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25/202

25.  モヤモヤした何か

 アパートに帰宅してから気合を入れた。


 よし! これからが本番だ。 昨日の続き、<ダンジョン生成>を調べるのだ。


 その前に残っていたオーブを金庫から取り出して使うことに決めた。 武器と防具を手に入れたから、売却する必要が無くなったからだ。 それにオーブの出所を追及されると不味(まず)いということもある。  


 とりあえずのお金は心配ないはずだ。 ……心配ないよね? エネルギー石も残してあるし、家の事情も切迫しているというわけでもないし。 当たり前だが使ってしまったものは取り返しがつかないので少しだけ迷いはあった。


 結果、僕のステータスは以下のようになった。


 LV  20 


 HP 129

 MP 132

 STR 109

 VIT 169 + 140%

 AGI 131

 DEX 117

 INT 119

 MND 113

 スキル 頑健7(ON)

 ユニークスキル 急所突き、ダンジョン生成


 防御力を示すVITが突出している。 これはスキルの恩恵も大きいが、乱数のいたずらで基本値が大きいことによるのだ。 ステータスの上昇はランダムなので今後の運次第では反転した結果になることもあり得る。 できればSTRとかも上がれば良かったのにと思うのだが、こればかりは仕方がない。


 そして僕はユニークスキルについてネットで真剣に調べ始めた。

 出てくる情報はほぼ僕が知っていることか、AIによりフェイクと判断されていたり、疑わしい情報がほとんどだった。

 その中で一つだけ気になる情報を見つけることができた。 ユニークスキルは使う場所や時刻、天候などの環境で使えたり使えなかったりするという情報だった。


 場所、時刻、天候。


 確かダンジョンは一部の例外を除いて、山の中腹のような場所にある。 もしかしたら<ダンジョン生成>も場所的な制約があるかもしれない。 それなら昨日はアパートの中で試したからスキルが発動しなかったことも説明できる。

 そう思った僕は、いてもたってもいられず、すでに夕暮れに差し掛かっていたにも拘わらず、近所の小山まで自動車で行くことにした。


 AI自動車を山道の脇へ止めて、携帯型のライトを持って山の中へと分け入った。

 そして周囲に誰もいないことを確認して、頭の中で念じてみた。


「ダンジョン生成!」


 暫く待ったのだが、またしても何も起こらなかった。

 もしかして、山の中でも特殊な場所でしか発動しないのかもしれない。

 そう考えた僕は、「ダンジョン生成!」を何度も頭の中で念じながら山の中を歩きだした。

 そして歩くこと1時間ほどで困ったことに山の中で迷子になってしまった。


 辺りはすでに暗くなってきているし寒くなってきた。 夕食も食べてなかったし疲れてしまった。 これはもしや遭難状態なのかもだが、僕にはなぜか現実感がなく他人事のように思えてしまった。


 流石に暗い夜の山の中をこのまま迷い歩き続けるのは危険と思い、休める場所を探したが良い場所がなかなか見つからない。 GPSを使って位置確認はできるが、暗いところを直線的に移動するのは危険だし、現にさっき転んで痛い思いをしたばかりだ。

 そうこうしているうちに夜は(ふけ)けていき、携帯端末をみたら今は夜の11時になってしまっていた。


 ああ、しくじった。 つい欲望の(おもむ)くまま後先考えずに行動してしまった。 明日の朝にすれば良かった。 このまま僕はどうなるんだろう。


 不安にかられた僕だったが、携帯端末を使って救援要請を出すことはできなかった。 多額の借金を負うことになるので、それはできるだけ避けたかった。 


 幸い気温も高めでコートも持ってきていたので、起きてさえいればそんなに危険はないかもしれない。 いずれにしても、今日は山の中で徹夜になりそうだ。


 僕は山の中で一夜を過ごす覚悟を決めた。

 覚悟を決めたのだが、突然トイレに行きたくなってしまった。 これはまあ良くあることだ。

 僕は男でトイレも小の方だからどうにでもなるが、現代っ子の僕としては外でしたことがない。 迫りくる自然的な欲求に抵抗しつつ、付近で隠れてできる場所を必死に探し回った。 そしてやっと岩に三方が囲まれた場所を見つけて用を足すことができた。


 はぁ~ 疲れたな。

 無事に事を成し遂げた僕は疲れたてしまったため、岩肌に手を置いて今まで繰り返した言葉を機械的に発してしまった。


「ダンジョン生成」


 その途端、岩に触れていた手を中心にモヤモヤした何かが湧き出した。


 うげっ! なんじゃこりゃ?


 驚いていると、中に引きずり込まれそうな気がしたので、僕は慌てて岩から手を離してしまった。

 するとそのモヤモヤは次第に小さくなり消えていった。

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