94.海で遊ぼう
泊まりで海とか……
泊まりで海とか……!!
―――朝。
疲れの溜まっていた僕は、未だ夢と現の狭間をさ迷っ……
「ほらほら起きろ。そうやって昼まで寝てる気か?」
……ていたかった。
「ううー……ねむい……」
「良いから起きろよ。もう朝飯の時間だぞ」
「あとで食べるからいいよ……」
「……お前今日の目的忘れてないか……?」
「え?」
「……ここ、海のそばのホテル……」
「ん?」
「まぁ樂が良いなら置いてくけどな。一人で惰眠貪ってりゃ良いわ」
……槙の意地の悪い笑顔。何かある時の顔だ。なんだろう?
愀のセリフを思い出してみる。えっと……海のそば?ホテル?そういえば自分の部屋でも槙の部屋でもない。窓の外を覗いてみる。日の光を反射して輝く海面が見えた。
と、言うことは……
「サプライズか!」
「目覚ませ」
違うらしい。槙に一刀両断された。
「はよ着替えろ。飯食いに行くぞ」
「はいはい」
着替えシーンは割愛。見たって何もおもしろくないと思うし。
着替え終了。廊下に出る。
「……女性陣は」
「なんか遅いな……呼びに行くか」
移動。およそ5メートル。
「呼ぶか」
『ちょ、ちょっと二人とも!起きて!もう朝ごはんの時間だから!』
『……………』
『……あと三日……』
『長いよ!』
「「「………………」」」
……柚も、苦労してるんだな。
今、三人の意見はぴったり一致した。……気がする。
ガチャ
「槙!この二人起こして!」
「ええー……」
「ほら早くっ!」
「うわぁ」
……随分と焦っている柚に引かれて、槙が部屋に入っていく。最後まで発音し切れなかった悲鳴(?)を残して。
――――――――――
朝ごはん終了。ようやく落ち着いて状況を思い出した僕は、すでに海へ向かうため海パンに履き替えていた。
「槙、愀、早く!」
「落ち着けよ」
まだ女性陣が来ていないからとたしなめられ。
ついに、海へ!!
「ウェミダー!」
「オイオイヨ?」
「……オエガバッスダ」
「愀よくネタわかったな」
「ていうかなんだいその会話」
「じゃ、僕は飛び込んでくる!」
「おう。いってら」
「いや止めてよ!」
そんなやり取りと準備体操の後、適当に泳ぐ。
愀が頭からバケツ(どこから持ってきた!?)で海水かけてきたり。
槙が仰向けに浮かんで(何故沈まない)くつろいでいたり。
柚が砂で万里の長城を作ろうと奮闘していたり(流石に無理だと思う)。
葵ちゃんと菖さんが人のいないところで砂浜にコートのようなモノを描いていたり。
葵ちゃんと菖さんがポールとネットを持ってきてさっきの場所に張ってたり。
……ん?この流れは……。
「準備できたよー」
「…………はぁ」
近くで、槙が小さくため息を吐いた。
――――――――――
「という訳で」
「どういう訳だ」
「ビーチバレー開始!」
「聞いちゃいねぇ」
槙が何やらボヤいているが、気にしたら負けな気がする。
「チーム分けは?」
「菖姉vs他全員で」
「……ダメでしょ」
「じゃんけんで良いじゃない」
「さーいしょーは」
「いきなり始まった!?」
じゃんけんの結果。
僕、柚、葵ちゃんvs槙、愀、菖さん。
「うわー、菖さんあっちかー……」
「どこまで抗えるかな……」
「槙君を狙って行こう」
「「ラジャ」」
「もう俺動く必要なくね」
「夕飯抜きで良いならね」
「よし頑張ろうか」
「…………」
愀は知らないと思うが、菖さんは妙にスポーツに強い。代わりと言うか、手先は不器用だったりする。槙とは正反対だ。
という訳で僕のいるチームには負けフラグが立っている。できるだけ抵抗しようと思う。
「サービス誰……」
「ちょうどボール持ってるし、槙君で良いと思うよ」
「俺かよー……」
地味に文句を言いながらコートの外に出る槙。苦手なだけで、スポーツができない訳ではないので侮れない。
「てい」
そんな槙の軽い掛け声とボールを叩く音によって、戦いの火蓋は切って落とされた。
―――――夕方、ホテル―――――
樂「つ……疲れた……」
愀「…………もう寝たい」
槙「なんで味方のはずの俺達まで菖姉に遊ばれてんの……」




