第一章
「ほんじゃーなー」
「あぁ...またな」
いつものように帰路に立つ。家に帰ろうとすると毎日のように俺の事を襲う。重苦しい何かに掴まれているような感覚を。
友達といる時はあまり気にならないのだが一人になると急に感じる。毎日寝室に入るのが怖くて仕方がなかった。
そんな怯える心を振り払い今日も寝室のドアを開けると、荒れていた。
荒れていた。と言うよりは崩レ腐っていた。
おかしい
そう思い原因を探す。
だが怪しい場所などあるはずも無く、
睡魔の限界を受け、荒れている部屋の真ん中で寝てしまった。
「ん...んん...ああぁ...」
強い光みたいなのが目に入ってきて目が覚めた。
ここは...見覚えの無い本に囲まれた部屋だ。
本に囲まれた部屋。図書館
床には草が、本棚にはツタが茂っていて中々古びた図書館なのだろう。
これまで冷静に状況を整理しているが起き上がった時はかなり動揺した。
今日は朝練も無く優雅な朝を迎える。つもりだったのだが、見知らぬ図書館のテーブルの上で寝ていたのだから、
とりあえず適当に本を取ってみる。
中は日記のようだ。
「1988年6月4日土曜日 今日もお客様がいっぱい来ていた。今日お昼過ぎに図書倉庫では僕が子供の頃に読んでいた絵本がいっぱい出てきた。懐かしいなぁ」
なんとも、子供が書いたような日記だが、図書館で働いている職員のようだ。
本棚の一番右下にある本を取る。
「2688年5月7日月曜日 図書館裏部屋にて館長が客を8人ほど殺した。信用を失くしたこの図書館は閉館である。館長を殺す。」
...?俺が現世での最後の記憶は2017年だったはずだ。ここは何の世界なのか。そして俺はどうやってここに運ばれたのか…だ。
スマホで調べようとしても県外...当然か。
とりあえず探索してみるか、と重い体を起こす。
とりあえず近くの部屋のドアノブを引くと血生臭い臭いが鼻を貫いた。
「なんだよ...これ...」