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高校生達のかなりどうでもいい日常  作者: はんぺん
六月、水無月、June…
45/240

45.槙の一人語り2

槙君が誰にともなく語ります

その2


視点 槙



「雲行きが怪しいな」

「にゃあ」


 例によって、例の場所。ここは居心地が良い。例え天気が悪くなりそうでも。


 ところで猫だが、今日は抱かれている訳ではなく俺の膝の上で丸まっている。可愛い。そしてこの体勢でもなお返事をするあたりもまた可愛い。


 そういえばココを見つけたのはコイツ……いや、コイツの先代に誘われたからだった。


 10年前……いや、多少前後するがそのくらいの頃。自転車に乗れるようになってテンションがフルボルテージな状態になっていた俺は、そこらじゅう駆け回っていた。もちろん、初めの頃は知っている道しか通らなかったのだが、“迷わず帰って来れる”という謎の自信から“探険”に出掛けた。よく晴れた初夏だった。……はずだ。


 とりあえず手始めに知らない脇道に入ってみた。



 迷子になった。



 ビックリする程早い段階で迷子になった。当然といえば当然なのだが。


 路頭に迷った(用法が違うが)俺は、とりあえず帰ろうとがむしゃらに進んでみた。



 周辺が見た事もない場所になった。



 今思えばそこまで長い距離でもないし、一度通れば覚えられる道のり。とはいえ今と10年程前では色々と違う。頭とか、第六感の発達具合が。


 完全に迷った俺は足りない頭でどうすべきか考えた。多分、30分程。もちろん答えなど出なかった。


 諦めかけた時、先代が姿を現した。

 ご覧の通り動物好きである俺なので、その後の行動は単純。帰る事を頭から削除して、いかに猫を撫でるかを考え始めた。


 考えているうちに猫が飽きてしまったらしく、どこかへ行こうとする。現実逃避したい俺は追いかけた。


 今やろうと思ったら相当無理をしないと通れない、もしくはもはや無理な道を通って、最終的にたどり着いたらのがこの場所である。自転車?考え事してた場所に放置だよ。後で回収はしたがね。


「雨、降らなければ良いけどな」

「にゃ?」


 俺の指をかじって遊んでいた猫が素っ頓狂(?)な声をあげる。コイツ無防備過ぎるだろ。柚かお前は。


 その時の先代には結局触れなかった。早々に諦めた俺は全力で帰り道を探し、門限前には家に帰れた。猫を眺めて和み、冷静になれたのかもしれない。教訓。まず猫でも愛でて落ち着け。


 その場所と猫が頭から離れなかった俺は、後日ココを目指した。今の俺なら確実に止める。また迷子になるのがオチだ。


 そして、いらん奇跡は起こる。


 ……いや、必要だけれども。

 何故か、この場所にたどり着けたのだ。その日を境に、この周辺で迷う事は無くなった。


 ここに来られるようになった俺は猫を毎日誘い始めた。そして毎日来る俺に馴れたのか諦めたのか知らないが、猫に撫でさせて貰えた。多分、3週間程だったと思う。個人的な体験から行くとかなり早い。


 それからこの場所の奇異さに気付き始めた。あの建物も発見した。以後、ここに住み着く……もとい、入り浸るようになった。


「先代、あっちで元気にしてるかな」

「にゃー」


 猫がやや小さめに声を出す。コイツ本当に俺の言葉理解してるんじゃないのか?


「お前は元気か?」

「にゃん」

「そうか、それは良かったよ」

「にゃっ」


 気のせいだな。気のせいだ。可愛いから良いじゃないか。


 手を顔の前に持っていくと手でじゃれ始める。警戒心ゼロ。樂や柚が見たら確実に言う。「君はなんでそんなに猫に好かれるのさ!」知るかよ。


 なんだか眠くなってきた。少し、仮眠をとろう。


「じゃあ猫、手であそんでて良いから五時半頃に……30分ほどたったら起こしてくれ」

「に゛ゃっ」


 指咥えたまま喋るなよ。


 そう心でツッコミを入れつつ、俺は眠りに落ちていった。




猫「にゃ~」


槙「ん……あぁ、おはよう――って、雨降ってるし!」


猫「にゃっ」


槙「ちょうど30分だし……」

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