47.テスト期間でものんびり
勉強しましょうよ……
「う〜……」
「樂、吐きたいならトイレ行けよ」
「そのネタはもういいよ!てか懐かしい!」
「で、どうした?」
「あぁ…うん、お察しの通りだよ」
「吐きたいのか」
「そうそう。いやぁ、さっきから気持ち悪いのなんの――って違うから!」
「じゃあ乗るなよ」
放課後。テストで三限までなのでまだ一時。
例の場所でうつ伏せで転がっている僕に対してボケ始める槙。いつもツッコミだし、たまにはボケさせても良いんだけどさ……。
「分かってて言ってるんだから質が悪いよ……」
「まぁ粗方の学力事情は把握してるしな」
「お互いにね……」
「困ったもんだよ」
槙がカバン漁ってる音がする。今日は何が出てくるのかな?
「で、何の教科で撃沈したんだ?」
「生物……」
「あぁ、ナマモノか」
「そうそれ……ミドリムシ食べる人間なんて居ないよ……」
「いくらなんでもピンポイントは無いな」
「そもそも生態系とか食物網とかどうでもいいし」
「そうもいかないから厄介なんだよな」
「覚えて何になる――」
バサバサバサバサッ!
突如響く羽ばたきの音。敵襲か!?
槙に注意を促そうと目を向けると――
――槙が鳥を集めていた。
「ま、槙?何してるの?」
「鳥集めてる」
「それは見れば分かるかな」
「暇だったから。猫も居ないし」
「あれ、猫どこにやったの?」
「モノみたいに言うなよ。探してみたら木陰で寝てた」
「寝てるの?」
「……確実に嫌われるぞ?」
「読心!?」
猫が寝てる間に触りに行こうとしたのがバレた!?
うぅ……何もしなくてもモテる槙には僕の気持ちなんて分からないさ……。
「あの猫限定だけどな」
「そうだね。……でも、その鳥達は?」
「餌付けなう」
「………………」
槙の手にはパンくずが。という事はさっきカバン漁ってたのはコレを出すためか。
「ていうか槙。君はここの主になりたいのかな?」
「え?なんで?」
「猫だけじゃ飽きたらず、今から鳥を手懐けて、ゆくゆくはここの動物全てを……」
「出来たら楽しそうだけどな?できないからな?」
「なんだつまんないな」
「つまるとかつまらないとかそういう問題じゃないだろ」
そう話してる間にもどんどん鳥は集まってくる。……いや、普通野生の鳥ってこんなに集まらないよね?
「槙、これ過去に何度かやった事ある?」
「ん、何度もあるぞ。猫も気まぐれだし」
「やっぱり……」
「?」
槙……あれ無自覚だ。完全に無自覚でここの主になろうとしている。槙ってこんなに天然だったっけ?それともただ単に動物好きをこじらせただけ?
「だいぶ鳥も馴れてきてるみたいだし……」
「そうか?まだ俺の近くで寝てくれないぞ?」
「君の“馴れる”のハードル高過ぎるよ……!」
「えぇ?」
ダメだ、この槙。早くなんとかするか、別の槙と取り換えないと……。
そもそも槙はここの生態系をどうしたいの?あとここの食物網ってどうなってるの?色々謎なんだけど。
「ていうか君は動物にモテ過ぎだよ!」
「その分人にモテないけどな」
「……えっと」
どう反応すれば良いのやら。確かに槙ってモテないけど。見てくれは悪く無いはずなんだけどなぁ……ん?身内の欲目なのかな?
「……なんか頭痛くなってきた。僕帰るよ」
「おう」
「ここの主になるの頑張ってね」
「いやならねぇよ」
槙の否定を背中に受けつつ、僕は家に帰るべく自転車に乗った。
猫「にゃ」
槙「あれ、起きたのか」
樂「猫っ!」
槙「帰るって言ってなかったか?」




