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条件

久しぶりに更新します! 次回が最終回になります!


 「師匠、御無沙汰しております。30分ぶりの再会を嬉しく思います。どうすっか? 先程よりも、元気してましたぁ?」俺の蛇拳に影響を受けた、真っ赤な上下のジャージを着た弟子になりたがる馬鹿2人が前からやって来た。ウザい奴に見つかってしまったよ。 

 「コラーッ、悠平くん。会えたね。捕まえたよ。サボんねーでよ、今から学校に行けよ。馬鹿野郎が」と左から来た母親にも遂に見つかって御用となってしまいまして、後ろを振り返ると中沢芽蘇詞流己(なかざわめそしるき)と岡崎太蔵が迫って来たのですよ。

 

 横には俺の愛しのエンジェル・ベイビー、スウィートな生娘、ミルク&ハニーで可愛い女、沢木茜が俺の紫にペイントしたマウンテンバイクの自転車、ネームは「茜」で、茜が茜に股がって心配そうな顔で俺を見ていた。

 

 『これは完璧にヤバイほどの危機一髪だ。えへへ、スゲェー、楽しいなぁ〜』と俺はアドレナリン全快で興奮していた。俺ってさ、追いつめられるほど強くなるタイプなんだよねぇ。

 

 「まず、おめいらに蛇拳は教えないし、勝手に俺のことを師匠と呼ぶな」と俺は真っ赤なジャージ姿の馬鹿2人の不良に向かって、手で追っ払う仕草をした。 

 「俺らの偉大な師匠なのに、なぜです、師匠? 一体、何がいけないのでしょうかねぇ? 師匠? ねぇ師匠?」と人の話を聞いていないのか真っ赤な馬鹿2人と呼ぶが、真っ赤な馬鹿2人どもは俺の事を師匠と連呼していた。

 

 「おめいらよう、そんなに蛇拳が好きなのか?」俺は仕方なく聞いた。

 

 「はい、ソカシ師匠」

 

 「え!? あんだって!?」 

 「ソカシ師匠」

 

 「俺の事をソ、ソカシ」 

 「はい師匠」


 俺の胸は、ときめきに似たくすぐったい気持ちになっていた。ソカシは偉大な酔っぱらいであり、カンフーの達人だ。蛇拳と酔拳をマスターした賢人だ(映画の中の話だけどね)。

 

 この俺がよう、2代目ソカシに就任することになったらさ、涙がちょちょ切れるかもわからんよな。

 

 「うーん、俺が2代目ソカシかぁ…」 

 

 「はい、そうです。僕らのソカシ師匠でしゅっ」と真っ赤な馬鹿二人は手を合わせて何度も頭を下げていた。

 

 「よし、条件がある」と俺は人差し指を真っ赤な馬鹿2人に向けて言った。  

 「何ですか? 必ず答えてみせます」真っ赤な馬鹿2人の顔がパァーッと明るくなった。

 

 「ちょっと耳を貸せ。その前に名前は何だ?」俺は真っ赤な馬鹿2人のうちの1人に話し掛けた。

 

 「春雨隆央(はるさめたかお)です」

 

 「よし、春雨、ではな、ゴニョゴニョ……」

 

 俺は春雨隆央に条件を伝えてみた。

 

 「分かりました。ソカシ師匠」春雨隆央は頷くと隣にいた真っ赤な馬鹿2人の片割れ卵生好男(らんしょうすきお)と共に俺の後ろへ歩いていった。

 

 中沢芽蘇詞流己と岡崎太蔵が驚いた顔をして真っ赤な馬鹿2人と対峙した。

 

 「何だテメーコラ?」と中沢芽蘇詞流己が睨みを聞かせて春雨隆央に挑んだ。 

 「テメーこそ、何だこの野郎?」春雨隆央はプラスチックのバットを自分の左肩に乗せて安物のサングラスを鼻先に掛けた状態で眉間にシワを作り睨んだ。  

 「テメー俺とやんのか、コラ」中沢芽蘇詞流己が殴る真似をした。

 

 「うるせー馬鹿」春雨隆央はメンチを切っていた。 

 「名字のようによう、春雨にして食うぞコラ」


 「何だとコラ、師匠から聞いたぞ。馬鹿みたいな名前なんだってな?」春雨隆央は触れてはいけない言葉を言ってしまった。

 

 「テメー、何だとー? もう一回言ったら潰すそ」中沢芽蘇詞流己は肩をワナつかせていた。

 

 「うるせーコラ、味噌汁好き」

 

 隣にいた岡崎太蔵が腕を組んで目を閉じていた。眉間にシワを寄せて強い印象を与えていたが、「味噌汁好き」の禁断の一言によって肩が笑っていた。

 

 「何だとぉー!? 今、なんつった? テメーコラァァァァァー」と中沢芽蘇詞流己はファイティング・ポーズを取ったが殴りはしなかった。

 

 「味噌汁好きだよ」

 

 「もう一回言ったら殴るからな」

 

 「味噌汁好きだよ」

 

 「テメー、喰らえー!! 怒りのタツノオトシゴパンチだあっ」中沢芽蘇詞流己は春雨隆央の隣でヘラヘラと笑っていた卵生好男(らんしょうすきお)の顔面を殴った。

 

 「グワッ、何でなの!? うわぁーん、痛えーよう、ぶへぇーん」とばっちりを受けた、何の関係も無い卵生好男は鼻血を吹き飛ばすと、ゆっくりと後ろに倒れれて、胡座をかくとナヨナヨして泣いていた。

 

「大丈夫か? 好男?」

 

「大丈夫な訳ないじゃん」 

 卵生好男は訳が分からずに泣いていた。

 

「テメーコラァ、喰らえ」春雨隆央は駆け出して来たので、中沢芽蘇詞流己は身構えて腰を深く落とし軸足に力を入れていた。

 

 「どりゃー!!」春雨隆央は強烈な左のフックを中沢芽蘇詞流己の隣にいた岡崎太蔵の右頬を殴り付けた。 

 「グヘッ、うはぁ〜ん、あ〜んるるる、痛ぁーい」岡崎太蔵は横に倒れながら変なあえぎ声を上げてしまった自分に驚いていた。

 

 「テメー、やったな〜」中沢芽蘇詞流己は春雨隆央を強烈にメンチを切りまくっていた。

 

「テメーが最初にやったんだろうがよう」

 

「おめ〜が、俺の名前を侮辱したからだよ」

 

「味噌汁好きだろうがよ」 

「芽蘇詞流己だよう!!」

 

「味噌汁好き? と疑問を投げ掛けた方が良いの?」 

「芽蘇詞流己だってばさ」 

「メソポタミア好き?」

 

「あったまに来た!!」中沢芽蘇詞流己は春雨隆央に飛び蹴りをした。

 

 春雨隆央はみぞおちにマトモに蹴りを喰らってお腹を押さえた。

 

 「師匠、無念なりです。敵を取って下さい。師匠、ここ、ここです。僕の乳首にタッチをして交代を願います。では、師匠、タッチをしてもらってもいいですかねぇ?」と春雨隆央は涙を流しながら俺を仰ぎ見ていた。

 

 「よし、分かったよ。安らかにな」俺は春雨隆央と中沢芽蘇詞流己に手を振って、「茜、母ちゃん、もう行こうぜ」と促し3人で踵を返すと鼻唄を歌いながら自宅に向かおうとした。

 

 「おい、おい、おい、、おい、おい、おい、おい、おい、おい、おい、おい、おーい。ふざけんなよ。待てぇ〜い!」と中沢芽蘇詞流己が俺の前に走り回り立ちはだかった。





つづく


ありがとうございました!!

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