78.合羽は持ってた方が良い
傘差しながら自転車の運転は
危険なので控えましょう♪
「いやぁ……雨だねぇ」
「そうだな」
「…………」
下校前。駐輪場。
僕達三人は家に帰るべく自転車を出そうとしていた。
「これだけ雨だとびしょ濡れになるね」
「そうだな」
「教科書とか大丈夫かな」
「大丈夫だろ」
「なんかさっきからテキトーじゃない?」
「気のせいだろ」
いや、絶対テキトーだ。だって槙だもの。
「しかし、これだと家にまっすぐ帰るしかないな」
「どこかに寄ってゲームするにしてもねぇ」
「……雨酷くなる可能性が」
「問題はそこだよ……」
ちなみに一度経験した。夕立だろうと思って雨宿りがてらジャ◯コで遊んで、しばらくしてから出たら土砂降り。なんてこったい。
「雨ってさ、早く走った方が良いのか遅い方が良いのか分からないよね」
「そうだよな……速度上げて早く家に着く代わりに思いっきり雨に突っ込むか、速度落として真上から受けるだけに留めるか」
「……結局早く帰った方が安定する」
「だよなー」
さっきから槙と愀がカバンを漁っている。何をしているのだろう?そう考えていると、カバンから合羽が出てきた。
「え?ちょ、合羽?」
「ん?そうだが?」
「…………」
「二人とも持ってきてるの?持ってないの僕だけ?」
「そうだろ?」
……なんて奴らだ。僕が濡れて帰る中、自分だけ合羽着込もうなんて。
「という訳で槙」
「なんぞ?」
「僕も入れて」
「無茶言うなや」
だって……。
「大丈夫だよ!その大きさがあれば!」
「大きめに見えるけど一人分のサイズだからな?」
「……だ、大丈夫だよ!」
「蹴り飛ばすぞ」
バイオレンスだ!
「うう……愀〜……」
「…………」
「すごいピッタリした奴着てるぅー!!」
なんかピッタリしすぎてウェットスーツみたいになってるよ!どう考えても入れないよ!
「はぁ……ったくしゃあないな。これ使えよ」
槙が合羽を放り投げてくる。え、あれ?
「え、でもそれだと槙が」
「良いんだよ俺の事は」
「でも……」
「俺は大丈夫だから」
「槙……」
なんか……すごい罪悪感が。どうしよう、僕のわがままのせいで……。
「なんせもう一着あるからな」
「僕の感動を返せ!」
なんか損した気分だよ!
「まぁ、でも、ありがとう」
「良いよ良いよ。樂が忘れてくるだろうと見越して持ってきた訳だから」
「うん……反論できないよ」
「はよ着ろ。愀がすごい退屈そうな目して見てる」
あれ?槙もう着てるよ?なんか早くない?
樂「……槙、これ僕一人だと留められないんだけど」
槙「慣れなさい」
樂「そんな、ひどい……」




