44.暇とか言ってるから……
課題はお早めに……
「槙〜、……あれ?」
放課後。暇だったので槙の部屋に行ってみると、何故か机に向かっている槙が居た。
一体何をしているのだろう。槙が、机に……まさか、なにか良くないモノの精製!?
「槙!」
「なんだ」
「良くないよ、そういうのは!」
「はぁ?」
「法に触れるような事は避けようよ!」
「じゃあ俺は名誉毀損で訴えて良いかな?」
「ごめん」
人の事言えなかった。僕はボケるためなら結構なんでもするからな……槙に訴えられたら勝てない気がする。良い弁護士見つかるかな……?
「で、何を思って法がどうのって言うんだ?」
「いや、槙が珍しく机に向かってたから」
「失礼だよな、それ」
「え、でも槙が勉強とかしてるの見た事ないよ?」
「そりゃ、人が来てる時に課題とかやらないだろ。それこそ失礼だわ」
確かに。
「じゃあ今はなんで?」
「提出期限が明日の、数学の課題あるだろ?」
「あぁ……そんなのもあったねぇ」
「あれやってる」
「うん……うん?」
それだけ?それだけでやるって、どんだけ切羽詰まってるの?
「一つ、聞いて良い?」
「あと21ページ残ってる」
「多っ!ほとんどやって無いじゃん!てか読心!?」
「言いたい事なんて分かる。どれだけ残ってるかだろ」
「そうだけど!思考の先読みまでできるようになったの君は!」
「できたら良いな」
希望形か。ならまだ使えないのか。
「そのへん柚はどうなんだろうね」
「呼んだ?」
「「うわぁ!?」」
ドア(スライド式)から柚がひょっこり顔を出した。いつの間にそこにいたのだろう。今回は槙も気付いていなかった様子。
「言っておくけどボクは読心も先読みもできないよ」
「エスパーなのに?」
「エスパーでもできない事はあるのさ」
「いやエスパーを否定しろよ」
「でもどうせ君達、ボクがエスパーだと言ったら信じるだろう?」
「ああ」
「うん」
「だったらエスパーを名乗っても良いじゃないか。本物のエスパーさんには悪いけど」
「結局違うんだな」
「ふふっ」
なんだろう、この意味深な笑い方。少し怖いよ……?
「ところで、槙が勉強なんて珍しいじゃないか」
「樂にも言われた」
「知ってる」
「知ってるの!?」
「いつから居たんだよ……」
「樂の後ろに付いてこの家に入って来たけど?」
「いや気付けよ」
「面目ない」
いやでも柚に気付くのとか無理ゲーでしょ。10年程一緒に過ごして来た僕が言うんだから間違えない。
「数学で20ページって苦行だよね。明日までに上がる?」
「さぁ?」
「さぁって槙……ていうか、それ出されたの結構前だよね」
「少なくとも一週間は前だな」
「それやってない君が悪い」
「分かってるよ……」
「まったく君って奴は。昔からそうだけど、とことん計画性が無いな」
「少しは僕達を見習ったらどう?」
「できないからこうなってんだよ……」
不甲斐ない槙を柚と二人で弄って遊ぶ。多少槙が可哀想な気がしないでもないが遊ぶ。
……最終的に飽きて帰ったけど。
槙「ふぅ……」
柚「終わったみたいだね」
樂「割りと早かったね」
槙「まだいたのかお前ら」




