33.そういえばそろそろ梅雨に…まだ早いか
雨はそこまで嫌いではありませんが梅雨の季節は嫌いです
「うーわぁーー!!」
「くっそだいぶ降ってる!」
放課後。下校中なう。
現在の状況を一言で。“死ねる”。
雨が酷いったらありゃしない。しかも僕達は自転車。傘なんて差せない。カッパも持ってない。結論。
「急ぐぞおおぉぉぉぉ!!」
「分かったから騒ぐな!近所迷惑だから!」
「うおおおおぉぉぉぉ――ぷっ、ぷふぇっ」
騒いでたら口に!口に!
「口に雨水入ったっ!」
「騒ぐからだろ」
「良いじゃん騒いだって。だいいち――冷たい!?」
「どした?」
「……今度は頭に電線?いや、木?から水垂れてきた」
「ははっ、ドンマイ」
「うるさいよ!ははっじゃないよ ははっじゃ!」
「ははっ」
「くっ……槙にも雨水の塊落ちて来れば良いのに」
「残念だったな。俺には効かん」
そうのたまう帽子持参の槙。毎度思うが、色々どこから召喚しているのだろう?
「なんで君だけ帽子持参なのさ!僕にも使わせてよ!」
「一つしか無い。それを二人で使うと?」
「僕にくれれば良い」
「断る」
「うぅ……柚、君の幼馴染みはひとでなしだよ……」
「お前もそのひとでなしの幼馴染みだからな?」
「僕はそれが残念でならないよ」
「酷い言い様だなぁ」
「否定は?」
「しない」
しないんだ。
もちろんこの辺りの発言はすべて冗談で言っている。幼馴染みな事が残念と本気で言えるような相手と登下校したりゲームや談笑したりしない。その辺は槙も理解しているが故の冗談だ。
「樂も帽子持ってこいよ。これから日差し強くなるし」
「そうだねぇ……でも無理かな」
「なんで?」
「なんか失くした」
「失くしたのかよ……」
「うん。この前登山行った後に」
「それだいぶ前だぞ!?」
「うん。卒業前だね」
卒業前に家族と登山に行った時だ。
どうでもいいが槙が家族と登山に行くと山菜を採ってくる。何故だ。
「てかそれだけ前に失くしたなら買いに行けよ」
「いや、なんか別に必要無いかなと」
「思うなよ。これから暑くなるぞ」
「直射日光がきついだろうね」
「まぁ、別に要らんなら良いがな……」
「とりあえず考えとくよ」
「それが良い」
前方で信号機が赤になる。停止する僕達。
「……雨の日に信号引っ掛かるとか最低だよな」
「まったくだね。ただでさえ早く家に帰りたいってのに」
「しかもさっき変わったばっかだからな……」
「停止時間も長いしね……」
「「はぁ……」」
そろってため息を吐く僕達二人。自転車通学の人は一度は思った事があるだろう。
「信号自分で操れたら良いのに」
「信号機の意味無くなるから」
「僕が我が道を行ける」
「なんて身勝手な」
「良いんだよ!人は得てして身勝手な生き物なんだよ!」
「それは一理あるがな。……と、変わるぞ」
信号が青に変わる。自転車を漕ぎ始める。
「そういえばなんで信号って青って言うんだろうね?あれどう見ても緑でしょ」
「気にするなよ。そんなん言い出した人の勝手だろ」
「なんて身勝手な」
「人の台詞盗るなし。そもそもお前が“人は身勝手なもの”って言ったんだろ」
「でもね槙――」
――――しばし論議―――
「――じゃあ結論は“どうでもいい”で決定だね?」
「異論はない」
と、およそ十分におよぶ論議の結果、人が身勝手なのは最早どうでもいい。もう自然現象の一つだわ という事になった。
「でもあれ緑だよね」
「いきなり話戻すなよ。てかそんぐらい調べろ」
「面倒臭い」
「おい……あ、俺レポート用紙買わないといけないからジャ◯コ寄るわ」
「そう?じゃあ、また明日」
「おーう」
そして僕はこれ以上雨に濡れないように家へ急いだ。
後日
樂「で、その後僕は気分が良くてその辺走り回ってたんだ」
槙「家帰れや」
樂「その時、僕は風になったのさ」
槙「風邪にならなくて良かったな」




