197.槙君が赤い
ええ、赤いです
少し茶色っぽいですが
「………ねぇ、槙」
「なんだ」
いや、なんだじゃないでしょ………。
「腕から、血………出てるよ?」
「そうだな」
そうだなでもないよ………。
「大丈夫なの?」
「さぁ?」
あ、なんかちょっと殴りたくなった。
放課後。僕が例の場所に来ると、槙が血の滴る腕で猫を抱えて座っていた。しかも真顔で。意味がわからない。
「その怪我はどうしたの」
「あぁ。さっきコイツにな」
猫を見る槙。ひっかかれたんだね………。
「珍しいね、槙がひっかかれるなんて」
「ま、事故みたいなもんだ」
「事故?」
「これで遊んでたんだよ」
ビニール紐。縄みたいによじってあるやつ。
「これを振った時に、勢い余った猫のツメがな……」
「なるほど」
「で、今ティッシュないし、ここから動くのも面倒だったから放置」
「いや洗いに行きなよ。何かと思ったよ」
「良いじゃんもう固まってるし」
「見た感じ怖いんだよ!」
「はっはっはっは」
「何がおかしい!」
「…………」
「ちょ、いきなり無言にならないで」
そんな目で僕を見ないで。そんな哀れなモノを見るような目で!
「洗いに行きなよ。怖いから」
「でもコイツいるし」
槙が抱えている猫は思いっきり寝てる。猫としてそれで良いのか。
「猫ちゃんは僕が預かるから」
「なら行かん」
「なんでっ!?」
なんで信用ないの!? いや信用とかそういう事じゃないのかもしれないけど!
「じゃ、俺洗いに行ってくるわ」
「う、うん」
猫を抱えたまま立ち上がる槙。
思考がフリーダムでもうわけわかんないよ。もう好きにしなよ……。




