55.設計する
設計するようです
視点 愀
「…………むう」
……現在、文化祭のクラス展示の製作を進めている。結局クラス展示は射的に決まったのだが、使う銃は手作りらしい。工業高なので納得できなくは無いが、ゴム鉄砲の内部構造を考えなければならないようだ。……その役割を押し付けられた。
正直言ってまったく分からない。どんな構造にすればどう言う可動をするのか。……今一応設計してみてはいるのだが、これで正しく作動するのか不明。誰かに代わって欲しい。
……何故この仕事を引き受けたのだろう?自分の性格がいけなかったのか?頼まれると、強く断る事ができないこの性格が……。……そういえば、槙もそんなふうに拒否があまりできない性格のようだ。周りの槙をよく知る人からは“お人好し”と揶揄されているらしい。……パッと見、性格悪そうなのに実際はお人好しって、どんな層を狙っているんだ?
槙といえば、昨日の槙と樂は凄かった。……見る間に作品が完成していった。どうやら“幼馴染み”という特殊ポジションを利用して呼吸を合わせていたようだ。……おかしい。“幼馴染み”と呼べる者とでもそこまで息は合わないはずだ。それはもう自らが実証済みなので知っている。なのに二人は余裕で成し遂げた。
……もう考えるのはよそう。謎の劣等感に苛まれるだけだ。
ところで内部構造だが一応書き上がったが……正常に動作するだろうか?
「速水ー、設計できたかぁー?」
「……いや」
もう少し詰めたい。しばらく待ってくれ。……と言おうとした矢先。
「お、もうできてんじゃん!ナイスナイス!」
「……え」
……勝手に話を進められた。まだ動く確証は無いというのに。あとで文句言おう。……あとで。
「なんだ、もう上がったのか?」
「…………」
いつの間にか槙が隣に立っていた。毎度毎度瞬間移動するのをやめて欲しい。
「……まだ、正常に動くか分からない」
「まぁ、そんなもんだろ。試作して動くか確認すれば良い訳だし」
「……そう」
確かにそうだ。まずは試作するという段階を踏む訳だから、そこまで根詰める事なかった。……本気でやる事には変わりないが。
「じゃ、俺達はもうやる事ないから帰るわ。またな」
「……応」
槙と樂は帰るようだ。……数分ぼんやりしてから、自分もやる事がない事に気付く。
……帰ろう。
相変わらずマイペースな愀君です




