58.天気
そういえば今梅雨ですね、一応。
「……安定しないな」
放課後の槙の部屋。窓の外を見ていた槙が突然そんな事を言った。
「え?何が?身体?」
「なんでだよ。俺はエコ◯か」
「違った?」
「あぁ。全力で違う」
「じゃあ何?キャラ?」
「安定し放題だよ。ボケたいツッコミ係だよ」
「違った?」
「凄まじい勢いで違う」
「じゃあ何?足元?」
「床がっちりだよ。そして俺は別に覚束ない訳じゃねぇよ。というかそろそろこのノリやめろ」
「じゃあ何?黒◯薇裏のノルマ?」
「やめろって。あとついでだからツッコんでやるけど黒薔◯裏は安定云々はともかくほとんどやらないから」
「じゃあ何――」
「やめろって」
なんだつまらないな。このまま延々とボケ倒そうと思ってたのに。……まぁそろそろネタも尽きて来てたから助かったけど。
「それで、何が不安定だって?狩猟環境?」
「どうして何かが乱入してきそうな雰囲気なんだよ。天気だ天気」
「あぁ、天気ね。……確かに晴れたり曇ったり雨降ったりしてるね」
「下校中は降ってなかったから良かったんだけどさ……」
「大事なところソコだよね」
「濡れるか濡れないかで大きくその後の行動変わるからなぁ」
濡れたカバンとかも拭かないといけないし。すぐにシャワー浴びないと気持ち悪いし。
「それにしても……」
「あぁ……まったく」
「「登下校中は雨とか降らなければ良いのに」」
「……二人してずいぶん勝手な事言ってるね」
「あ、柚起きたのか」
「うん。おはよう」
「おはようは良いけどなんでそこで寝てるの」
槙の布団で寝てた柚が起きた。
繰り返す。槙の布団で寝てた柚が起きた。まぁ流石に掛け布団の上に転がっているが、槙の布団の上で寝ている事がある。ついでに言うと僕の布団の上で寝ている事もある。……僕や槙もたまにやるから柚の事言えないけど。
普段はスキの欠片もない柚でも寝ている間は無防備。槙いわく「猫と同レベル」。
「良いじゃないか。ボクがここで寝てて何か困る事ある?」
「布団の真ん中で寝てられると俺が布団に入れない」
「確かにそれは困るだろうね」
「分かってるなら端に寄れよ」
世間一般から見ると凄い会話をしているように聞こえるが、そもそも僕達三人は同じベッドで寝てたりしたレベルで“幼馴染み”なのだ。
……何が言いたいのか要領を得ないが、かいつまんで言うと“もはや兄弟同然”。故に合鍵も持ってるし、親も何も言わない。
ちなみに、物語でよくある“幼馴染みと恋に落ちる”というのはまずあり得ない。“きょうだい”に恋はしないだろう。……僕達の場合の話なので一概には言えないが。
「というかそろそろ帰らなくて良いのか?そろそろ7時だぞ」
「親には一応言ってきたから大丈夫」
「まぁ流石に夕飯までご馳走になるのは気が引けるからね。その頃には帰るよ」
「あれ、帰るのか?夕飯お前らの分用意してたぞ?」
「いやいやいやいや……」
「じゃあなんで帰らなくて良いのか?とか言ったんだい」
「ボケの一環」




