表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

連載に行き詰まって、苦し紛れに書きました。

俺は知っている。


目の前で優雅な仕草で紅茶を飲む美しい少女が、悪役令嬢だと言う事を。

隣国王家の親戚筋に当たる、公爵家の長女、エリザベス。俺の婚約者だ。

光輝く金髪にドリルみたいな縦ロール、髪の上の部分だけ編み込んで、リボンで結んでいる。

瞳は薄い水色。大きいけれど、気の強そうなつり目に影が出来そうなほど長いまつげ。

こうして、黙って目を伏せていると、本当に美しい。

だが、激情溢れる令嬢で、来年から通う学園では俺に近付く令嬢全てを威嚇し、物理的に排除する。

最終的には聖なる力を持つ少女、ミアを俺が愛すると思い込み、苛め、殺そうとする。

少女は助かるんだが、悪役令嬢は俺に大勢の前で婚約破棄され、修道院に送られてしまう。


今なら、まだ間に合うんだよな。


今の内に、間違えを起こす前に婚約を解消してやるべきか。しかし、何の落ち度もない公爵家の令嬢との婚約を解消出来るとも思えない。

俺は小さい頃からエリザベスだけが好きなんだと言う事を、そろそろ分からせてやるべきか。




わたくしは知っている。


目の前で、作り物めいた胡散臭い笑顔を浮かべる王子様が、わたくしを罠に嵌め、裏切る事を。

この国の第二王子である、ヘンリー殿下はわたくし達が13歳の時からの婚約者だ。

肩につかない位の黒髪に緑の瞳。顎の線が細くて華奢な美少年。

常に仮面のような笑顔を振り撒き、感情を現した所は見たことがない。

来年から通う学園では、群がる令嬢を排除することもせず、わたくしにわざと嫉妬をさせるような態度を取る。

わたくしは知ってて放って置いたのに、わたくしの家の者が動いて令嬢達を威嚇してしまい、結局嫉妬していると学園中の生徒が勘違いしてしまう。違うのに。

後から現れた聖女ミア様は、殿下だけではなく婚約者のいる高位貴族の令息などに名前で話しかけ、手を握るなど問題行動が行き過ぎるほどの方だった。

あまりの常識の無さに、わたくしよりも苛烈な令嬢達が動いてしまい、ミア様が殺されかかる。

それも全てわたくしのせいにされ、パーティーの最中、ヘンリー殿下に婚約破棄され、修道院に送られるのだ。しかもその途中で侍女共々口封じの為に殺される。


何とか今の内に婚約解消出来ないものか。

うちの公爵家からは解消などな話しは出来ないでしょう。


学園には行かず、病気になった振りをして領地に引きこもろうかしら。子供が産めないなんて偽の診断書を医師に作ってもらって。

どうせわたくしの母方の、隣国の血が欲しいだけだ。



ふと、目が合い、笑いあう。





私は知っている。


来年から通う学園が、乙女ゲームの世界なんだと。多分そろそろ聖女の力に目覚めるはず。

第二王子であるヘンリー様が一番好きではあるんだけど、悪役令嬢やその他の令嬢がめちゃくちゃ怖いし、何がいけなかったのか分からないけど殺されかかる。しかもゲームと違い、悪役令嬢は排除出来てヘンリー殿下と両思いになるのに、結婚は出来ない。平民上がりだからだ。結局ヘンリー殿下は他の高位貴族の令嬢と結婚してしまう。


そんなのつまんない。


いっそ、学園に通うのを辞めてしまおうか。でも、国から通うように要請されてしまうし……。

そうだ、婚約者のいない大きな商会の跡取り息子も攻略対象だったような……。茶色の髪で眼鏡をかけた、目立たないけど誠実そうで物静かなマーティン様。

次は彼を狙ってみようかな。お金持ちの商人なら幸せにしてくれそうだ。

なんとか王子様や悪役令嬢に関わらずに、エンディングを迎えられないものかしら。




僕は知っている。


来年から通う学園に、女神様のような美しい令嬢がいる事を。

僕は平民だし、エリザベス様は第二殿下の婚約者だから、話しかける事も出来ず見つめるだけだった。金色の巻き毛も物憂げな表情を作るまつげも、サクランボのような唇も殿下の物なのかと思うと、悲しくて。

そんな時に、ピンクの頭のバカな聖女ミアが色んな所で問題を起こす。男なら誰でもいいって勢いだ。ビッチめ!

ミアより更にバカな令嬢どもがミアを吊し上げ、苛めていた。


エリザベス様が仕向けた事にすれば、殿下は愛想を尽かすのでは。


殿下はエリザベス様に好意があるとは思えない態度だし、むしろミアに興味があるみたいだった。可哀想なエリザベス様は僕がもらってしまおう。

前回は指示を間違えたバカな男達に殺されてしまったから、今度こそ慎重に。

今度こそ僕の腕の中に閉じ込めてあげますよ。エリザベス様。




そして一年後、運命の入学式が始まる。



続くかは分かりません。

この後を考えてないのですが、前に書いた短編の続きを考えたりするのが楽しくて、これは短編にしませんでした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ