もう嫌…
静香さんが前日から仕込んでいたというふわとろのフレンチトーストにうっとりしてました。
たっぷりのメープルシロップに色とりどりのフルーツ、オプションのバニラアイスとチョコソース、生クリームと私はお姫様になった気分だ。絶対太る。
たしか今日は管弦楽部は休みと聞いた気がするので、せっかくなので運動部を見て回ろうと思う。少しでもカロリー消費しないと。ちょうど体育あるからジャージとスニーカー持ってくし。
「静香さん、いってきま───」
「~~~ヾ(^∇^)おはよー♪」
ばたん、と開いた扉を閉めた。
見てはいけないものを見た気がする。
「どうしたの、姫愛ちゃん」
「あっ、あはははは!なんでもないで────」
「ちょっとー、オレの顔見て閉めるとかひどくなーい??」
なんでいるんだよ南雲蒼空!!!!!!!!
私が書いたんだけどさ!!!!
閉めさせろ顔を見たくない本当に見たくないんだよ!!!!
「どちら様ですか私は貴方を知りません」
「釣れないこと言わないでよォー、<font size="5" color="pink">聖櫻のお姫様♡♡</font>」
なんで過去の私はこのセリフを文字大きく&ピンクにしたんすか…。
「予鈴までまだあるジャン?きもちーことしない?」
────こうなるから出会いたくなかったんだ!!!!!!!!
「っざけんな!!!!」
「ぐぁっ!?」
扉を抑えてた手を外すと蒼空は体勢を崩した。
その隙を狙って膝蹴りを食らわす。
「ヤり捨てる奴なんかに許すほど私の身体は安くない!!!!」
「はっ!?」
怯んでるうちに走る!!
胸がめっちゃ揺れたけど、足がめちゃくちゃ速いなこの子。荷物結構あるはずなのに若い頃より軽やかに走れたぞ。運動神経もいいって設定だったな、そういえば…。最強設定確定ですね…。
「なんで、新入生チャンが知ってるの…?」
「もう嫌…」
体育をやってわかったこと、姫愛ちゃんはやっぱり運動神経がめちゃくちゃいい。
初回だったので、新体力テストをやったのだが握力以外の項目が軒並み好成績なのだ。昔から身体硬かった私としては、パカパカケータイ並にぺたりとくっつくの本当に羨ましかった…。胸さえ邪魔じゃなければ多分もう少し行けた。
腹筋も軽々50回いけたのは感動した…全盛期ですら20いけばいい方だったもん…。
この能力ならどの部でも迷惑はかけることはなさそうだと思い、興味のある部から見に行ったんだが────
ダンス部
「これ以上はやめてくれぇ!!鼻血が止まらなくなる!!」
「なんで!?」
テニス部
「スコート姿エッロ…」
「辞めます」
陸上部
「ゆっさゆっさ…生足…」
「──────…」
アーチェリー部
「胸当て…でか…挟まれたi」
「それセクハラですからね?」
思春期男子を舐めすぎていた。
これ軽音楽部でなくても貞操の危機だわ。
こうして私は運動部を諦めた。寮で運動するわ。