするし、何にせよ修行にはなるんじゃないの? 僕が倒してもいいけど、少しは試して見てもいいんじゃないかな」


「そうね。 とりあえずやってみましょう。 ダメだったらヨシ君に頼るしかないけど」



「それじゃ、僕は奥の方からこの小石を倒していきますね」


 そうは言ったものの、暫くその場で見守ることにした。

 僕にはその小石の急所がハッキリと見える。 今までの修行――石や岩との戦いで、低レベルの魔物なら、()()がハッキリと見えるようになっていたのだ。 そして僕はマリや彼女らが急所を突けるかどうか、そして突いた場合にどうなるかが知りたかったのだ。

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