プロローグ 12歳①
「ダンそろそろ起きてきなさい」
俺は母さんの声に従ってダルい体を起こし落ちてくる瞼を開ける努力をしたが無理だった。襲いかかる睡魔に抗えずそのまま眠りに……
ドタドタドタドタ、バタン
「おはよー!愛しのダン!そろそろ起きないと天職の儀に間に合わないぞ!」
つけなかった。父さんに言われて俺はパッと目を見開き体を起こした。
「うわぁ!そうだ今日天職の儀じゃん!」
「はっはっは!さては緊張しすぎて寝れなかったな」
「だって待ちに待った日だから仕方ないじゃん!」
父さんであるアスケラと話しながら2階の寝室から1階の食卓へと走った。
食卓には既に双子の妹であるフリージアと母のサルビアが座ってご飯を食べ終えていた。
「ひどいよ!なんでもっと早く起こしてくれなかったんだよ!」
「なんどもダンを起こしたけど起きなかったのよ。こんな日くらい自分で起きれるようにしなさい」
「お兄ちゃん遅い…」
「うぅ、ごめんって」
「まあそろそろ許してやってくれよ!今日で人生が決まるといってもいいほど天職は重要だから緊張して眠れないのも当たり前さ!」
俺はちゃちゃっとご飯を書き込んで身支度をしにお風呂へ向かった。髪が跳ねてたので直してみんなが待ってるであろう玄関へと向かった。
外に出るとたくさんの人が見えた。
「ごめん!みんな待たせた」
「おっそーい!みんなダンのこと待ってたんだからね!」
幼なじみのアイビーが怒りながらそう言ってきた。アイビーは翠眼で緑色の髪をしておりポニーテールはなのは運動がしやすいようにだとか
「まあ許してあげてよ。僕だって緊張で全然眠れなかったんだから」
「ジニアもそんな甘いこと言うからダンが調子に乗るんでしょ!きちんと悪いところは直してあげなきゃ」
笑顔を浮かべながら俺を庇ってくれたのが幼なじみのジニア。金髪で金色の目をしている爽やかでなんでもできるイケメンだ。
「そろそろ移動しないと天職の儀に間に合わなくなっちゃうわ」
と母が急かしてきた。
「そうだな!みんなよし行こう!」
「だからダンをみんな待ってたんでしょ!」
用意してあった魔動馬車に乗り込み村を出た。ここの村を出て7日程の場所に天職の儀が行われる王都がある。
魔動馬車に揺られながらそっと俺は考え込んだ。俺はこの日をずっと待ち望んでいた。天職の儀は12歳になる歳に神様から職業とステータスが授けられる儀だ。この職業によって人間の人生の大半が決まるといっても過言ではない。
職業は最上級職から下級職まであって最上級職となれば英雄になれたり国で優遇されたりするそうだ。
俺は最上級職の剣聖となる。俺の父さんは剣聖を授かって昔冒険者をしてて漆黒の剣という2つ名まで与えられるすごい人で漆黒の剣は父が黒目黒髪だからついたそうだ。俺も父と似て黒目黒髪だから剣聖になったら暗黒の剣聖なんていわれるんだろうか。
ジアもたしかお母さんと同じの賢者になりたかったんだよな。母さんも昔冒険者をしてて銀の賢者っていう2つ名があるらしい。母親譲りの銀髪、銀色の目をしてるから俺みたいに2つ名で父と似てるようになったり困するのだろうか。まあ母さんみたいにいっぱい喋ったり笑ったりしないから能面の賢者とかだったりして。
母さんの転移魔法があれば馬車に乗らなくてもいいんじゃね?って聞いたら馬車に乗って移動する経験とかも積んでた方がいいって2人揃って言われたんだっけ。そういう真面目で頭が回るところは同じなんだよなぁ。
そういえば2人はそんなにもすごいのになんでこんな田舎で暮らしているんだろ?王都で住んでも暮らしていけると思うのに
と考えこんでいると
「ダン黙り込んでいるけど体調悪いの?」
とジニアが話しかけてきた。
「今日の儀式について考えてたんだ」
「まさか心配してるの?」
とニヤニヤとしながらアイビーが尋ねてきた。
「別に、だって俺たちは最上位職を授かるんだからそれからみんな強くなって冒険者になって最強の冒険者バーティーになるんだから!」
「もちろんよ私たちなら絶対最上位職を授かることができるわ!」
「うん、なれる…」
「僕達ならきっとみんなを守ることができる最強のパーティーになれるよ」
王都への道が俺ダンギクの未来を祝福しているようだ!




