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31.  大物

 朝になり目を覚ました。

 暫くぼーっとしていたのだが、腹が減ったので無料の味気ないデリバリー朝食を取り、シャワーを浴びた。

 ステータスを確認したが、昨日の事は夢ではなかったようで安心した。


 何気に部屋の時計を見ると、午前9時40分だった。


 おお~もう9時40分か~。

 さて今日はどうしようかな。


 携帯端末を見てビックリしてしてしまった。 電源が切れてしまっていたのだ。

 携帯端末にはエネルギー石が使われていて、フルに活用しても2年は持つのだが、もう3年くらい経っていたのだ。 電源切れする可能性の警告がたびたび出ていたのだが、面倒なのでバッテリー交換を後回しにし続けていたのが原因だ。 

 こうなったらエネルギー石製のバッテリーを交換しなければならない。 部屋のAIパソコンを起動し、動画を参照にしながら四苦八苦して携帯端末のバッテリーボックスを開けた。 規格を見るとどうやら0.2Aタイプのエネルギー石を入れなければならないらしい。


 はぁ~専用のエネルギー石を買わないとだめなのか? そう思ったのだが、よく考えたら僕のアイテムボックスの中にいろいろなエネルギー石の在庫が沢山ある。

 携帯端末用のエネルギー石は、0.2Aタイプ、……ノミネズミのエネルギー石ぐらいだろうか。 僕はアイテムボックスからエネルギー石をじゃじゃじゃらと取り出してみた。 いろいろな種類があるが、今使われているものと同じエネルギー石を選べば良いだろう。


 僕は携帯端末から使用済エネルギー石を取り出す作業に入った。 まずは使用済エネルギー石を電源活性化装置の先端でつついて不活性にした。 少しでも残存エネルギーがあると感電してしまうから、ここは注意せねばならない。 ちなみに電源活性化装置とは、エネルギー石を活性化したり不活性化したりする装置だ。


 取り出した使用済エネルギー石と同じようなエネルギー石を手持ちから探す。 結論としては手持ちに同じ石がたくさんあった。 携帯端末のバッテリーは、やはりノミネズミのエネルギー石だったようだ。 

 それを携帯端末のバッテリーケースへ嵌め込み、電源活性化装置で電池に替えると、電源が入りいきなり着信音が鳴り響いた。


 驚いて内容を見ると泊里(マリ)からのメッセージと、サロナーズオンラインからのメッセージだった。

 泊里(マリ)からのメッセージを見ると、今日の予定の話だった。 授業を受けた後に、例の2986ダンジョンに行こうとのことだった。 了承のメールを出そうとして、ハタと気づいた。


 ヤッベ! 今日は授業の日だったじゃん!


 直ぐにVRゴーグルをつけて、サロナーズオンラインにログインすると、いきなり教室へと転送された。

 時刻は10時6分で6分の遅刻だった。 授業では遅刻は10分まで許されており、それ以上だと出席ができない仕組みなのでギリギリだった。


 間髪容れずにAI教師からの個人授業が始まった。 90分間の授業に6分の遅刻のため、その分ハイペースで授業が進む。 たった6分の差だったのだが、いつものような余裕な感じではなく、気を張り詰めた授業になってしまった。

 授業を真面目に受けたためか、小テストにはなんとか合格できた。 テストが終わり放心状態だったのだが、そこへ泊里(マリ)が話しかけてきた。


「遅刻を何とも思わない、大物のヨシ君。 小テストは無事合格したか?」


「ああ、勿論さ。 お前とは頭の出来が違うようだからな」


「……俺にそんな口利くとは、やはりお前は大物だな」


「……」


「それはそうと、今日はまた例の2986ダンジョンへ行くのか?」


「おう、行こうぜ。 昨日行けなかったからアイツ等も焦っているようだぞ?」


「なんで1日ぐらいで焦る必要があるんだよ。訳わからないよ」


「聞いたところじゃ、今月中に初期ダンジョンを6人以下のF級パーティで攻略する必要があるんだと。 なんかスポンサーがどうとか言ってたな」


「スポンサーか。 有名人って大変だな~」


「そうそう、有名人って大変だな、ほらアイツ等の本アカの所属、何といったかな。 そこって厳しいよな」


「ああ、”疾風の白狼”がそんなに厳しいとは思わなかったよ」


「ええっ! 疾風の白狼だと~!」


「ええっ! お前まさか、知らなかったのに僕に鎌をかけたのか?」


「そうか、”疾風の白狼”か、そりゃまた随分大物だったんだな」


「……」


泊里(マリ)、僕がしゃべったなんて言うんじゃないぞ。 下手すりゃネット上で追い込まれるからな」


「お、おう。確かにヤベーな。 あんな美人や可愛い子たちが、”疾風の白狼”の所属だとバレると、大騒ぎになって、……って俺たちに被害は無いじゃないか?」


「馬鹿か、他の”疾風の白狼”メンバーやスポンサー?から追い込まれるだろ。 兎に角しゃべらないことだよ」


「……わかった」


 僕らは彼女らの正体については絶対口外しないと、心に固く誓ったのだった。


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