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03話 才能0

後1話更新されます!

 「わざわざ遠いところからお呼びして申し訳ない。恐らく今は帰れない事は、クーディアから聞いておろう。不満に思う者も、居ると思うが今は申し訳ないとしか言えない……すまない。そして話は変わるが、私からこの世界。そして貴方達、異世界人をお呼びした理由を話そう」


 僕ら生徒(教師)らは王の間の丁度ど真ん中に、アリが群がるように固まっていた。やろうと思えば綺麗に整列できたが、流石にそれを国の王の前では失礼と感じたのか行動に移せなかった。

 確かに言ったように、この事態に不満を持っているものも少なからずは居る。だが大半は「この中の誰かがその魔法を使えれば良いんじゃね?」みたいな感じの気持ちを持っていた。

 国王が呼んだ訳を話そうとして中、皆は一言一言聞き逃さないように耳を傾けている。


 国王はこの場の空気を切り替えるように「コホン」と一つ咳払いをした。

 そして口を開き、理由を語り始めた。

 そして僕らは国王が話し終えると、大体理解した。

 聞いた感じではこういう事だった。


 この世界は大きく分けて二つの大陸が存在してる。

 一つ目は今ここに居る“ディーレア”。ここには主に人間族、亜人族が住んでいる。

 二つ目はこの大陸の反対側に存在してる“グロッゾ”。今は魔族、魔物が住み着いてるそうだが、元々は人間族が住んでいた。だが、約50年前に突然現れた魔族、魔物によってたった一年で大陸を地獄に変えてしまったらしい。


 ディーレアには迷宮があり、そこはグロッゾと繋ぐ門とも言われている。

 門と言っても迷宮なので、簡単には地上に上がることはない。

 その理由は、迷宮が複雑であることが一つ。もう一つは冒険者ギルドがあること。今分かってる迷宮で最高到達階層は75階層だと聞いた。数字が低い階層程弱い魔物が出て来るシステムである。


 冒険者ギルドがあることで魔物が討伐されていき、最終階層更新は大体半年かかる。半年も掛かる大規模な作戦とも言っても良いぐらいだ。

 本来迷宮は一つの国に一つ存在し国の冒険者全員で攻略する事になっているが、今回は同時に二つの迷宮が現れ異常事態イレギュラーだと言った。

 国の冒険者を二手に分ければ良いと思ったが、冒険者は一つの迷宮を攻略するんで手がいっぱいで二つ攻略は無理だ。他の国も迷宮の攻略に取り組んでおり、援助は出来ないらしい。

 そこで俺達異世界人の出番だ。魔力マナが多い俺達は二つ目の迷宮の攻略を行って欲しいと言われた。


 王は『無理にとは言わない。辞退もして良いが、出来るだけ参加して欲しい』と言い最初は皆戸惑った表情だったが、小野先生が立ち上がったことで皆は戦うことを決めた。

 決意の顔を見た王は、『協力を感謝する』と浅い礼をした。

 王はディーレアを呼び出すと、耳打ちをした。

 会話の内容は聞こえなかったが、何か話してるのは遠くからでも分かった。話し終わったのかディーレアはこちらに向かってきた。


 「今から魔力マナ検査をします。私に付いてきてください」

 どうやら今から魔力マナを調べるために、移動するらしい。てかここで出来たら迷惑だし当たり前か。

 部屋から出て、ずっと真っ直ぐ進むと王の間の扉より大きくはないが、そこそこ大きな扉が目の前に現れた。ここも重要な部屋だからなのか魔法で開いた。


 「こちらです。こちらの水晶に手を置いてもらうだけで良いので」


 そう言われるままに、俺達生徒(教師)中央に置かれてる水晶に順番に置くことにした。

 学年ごと出席番号ではなく、その場でとっさに並んだのでどこら辺に並んでるのかは分からなかったが、案外早く順番が回ってきた。

 俺は『どうか。どうか強いパターンでよろしくお願いします!!』と願いながら手を置いたが、期待はあっさりと裏切られた。


 「君一番魔力少ないけど、本当に選ばれた人なの?」

 

 ...................................................

 有馬 こう

 男性

 異世界人

 職業 冒険者

 Lv1

 魔力 0

 武力 0

 勇者才能 0

 ボーナスポイント 0

 ...................................................



 うそん。

 マジで?

 本気で言ってる?

 その言葉を聞いて俺は思考が完全停止した。

 勇者なって憧れになる夢も終わったのだ。

 これって王の所に行った方がよくない? 今から行っても遅くないよね? 遅かったら人生負け組なんですけど。


 そしてすぐに行動に移した。隣にいたディーレアに王の所に行きたいと伝えると、了解してくれた。部屋から出るために扉に向かうが、ある一言で足を止めた。


 「おーい。まさか逃げるのか? まあそうだよな~弱いもんね~」


 彼は同じ学年で大塚 ダイゴ。

 チンピラだ。

 学校では一番の悪と噂が流れてるぐらいだ。

 顔と名前しか知らなく、今まで喋った事は一切ない。

 そんな奴に絡まれるなんてやっかい事しか起きない。そして俺の目の前まで近づいてきた。


 「学校でも弱い。ここでも弱い奴は逃げることしか出来ないもんな?な? 雑魚はそこら辺で村人をやっとけばいいんだよ!!」


 ほらな?

 来ただろ?

 確かに学校では陰キャラで、クラスの人気度ヒエラルキーでは底辺に居るけど。


 「こんな奴いらねーから皆で追放しようぜ! 出てーけー出てーけー!」


 空気は完全にアウェイで他の生徒も便乗しはじめた。


 「そうだ! 出てけ! 弱い奴は必要ないし存在価値無いんだよ!」

 「でーてーけー! でーてーけー! でーてーけー!」

 

 こうして俺は捨てる事となった憧れと、勇者組を事実上追放される事になった。

 これは仕方の無いことなんだ……そうだ、しょうがないんだ……

 いや……諦めてどうする? 俺はラノベの主人公みたいになりたいんだろ! ならこんなところで諦めちゃダメだろ!

 確かに"今"俺はお前らより弱い。だけど迷宮攻略を諦めない。俺は底辺から這い上がる! お前らを追い越す! いや見下すぐらい強くなってやるよ! 粋がってるのも今のうちだぞ

 心の中で捨てセリフを吐くと、ディーレアの後ろを付いていった。

 後ろを振り返ることは1度もなかった。


 「相馬君。大丈夫かな……」

 そんな中、小野先生だけは心配していた。

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