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高校生達のかなりどうでもいい日常  作者: はんぺん
四月、卯月、April…
3/240

3.人の名前は速やかに記憶しよう

樂「誰も居ないから引き出しにイタズラでもしようか」


槙 「まだロクに物入ってねーよ」

 槙とだらだらと駄弁っているうちにちらほらと他の生徒達が登校して来る。そして僕らのように駄弁りだす。他にする事が無いので当然と言えば当然である。

 なんとなく、別のグループの会話に耳を傾けてみる。


「それでさ、その時あいつ何て言ったと思う?」

「えー?なんつった?」

「『俺は(放送禁止用語)を(放送禁止用語)したんじゃなくて(放送禁止用語)を彼女が(放送禁止用語)て(放送禁止用語)して(放送禁―――』」


 理解不能だった。なので自らの意識を強制的にこちらへ引き戻す。僕は何も聞いていない。


「おい、樂。聞いてるのか?」

「――僕は何も聞いていない 僕は何も聞いていない 僕は何も聞――」

「連呼する程俺の声を聞きたく無いと!?」

「――は何も聞いて……え、何?ごめん、何か言ってた?」

「あぁ、そういう訳じゃないのか。って、やっぱり聞いてなかったのかよ」

「うん。さっきまで意識が大海原を超えてたどり着いたまだ見ぬ孤島の北に位置する海岸に居た」

「意識どっか行っちゃってんじゃんよ…」

「貝殻の破片が足に刺さって大変なことになってた」

「お前の意識には足生えてるのか」

「生えてるよ。七本」

「奇数かよ…バランス悪っ」


 槙との会話で先程聞いた台詞を流し去る。ああいう話は人の多い所でするモノじゃないと説教したいが、あんな会話を続けて害を被るのは僕ではないので放置。


「…おはよう」

「あ、おはよう」

「おはよう……ええと、何だっけ」

「楸、コイツ殴って良いよ」

「分かった。顎と鳩尾、どっちが良い……?」

「いやホントすまん!殴らないで!」


 今 僕らの側にスッと寄って来たのは昨日できた友達。速水 楸(はやみ しゅう)。槙が言っていた例の“アイツ”である。今現在分かっている事は口数が少なくてノリが良いという、あまり見かけない類のものである。コミュニケーション能力は低くないだろう。ちなみに、容姿は良い方に入る。


 「はぁ……楸。物覚えの悪い(このバカ)にもう一度自己紹介してやって」

「速水 楸。八月生まれのB型。好きなものは本と晴天」

「えっと、速水愀、ハヤミシュウ…よし覚えた」

「嫌いなものはダニと物覚えの悪い人」

「ダニと同列!?そんなに嫌いなのか!」

「嫌いなものはダニと物覚えの悪い人」

「リピートすんな!」


 追加。愀は雰囲気とは裏腹にボケ体質、と。これは良い人材かもしれない…!


「これでツッコミのセンスも良かったら完璧なんだけど…」

「ん?樂、何か言ったか?」

「え?声に出てた?」

「出てた…」

「うわぁ…」

「何故そこで俺を見る!?」


 余談だが槙も元々ボケ体質である。それが諸事情によりツッコミを余儀なくされていて こうなっている。実際にボケさせてもかなりキレる。そういう面では相当な実力者なのだ。


「何故って…原因が君にあるからだけど」

「俺何もしてねぇし!サラッと冤罪やめろや!」

「…樂はスキル<FC(冤罪)>を発動した。槙は逃れられない」

「何ちょっと中二くさい名称にしてんだよ!あとFCてなんだ!」

「False chargeの略じゃない?」

「…槙はなす術なく死んで逝った」

「死ぬレベルの冤罪!?無実が発覚しても取り返しつかないじゃないか!」

「真犯人は笑っている!」

「とことん最低な犯人だな!あとさっき流したけど“死んでいった”の“いった”って微妙にイントネーション違ったし“逝った”の方使ったよな!?」

「絶望的なまでに気のせい…」

「大体言葉で字の些細な違いなんて分かる筈がないだろう?何を言っているんだ君は」

「反論できねぇ!」


 朝から絶好調である。それが僕らの平常運転。


「てか話迷走し過ぎだろ!元の話は何処――」

「朝のHR始めるぞー。お前ら席に着けー」


 クラス担任出現。そして今日も面倒な授業が始まる――。



 いや、言うほど面倒じゃないんだけどね?



アイツこと愀君の登場です。

良かったね!早めに出れて!

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