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高校生達のかなりどうでもいい日常  作者: はんぺん
七月、文月、July…
77/240

77.誰か僕に猫を分けてください

※無理です



「ちっちっちっちっち………」

「…………」


 放課後。懇談会の期間なので2時過ぎ。


 僕は例の場所で猫を触ろうと奮闘していた。


「ちちちちちちちち……」

「…………」


 かれこれ5分はこうして猫じゃらしを振り続けている(よく逃げなかったものだ)。探してみたら大量に生えていたのを一本失敬してきたものだ。……いつも思うんだけど、これなんでこんな形してるの?何が目的で?


「ちちちちちちちち」

「…………」


 まぁ考えても仕方ないか。僕には分からないし。


 それはともかく、猫はもうすでに前足を引いて逃げる体勢なのだ。どう見ても僕の事睨んでるし。


「そんな目で睨まなくても良いじゃないか……」

「…………」


 ……声に出ちゃったよ。うぅ、猫がどんどん遠ざかっていく……。


 ところで思ったんだけど、この()性別どっちだろう?槙に聞いたら分かるかな?


 猫が更に一歩後退りする。警戒心が露骨過ぎて悲しい。なんで槙はあんなに懐かれているんだろうか?刷り込みか?刷り込みなのか?


「――」

「あっ」


 猫が僕と反対側へ向かって走り出した。どうして動物はあんなに走るのが速いのだろう。四足歩行が関係してるのかな?


 と、半ば諦め気味で思案していると猫の前方に人影が見える。槙かな?


「あ、猫」

「――!?」


 柚だったようだ。猫は一旦急ブレーキをかけてから左側へ走り出した。明らかに逃げている。


「……行っちゃった」

「柚、半日だったの?」

「あ、樂。ボクのところは今日から夏休みだよ?」

「早いね」

「木工も金曜から夏休みだろう?そんなに変わらないさ」

「いや三日違うよね」


 名残惜しそうに猫を見送っていた柚に話しかける。今日から夏休みとか羨ましい……。僕にも分けてくれ!……って、ムチャな話か……。


 手に持った猫じゃらしを投げ捨てる。もういらんこんなモノ。ゴミだ。自分でむしっておいてアレだけど……。


「それにしても、どうしてあの猫は槙にばっかり懐くのかな?」

「刷り込みなのかなぁ……槙はかなり前からここに来てたらしいし」

「いや、もしかしたら槙の身体はマタタビの匂いがするのかもしれない……!」

「それは……可能性としては充分あり得るね」

「ねぇよ。俺はマタタビ喰わされて育ったんか」

「あ、槙おはよう」

「寝てねぇし昼過ぎだ」


 肩に猫を乗せた槙が歩いてきた。噂をすれば何とやらってやつ?


「ていうかお前ら何したんだ」

「え?」

「コイツ、俺を見るなり飛びついてきたぞ。飛びついた勢いでそのまま登ってくるし、肩で落ち着くし。飛びついてくるなんて尋常じゃないぞ」


 槙が手を猫の目の前に持っていくと、猫はてしてしと軽い猫パンチを繰り出して遊び始める。くそぅ、羨ましい……。


「……どうにか触れないか、猫じゃらしで釣ろうと奮闘してた」

「ボクは猫が逃げる先に偶然立ってた」

「なんだその程度か。コイツも臆病なんだな」


 猫が槙の指先を甘噛みし始めた。くっ……。

 というか槙は臆病だけで片付けようとしているが、多分別の要因もあると思うんだ。槙とか。


「それは良いけど、その引っ掻き傷はどうしたんだい?」

「ん?」


 柚の視線を追うと、槙の左腕に長めの引っ掻き傷が見えた。


「あぁ、これか?昨日引っ掻かれた」

「え?なんで?」

「いや、昨日無性に猫もふりたくなってな。ここに来てしつこく撫でまわしてたら嫌がられた」

「えっと……うん」

「それは流石にね……」

「まぁ猫も変わらず接してくれるし、俺は気にしてない!」

「それはボク達への嫌味かな?」

「くそぅ……」


 槙なんてそのまま猫に嫌われてれば良いのに……。



 いや、不謹慎だけどさ。




樂「ところで槙、この猫性別どっち?」


槙「知らん」


樂「えぇ!?なんで!?」


槙「なんか失礼かなと思って」

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