65.文化祭二日目
一般公開であの娘が語ります
視点 柚香
……ここか。
ボ……私は今、木工の校門前にいる。今日は文化祭をやっていて、一般公開されている為中に入れる。
ここに何をしに来たかって?
決まっている。槙と樂を冷やかしに来た。四階のMBの教室で射的をやっているらしいので、そこを目指す。
私は自転車を駐輪場に停めて校舎に入る。外が晴れているせいか暗く見える。…………四階まで昇るのか。
賑やかだな。文化祭なのだから当たり前といえば当たり前なのだが。
『おーっとここでデスソースだぁ!!』
中庭にはメインステージがあるらしい。イベントはほとんどそこで行われるとか。……さっきから焼肉のタレとかデスソースとか聴こえるのは何故だろう。そして何故それに歓声が上がるのだろう。工業高のノリがイマイチ分からないよ。
四階に到着。他の階も混んでたけど、四階は輪をかけて混んでいる。こんな狭い所に密集しなくても良いだろうに……。
奥の方に射的の看板が見える。今はそんなに人はいないようだし、入ってみよう。
「「いらっしゃいませー」」
「いらっしゃ……って、柚?」
「やあ」
「知り合いか?」
奥で的(何故か折り紙。どうせ槙が作ったのだろう)を整理して立てていた樂が私に気付く。整理を終わらせてこちらに駆け寄ってくる。
「柚、どうしたのこんなムサ苦しいとこ来て」
「樂と槙を冷やかしに来たに決まっているだろう」
「あ、やっぱりそこに落ち着くんだ?」
「特にする事も無かったしね」
樂が私を暇人を見るような目で見る。間違ってないけど、何か不服だ。
「やってく?射的」
「遠慮しておくよ。私がやったら一番良い景品持ってくよ?」
「たいした自信ですねぇお客さん」
「ちょっと見せてもらいましょうか、その実力を!」
受付二人に絡まれた。……ここまで言われたならやらない訳にはいかないだろう。
「一発、試し撃ちして良い?」
「「どうぞどうぞ」」
かなり本格的に作られた木製の輪ゴム鉄砲に輪ゴムを装填。足元に向けて撃ってみる。
……ふむ。かなりまっすぐ飛ぶみたいだ。一応、自由落下まで考慮すると……。よし。
的の点数を見る。得点制のようだ。何点目指せば良いのか分からないが、とりあえず最高得点を狙ってみよう。
――――――――――
「す、すげぇ……」
「260点も取るなんて……」
「最高得点って理論上320だよね?」
「これって、何が貰えるんだい?」
「あ、景品はこっちだよ」
樂に案内される。なんだ。100点取れば一番良い景品が貰えるのか。余裕じゃないか。
「じゃあ、これ貰ってくね」
「うん。荒らしには来ないでね」
「そんな非道な事はしないさ。一回やれば充分だし」
制作者を挑発するような台詞を残していく。受付の方からうめき声が聞こえた。
「そういえば、槙はどこにいるんだい?」
「槙?中庭でステージ見てるんじゃない?」
「分かった。ありがとう」
槙で遊ぶために中庭へ向かう。どの辺にいるだろうか。
発見。ステージの正面から少し離れたところで仁王立ちしている。槙の基本的な待機ポーズだ。後ろから近寄る。
「…………わっ!」
「ん?柚か。来たのか」
「リアクション薄いよ。もっと驚いてくれなきゃ」
「足元砂利なんだから足音聴こえるって」
私とした事が……盲点だったよ。
「これさ、一体なんのイベントなの?」
「早飲み大会。決勝」
「飲むの?焼肉のタレを?」
「あのな――」
〜説明中〜
「――という事。決勝だからってこれまでの二倍の量ある」
「味を想像したくないね」
「まったくだよ」
ますます工業高のノリが分からない。
「君はやらないのかい?」
「帰ってからお前の布団に吐くぞ」
「君のモノなら受け入れよう」
「流石に引くわ」
「私自身も引くから安心しなよ」
槙「次は腕相撲の決勝みたいだな」
柚「君は出ないのかい?」
槙「出ないって」




