ごめんよ大夢 榛名の夏はまだ続く 野球人生始まったばかり
最後まで秘密兵器、だって。
バカじゃん、何が最後までだよ。
準決勝があるじゃんよ、勝手に終わらせんなよ。
と、筆者は独り言をつぶやいた。
とにかく大夢は負けず嫌いなんだ。
だから、誰にも負けないくらい走りこんだ。
丈夫で強靭な足腰を鍛えていった。
両親がマラソンランナーとスキーヤーなだけあって、
身体能力は幼い頃から抜群だった。
その能力に磨きをかけていったから、もっと凄い奴になっていった。
野球ははっきり言って下手くそ。
それでもおじいちゃんが大好きだったから、
野球も自然と好きになれた。
練習もたくさんした、飽きるくらいした。
妹も自然とついていった。
小学校の頃、大夢が三振するたびに妹にグリグリされて痛くて泣いた大夢。
中学に上がっても妹の凶暴な性格は相変わらずだった。
大夢は強くなりたかった。
だから、がむしゃらに練習しまくった。
それをバカにする奴もいた。
しかし、大夢は簡単に折れることはなかった。
初めて折れたのは中2の部内でのいじめだった。
主犯格は転校していった野村だった。
野村は自らの才能を鼻にかけ、自分より下だと思う奴が上にのし上がることを面白く思わなかった。
野村がベンチ外、大夢が背番号をもらった時は野村は面白くなかった。
集団リンチを決行したのだ。
しかし、大夢は苦痛に虐げられていたにも関わらず、周りの人に相談すらしなかった。
段々自己嫌悪に陥っていった。
筆者自身も大夢みたいな奴がいたら俺が退部を引き留めてやれたのに、申し訳ない・・・。
まぁ結構大夢は活躍したんですよ。
ラッキーなホームスチールもありました。
守備ではファインプレーを何度も魅せました。
ピッチングは調子が悪かったみたいで決勝は2イニング投げて5失点も献上しちゃったけどね。
その分打って挽回しようとしてましたよ。
その結果打率がものすごいことになりましてね、5割超えてるんですよ。
市大会で榛名中は準優勝。もちろん県大会出場の権利を得た。
県大会では東吾妻中と戦って6回投げて1失点。
町内の小学校から上がってきた層の厚い東吾妻中の継投策で逃げ切られ、
その1点と同等以上の得点を挙げられなかった。
0ー1だったが、大夢の目に涙はなかった。
「俺はもう満足に野球ができた。高校でも野球やるし、その先をも見据えてがむしゃらに野球続けたい」
大夢の飽くなき挑戦に終わりはない。