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戻ってきたぜ!

悠平が戻ってきた!! そこんとこヨロシク!

 俺は学校をサボってチャリンコで「あかね公園」までかっ飛ばしていた。進学校には気後れしつつある。


 実は俺の愛車のチャリンコには『茜』という名前がついてんだよ。俺よう、茜が好きなんだ。隣の名門女子高に通う幼なじみの沢木茜ちゃん。そこんとこヨロシク。チッ。照れるぜ。


 学校マジでだりぃー。サルバトーレ・だりぃー。真面目な奴等ばかりでつまんねーし、頭の良い奴は洒落が通じねーしよー、後ろの席のガリ勉君なんか、嫉妬深くてマジうぜーし。


 この前の抜き打ちテストなんかよ、俺さぁ、手を抜いたんだけど、たまたま国語でよ、98点取ったのよぉ。ガリ勉君、それを見て発狂したのよ。ガリ勉君は80点だったんだけどよ、『不良のくせに良い点を取るな。わー』と言って叫んでんのよ。成績なんてよ、人それぞれじゃん? マジでガリ勉うぜぇー。



 俺はチャリンコのベルを鳴らしまくりながら、あかね公園まで走らせた。


 道の先に茶色い杖を突いたお爺さんがベルの音に反応して、曲げていた腰と背筋を伸ばすと、俺に向かって敬礼をし出した。


 お爺さんの目には涙が浮かんで、体が小刻みに震えていた。チャリンコのベルで遥かなる時代を蘇らせたのかもしれないと思ったらさ、何かよ、悪くてさ。お爺さんよ、長生きしろよ。そして幸せになれよ。



 チリンチリーン



 あかね公園の砂場には保育園児が丁度10人いた。 5人の保育士が銀色のスコップで砂の山を作っていた。子供たちは緑色のプラスチック製のスコップを持ち、保育士達と一緒に砂を掘っていた。


 俺はチャリンコで公園内にあるテニスコートまで続く道をかっ飛ばした。緑色のフェンスの手前で、



 キーーッ!



 急ブレーキを掛けるとカッコよく後ろのタイヤを滑らせて停めた。タイヤの黒い痕がアスファルトに残って俺は満足した。ドリフト成功! マジで最高だぜ!

 ロッケンロールだぜ!


 早くよー、CB400SFか、ゼファー400か、シルバーのカナタも悪くねーな、俺さあ、早くバイクに乗りてーわけなのよ。

 俺の茜はマウンテンバイクだけどよ、スプレーで紫に染めてんの。マジ格好いいんだわ。


 さっきから砂場にいる保育士に不吉な予感がすんのよ。だから、距離おいて遠回りでさ、テニスコートまで来たんだよ。木があるから向こうからは見にくいけどさ、こっちは高い位置にあるから、うっすらと砂場が見えるわけよ。


 「なんでよ?」って? 実はさぁ、姉貴が保育士なんだよねえ。あの保育士の中にいるのよ。マジでヤバイって。家から近い場所に保育園とあかね公園があってよう、参るよね。俺がガキんちょの頃から来ている馴染みの公園なんだよね。


 ここで、色々と経験を積んだのよ。キスとか、Chu−とかしたのよ、飼い犬のメスのラッスエーとね。ラッスエー可愛かったけどさ、死んだんだよ。悲しくて悲しくて。本当に別れは参るよな。チッ。

 どんな犬種かって? 立派な雑種だよ、何か文句あんの? やんのかコラ?


 やっぱラッスエーを思い出すよ。黄昏時には特に思い出すよ。ラッスエー、ありがとうな、ありがとう、ラッスエー。涙が出るぜ。チッ。こんちくしょう。



 さてと、煙草の形をしたチョコレートでも食べようかな?



 「おい、コラ! そこにいると邪魔だ。どけ」とベンチの後ろから声がした。

 振り向くと、真っ赤なジャージの上下に剃り込みのリーゼント、サングラスを掛けた二人組の不良が肩を揺らして現れた。


 「なんだ? テメェ?」と俺は言ってガンを飛ばした。


 「なんだ、この野郎!」二人組の男が同時にベンチを蹴ってきた。俺は立ち上がり二人組に唾を吐いた。


 「汚ね、テメェ、コラ。やんのか?」と二人組の男は俺に威嚇してきた。


 「なんだテメェ、コラ。やんのかコラ?」と俺は煙草を口に含んだ。


 「未成年が吸ってんじゃねーよ!」と二人組の男は煙草を口にくわえて俺に注意をしてきた。


 「煙草じゃねーよ。テメェの方こそ未成年のくせに吸ってんじゃねーよ!」と俺は怒鳴り返して煙草の形をしたチョコレートを二人組の男に投げ付けた。

 「あぶねぇー!」と二人組はジャンプで交わした。


 「バーカ、煙草の形をしたチョコレートだよ。バーカ。なめんじゃねえよ!」と俺は腹を抱えて笑った。

 二人組の男は煙草を俺に投げ付けた。


 煙草が俺の顔に当たり、「アッチチチチチーイ!」と俺は叫んだ。


 二人組の男が「ふざけんなよ。バーカ、バーカ」と笑っていた。

 よく見ると二人組の男が投げたのは煙草の形をした同じチョコレートだった。




つづく

ありがとうございました!

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