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35.  君たちはJK

 レイナさんは僕の発言から少し間をおいてから話をつづけた。


「売却について父に相談するのはいいのですが。 流石に事情を話さないといけませんね。 あと、”噛みつき石”についての件も信じて貰えるかも問題だわ。 いくら私のお願いといっても、高価なエネルギー石を複数となると事情を伏せたままでは無理だと思うわ」


「それよりも、私たちにはメリットがあるけど、ヨシさんにはそれでいいの? 私たちだって与えられるだけじゃ気が引けてしてしまうわよ」


「それじゃ、サインください」


「……何のことです?」


「ほら、”疾風の白狼”の、プレミアムデジタルアート」


「あ、ああ、それね。 ……そんなんでいいの? あ!でもそれは、……ちょっとスポンサーとも交渉しておきますね」


 よし! 念願のサインをゲットする目途がついた。 妹とかに自慢してやろう。 


「……」


「それだけで、釣り合う話ではないかもだけど、今後のことを考えると、私たちの伝手(つて)を最大限に利用してもらうのがいいと思うわ。 実際には私たち自身の力というわけではないのだけど……」


「ええと、面倒なことはお任せできるということですよね? 是非ともお願いします」


「口座の問題や税金の問題とか財政的な事はレイナに任せて大丈夫よ。 高額素材とかは、ただ売れればよいという訳ではないからね。 ミレイは何かある?」


「ええと、私としては、エネルギー石の売却は最小限に留めるべきだと思うわ。 下手すると大騒ぎになりかねないのよ。  まあオーブだけなら、……ちょっと図々しい感じだけど、使っちゃえば存在を隠し通せるからまだましね」


「えっと、今は結局面倒だから、エネルギー石の売却は最小限に留めた方が良いって話?  僕のストック分は温存しておいたほうが良い?」


「今は温存するしかないと思うわ。 それでも売却対象のエネルギー石は2つあるので、期待金額は2000万円になります。 個人だといろいろと厄介な金額ですが、法人とかが作れれば装備とかを経費扱いにできるし何かと便利と思います。 ですが、私たちはまだ高校生だし、まだ保護者の承諾が必要なところが問題だと思うの」


「あれっ? 会社の登録は15才以上で可能なはずじゃないの? レイナ勘違いしてない? それに私たちは18才で成人したから冒険者になれたのよ?」


「そ、そんなことは、ちょっと待ってね。 …… あ、ああ。 ミレイの言う通り私の勘違いだったわ。 法人を作ることは可能ね」


「あの~。 君たちはJKだったの? 僕は大学2年なんだけど、何かいままでタメ口だったような気がするんだけど?」


「何? 問題があるの?」


「……いえ、ありません」


 カナさんとミレイさんに睨まれた僕は、為すすべなく降伏したのだった。


「なら問題ないわね。私たちも会社設立の発起人になれるようだけど、ここはキーマンで年長さんにお願いするのがよさそうね」


 年長さんって、幼児か! とも思ったが、そういう所にいらぬ突っ込みを入れると面倒になるの止めておいた。


「ってことは、僕かマリが発起人ということ?」


「キーマンはどう考えてもお前だ、ヨシ、お前がやるしかないな」


「ええ~面倒だな~」


「まあ、手続きとかは、父の伝手(つて)で、その手のプロにお願いすればよいのです。 では会社を設立ということで良いですか?」


 全員同意したので、会社を設立することになった。 面倒なことはレイナさんに任せておけばよいだろう。 年下だけど、僕やマリよりもしっかりしている。


「エネルギー石の売却については、会社設立後に改めて検討しましょう。 それまではストックね」 


「ふぅ~。 やっと終わったか」




「終わってないんじゃない?」


「そうよ、まだオーブとドロップ品について話し合わなきゃ」


「う~ん。 任せていい?」


「ダメ。貴方の希望は均等配分で、端数のオーブは当面マリさんに使ってもらうということでいいのかしら?」


「うん。それが希望です。 ええと、マリはオーブ使ったことが無いから、マリが余分に使った端数の合計が20個に達したら、あとは完全に均等割りがいいと思う」


「なるほど、ではそういう事にしましょ。 それから素材なんですけど。 これも高級品かもしれないから今売却とはできないわね。 それらもストックね」


「ええ~? 結局お金は手に入らないのか。 僕、大丈夫かな。 AI操作式じゃない個人所有の小型車を買いたいんだけど……」


「ん? 今時そんなのは買えないわよ? 個人所有はともかく、AI非搭載なんて走る凶器じゃない。何に使うの?」


「え、ええと。 趣味?」


 本当は、プライベートダンジョンの中の移動で使いたいのだ。 移動距離が長いのが地味にしんどいのである。


 ミレイさんとカナさんにまじまじと見つめられた気がした。 スポーツ目的で自動車やバイクの所有はありだが、昔と違いそれらは専用のコースを借りなければならないし、兎に角お金持ちにしかできない趣味なのだ。


 それはいいとしても、そろそろプライベートダンジョンについて白状すべきだろうか? ……いや、まだだ。 もう少しプライベートダンジョンのことを調査してからだ。 いずれパーティのレベル上げに使おうかと思うのだが、僕もかなり強くなっているので、ソロで行けるところまで探索をしてやるのだ。


「ヨシさんの趣味にどうこう言うつもりはありませんが。 オークションで手に入れるにしても結構な金額になるはずです。 すぐにでもお金が必要なら、エネルギー石を担保に父から借りてあげましょうか? 本来の価格の半分くらいで貸してもらえるはずです」


「レイナさん。 是非お願いします。 手元に纏まったお金があればかなり安心できるんです。 ちょっと苦労したことがあるので」


 よし、お金も近々手に入りそうだ。 ならばプライベートダンジョンに潜って当分の間はレベル上げとかに(いそ)しもう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「本当は、プライベートダンジョンの中の移動で使いたいのだ。 移動距離が長いのが地味にしんどいのである。」 自転車を持ち込んだら良いのでは
[一言] 有能JK( ´ー`) 石意外は秘密にしたし、マリはまぁ置いといて、Win-Winぽくなったのですっきりしました。
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