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20/202

20.  オンライン授業

 明くる日、目覚めた僕は昨日の出来事を確かめるようにステータスを確認した。

 現実で間違いないようだ。 <ダンジョン生成>がユニークスキルとして増えているしレベルも上がっている。 オーブも手元に4つある。


 ん? 4つ?

 そういえば、1つ使う決心をしたはずだが、使ってなかったな。

 

 それではと、オーブを一つ片手にもって握り潰して使ってみた。


 <ステータス AGIを+10%しました>


 潰した途端に僕の中でメッセージが鳴り響いた。


 LV  20 


 HP 129

 MP 127

 STR 109

 VIT 169 + 140%

 AGI 131

 DEX 100

 INT 119

 MND 100

 スキル 頑健7(ON)

 ユニークスキル 急所突き、ダンジョン生成


 なるほど、AGIの数値が+10%されたようだ。 オーブを使った場合は、レベル上昇と同じ効果があり、+1%から+20%までランダムでステータスが上昇するのだ。 でも考えて見れば、220万円かけて+1%しか上がらなかったら結構ショックが大きいんじゃないだろうか。 オーブはやはり高レベル冒険者、つまりレベルが上がり難くて停滞してしまった者たちが使うものなのだ。  またオーブには特殊な効果もあるのだが、それは僕らのようなルーキーにはまだ関係がない。


 ◇ ◇ ◇


 さて、今日は授業を受けないとならない日だ。 大学の授業は、サロナーズオンライン上の教育プログラムで受けることになっている。 実際の教員とそれを補助するAI指導員がそれぞれに教えてくれるのだ。


 この時代ではベーシックインカムによって働かなくても食べて行けるが、それなりに贅沢がしたかったら職業に()いて働かねばならない。 そして働くためには大学卒業資格は取っておいた方が良いのだ。


 僕の通う公立大学は、公費で(まかな)われている大学で、入学試験は無く高校卒業資格さえ持っていれば誰でも入れる大学だ。

 大学卒業資格は科目単位を一定数取得すれば得られるが、1単位が20段階の成績で分類されてしまうため、優秀な成績で資格を得たのかどうかで、全体の優劣判定がちがってくる。 そしてその成績がどの程度かで就職先が決まったりするのだ。


 僕は勉強が嫌いなので、良い成績を取るのは諦めているが、授業をサボるのは好ましくない。 サロナーズオンラインで予約されてしまった授業をパスしても、その時間帯のその他のサービスはブロックされてしまうので暇になってしまう。


 僕はヨシ2864のアバターで待機室を出て教室へ入って行った。 そこには、マリ(泊里)のアバターであるマリ2367が居て僕を待っていた。


「よう、昨日はご苦労さん。結構稼げたな」


「うん。 あれだけ稼げれば装備も簡単に揃えられそうな気がするよ。 それでこの授業が終わったら、また行かないか?」


「ヨシ、お前は昨日のオーク怖くなかったのか? おれは当分オークはごめんだ。 あんな恐ろしい目にあったのは初めてだったしな」


「そうなの? でも余裕で倒せたじゃん。 マラソンで追いつかれもしなかったし」


「そりゃそうだけどよ、マラソンは疲れるんだよ」


「じゃ今度は僕がマラソンしようか」


「……でも、お前を追っていくオークに追いついて、1匹ずつ抜いて倒すなんて芸当はできそうにないんだよな」


マリ(泊里)って結構臆病?」


「ええとな、リアルの戦闘なんだから臆病というより慎重なんだよ。 お前知ってるか? オークにだってやられる冒険者が結構いるんだぞ。 いくら防具の性能が良くてもな、取り囲まれてタコ殴りにされちまえば数時間しか耐えられんそうだぞ」


「そうすると、もう一名は仲間が欲しいな。 戦える奴かマラソンができる奴。 マリ(泊里)、誰か心当たりはない?」


「ゲーム仲間の後輩なら付いてきそうな奴が数名いるがな、リアルを知らねーんだよ。 でもまあ一応メールで誘っておくわ。 それにしてもお前って俺しかフレいないのか?」


「うぐっ、それは聞いてほしく無かったな。 隠してもしょうがないけど、僕はフレを作らない主義だったからね」


「じゃ~後輩からの連絡待ちだな。 おっと授業が始まるから、この件は後でな」


 僕たちはみっちり授業を受けさせられた。 授業の最後には、理解度小テストが行われ、それに通らねば出席日数が稼げないのだ。


「ふぅ、終わった~。 これで遊べるぞ~」


「おお~。 って後輩から返事が来てる。 ちょっと待ってろ」


 ……。


「後輩の一人が参加したいってよ。 何でも先日、実習が終わったばかりで怖いんだと」


「なるほど、それは分かるような気がするよ」


「お前はちっとも怖そうじゃなかったけどな!」


「じゃ後輩を誘うぞ? あれっ、もう一人行きたいって言ってきたぞ。 ヨシ、それでもいいか?」


「う~ん。 分け前が減るけど了解していいよ。 それよりも僕がいることも話しておいてよ」


「それは誘う時点でメールに書いて置いたから大丈夫だろう。 それでっと、待ち合わせは、2986ダンジョンでいいな? 時刻は午後出発ってことだ」


「ああ、わかったよ。 じゃ準備してくる」


 そう言って僕はサロナーズオンラインをログオフして、早めの昼食を済ませてからダンジョンへと向かったのだった。

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