22.部活、どうなったの?
そういえばいつだか槙君が何か言ってましたね…
「……」
「……」
放課後。某スーパー。ゲームコーナー。
槙の太鼓の◯人に付き合っていたら、すぐそこの階段を登ってきた奴がいる。誰だろうと思って見ていたらソイツと目が合った。
で、今二人して硬直中。
「……」
「……」
「樂、固まるな。それは幻覚だ」
「……」
「……」
槙のボケを華麗にスルー。ミス。槙にダメージを与えられない。
槙のセリフを無視して依然固まったままの僕と奴。
奴が唐突に口を開く。
「…お前らほんと暇人だな」
「「ありがとう」」
「いや褒めてねぇよ」
硬直を解いて階段を登り終える。
そして僕達を“哀しいものを見るような目”でみる。失礼な奴だな。僕達は残念なものだ。
「…やっぱり太鼓やってんのかよ」
「まぁ、暇だしな」
「その金はどこから出るんだよ…」
「財布」
「そうじゃなくてな」
「で、お前は何しに来たんだ?」
「……いや、うん」
「お前もか…」
どうやら太鼓やりに来たようだ。
一応紹介しておこう。
彼は蔀 紅季。中学の頃同じクラスで仲も良い。学力もそこそこで(槙なんかと比べると)それなりに真面目。癖毛で槙よりも荒ぶった頭をしている。
「旋◯ノ舞天がさ、どうしても不可1出るんだよ」
「はぁ…」
「フルコンできなくてさぁ」
「お前どんだけ暇なんだよ」
「これくらい」
「おい」
槙と太鼓談義を始める。そして僕は蚊帳の外。
一ゲーム終わる頃。時間にしておよそ五分。
「そういや紅季は部活何入ったんだ?」
「んー、美術部。面白そうだったし」
「美術か…」
「樂と槙は?」
「あー、俺達はまだ」
「僕達はね、槙が顧問見つけてこないからまだ部活入ってないんだ」
「そうなんだよ…」
「あぁ、なんか同好会立ち上げるとか言ってたっけ?顧問に向いてそうな先生いないの?」
「一ヶ月じゃ人の適正なんか分からん」
「適正はあんまり関係ない気がするんだ」
「言うな」
槙の適当な性格も相まって未だに部活が始まらない。もう少ししっかりして欲しいものだ。
「で、今度いつ遊べるよ?」
「…俺ん家?」
「そうだ」
「さぁ…とりあえず今週末は無理」
「とことん都合つかないな」
「だな」
「だね」
友達全員の都合がつく日が無くてなかなか遊べない。あるあるかな。
「話戻すけどさ、同好会って…確か和太鼓とか言ってたよね?どうするの」
「そうだったの?」
「テキトーにポリバケツひっくり返して叩けば良いんじゃない?」
「テキトー過ぎるだろ」
「仕方ないだろ。和太鼓高いんだから」
「大体いくら?」
「一尺二寸…36.36センチだな、だいたい。の、長太鼓が15,800円也。安いの見繕ってコレだぜ全く」
「調べたんだ…」
「どこで調べたの?」
「楽◯市場」
「むぅ…」
「その一尺二寸ってどの長さなんだろう」
「径か胴の長さだろ」
「鋲の直径…」
「ねぇよ。どんな巨大さだよ。鋲が36センチあったら面の直径が4メートル半は必要になるだろうが」
「でか…」
でっかいねそりゃ。さぞ響き渡るだろうなぁ。
「でもその4メートル半って数字はどこから出したの」
「一尺二寸の太鼓の鋲を径2センチと仮定して、その比が約12倍。で、鋲が36センチならそこに代入して36かける12で432センチ。少し大きめに取って4メートル半」
「「?」」
「槙…つまり?」
「面倒な計算させるなという事だ」
「計算しなければ良かったんじゃ…?」
「ていうか計算早すぎだろ…」
「馬鹿言うな。計算しなきゃツッコミできないだろ」
「どんな執念だよ…」
「そのツッコミのせいでグダグダだよ」
「お前が変なところ掘り返したからだろ。ちなみに36.36で計算すると436.32になるはず」
どうでもいいよ!
「話戻すぞ。で、それだけ高い代物だから。明らかに部費で落ちるわけない だろ。同好会だし。数必要だし。そこでポリバケツ」
「確かどこかでポリバケツ叩く学校あったよね」
「そうそれ。参考にさせてもらう」
「自由な奴だな」
で、槙。いつ同好会はできるのかな?
槙「あ、フルコンした」
樂「喋ってたのに!?」
紅季「ホント何者だよお前」




