滅亡そして
風が吹き荒れる砂漠でたった1人の男が異形の女型1体と対立して立っていた。その近くには砂漠を覆い尽くす程のモンスターの死骸があった。
男の右手はあらぬ方向へ曲がっているのに剣を持ち、身体中切り傷や火傷により立っているのも不思議な程の怪我をしていた。
ただ男は呪詛のように何かを呟いていた。
「脆弱な人間の癖にここまで生き延びたのは褒めてもいいわ。人間はこの世界にはいらないしそろそろ鬱陶しくなってきたのよね」
そう言葉にする女型は角が生え、真っ赤な長い髪をしており背中から生える漆黒の翼は悪魔を彷彿とさせる。
「確かに少し抗えるまで成長したけど勇者と賢者が命を賭してまで残す価値あったとは思えないわ。まあその代わり侵略が楽になったけどね」
女型はつまらなそうにそう吐き捨てた。
「最後に言い残すこととかないの?最後の1匹がなんて言い残すか興味があるんだけど」
女型はそう口にするがただ男は呪詛のように何かを呟くだけだった。
「……み……ごめ……すべ……き……」
「壊れてるしつまらないわ。さっさと死になさい」
そう女型は口にすると手から炎を出した。太陽を思わせるような炎は男は一瞬にして飲み込んだ。炎が消え去る時には男が立っていた場所には灰すらも残っていなかった。
そして人間という種は絶滅した。
その光景を1柱がただただ眺めていた。
「うんうんやっぱりこの世界は滅びちゃたねぇ。この男人生が面白かったらチャンスをあげようかねぇ。この男の過去を覗いてみようかねぇ。うんうん」
この世界の名前はサリルバナト。そんな世界がモンスターと人型の化け物に支配されるまで、つまりこの男が死ぬまでをこの男視点でまずは語っていく。