19.放課後、買い物、エンカウント
槙君はネタに走る
放課後。
「槙〜、これからジャ〇コ寄るけどくる〜?」
「なんかちょっと弛いなお前。…俺はついていっても太鼓の〇人しかやらないと思うぞ?」
「ん〜まぁいいんじゃない?その間僕買い物してるし〜」
「そうか。いいなら行くかな。どうせ暇だし」
文房具で足りない、というか必用そうな物を買いたいので巻き込む事に。どうせ暇だろうし。という訳で僕達は自転車を走らせる。
「ところで、何買うつもりだ?」
「ルーズリーフ〜。なんかそっちの方が楽かなと思って〜」
「あぁ、確かに楽だな。で、なんでお前ちょっと弛いの?」
「全部の教科一つにまとめられるし〜」
「そこデカイよな。しかも後からページの追加もできるっていう。で、なんでお前弛いの?」
「じゃあ行こうか〜」
数分後。ジ〇スコ到着也。
「じゃ、ちょっと行ってくるね〜」
「おーう。で、なんでお前弛いの?」
槙が知名度の高い音楽ゲームに百円投入。人は並んでいなかった。
そして僕は文房具コーナーへと向かう。いつまでも槙に構っていても仕方ない。到着。そんなに遠い訳じゃない。むしろ五十メートルない。
ルーズリーフとファイルの物色を始める。槙はどれ使ってたっけ。なるべくなら被りたくない。どっちがどっちか分からなくなるし。薄いと言っても槙と一緒に勉強する可能性がないとは言えない。
「むっ…き、貴様は…!」
俺がそう思案していると、あの日聴いた忌々しき声が背後から響く。まるで気配を感じられなかった。俺が咄嗟に振り向くと、憎たらしい笑みを浮かべた奴が立っていた。
俺は内心冷や汗に掻きつつ、なるべく平常を装って声を出す。
「よう、奇遇だな。お前もこの地に来ていたのか」
「ふん…此処へ来るは半ば必然。貴様も分かっていただろう?」
「はっ、確かにな。だがこの先にあるモノは断じて渡さない。俺にはどうしても必用なモノだからな」
「ふむ…貴様も所詮は学生…と言う事か…」
「なんだ、分かっているじゃないか。まぁ、そんな訳で俺は引く訳にはいかない。お引き取り願おうか」
「悪いが私にも事情があるんでな。…どうしてもと言うのなら」
奴が静かに構えをとる。認めたくはないが…奴は一度俺を負かした手練れ。こちらにしても、本気を出さなければ勝てる道理はない。俺も慎重に、されど素早く得物を抜いた。
「……………」
「……………」
形容し難い緊張感が辺りを支配する。
…流石というべきか。奴の構えには一分の隙も見当たらない。俺は…勝てるのか?
「……………」
「……………」
そこで奴が口を開く。
「一つ…問おう」
「………なんだ」
奴は静かな構えのまま、純然たる疑問を口にした。
「…楽しい?」
「いや、うん…微妙」
「だろうね…ツッコミ不在だから尚更」
「やっぱり暴走するならストッパーは欲しいね…勝手だけど」
「私がツッコミに回ってもいいけど…私はボケたいし」
「うん…なんで僕達の周りにはボケ体質しか居ないんだろうね?」
柚の参上である。
そこで僕達はザ・中二病の構えを解く。いつまでもこんな事をしていても虚しさと恥ずかしさが募るばかりだ。定規をもとにあった場所へ戻す。
「ところで、樂がここにいるという事は槙もいるよね」
「まぁいるけど」
「どうせ太〇の達人でもやってるんだろうね」
「お察しの通りだよ…」
「本当に太鼓大好きだよね槙。樂は何しに?」
「あぁ、忘れるところだった。ルーズリーフ買いに来たんだよ」
「なるほど。何気に便利だもんねあれ」
「どれ買おうか迷ってるんだけどね。柚は槙の邪魔でもしに行ったら?」
「まぁ見つけたらやるつもりだったけどね」
「あはは、人が悪い」
「それを勧めてくる君も大概だね」
柚と軽く談笑。柚が槙のいる方へ向かったので僕は品定めに戻る。
散々(おおよそ二分)悩んだ結果、槙の色違いにした。槙の色違い…草むらから飛び出した直後光りそうだ。
―――――
――――――
―――――――
「槙。君はネタ性を求め過ぎじゃないかな?」
「ダブルプレイに比べればまだマシだろ」
「似たようなものだよ…片手って」
「難易度は歴然の差だがな」
僕が会計を済ませて槙のもとへ戻ると、あろう事か槙が片手でプレイしていた(もちろんと言うか、鬼)。
「槙…」
「あ、お帰り樂。良いのあったか?」
「うん、あったけど…君、ふざけ過ぎでしょ…」
「なんでだ?」
「片手って舐め過ぎだよ」
「わりと真面目なんだがなぁ」
「わりと…?」
「まぁふざけてるが」
「「結局かよ」」
槙のボケに付き合って柚と僕のWツッコミ。
「もうひといきじゃ、パワーをツッコミに!」
「いいですとも!」
『●Wツッコミ』
「お前らノリノリだな」
槙「で、なんでお前弛かったんだ?」
樂「しつこいよ」
槙「だって気になるじゃんよ…」




