16.連休なのに暇人
私も暇人です
「暇だね〜」
「課題はやったのか?」
「なんでこんなに暇なのかな〜?」
「後で泣きを見ても知らんぞ…」
僕は槙みたいに課題サボらないから大丈夫。槙は正論言っておきながら自分はやらない、が大体基本のスタイル。元のスペックは高いのだけど…その頭、フル活用したら絶対もっと上を目指せると思う。
「しかし、せっかくのゴールデンウィークに何もする事がないって…」
「なんか悲しいね」
「そうだよなぁ…」
「まぁ、休日なんて休むための物なんだから良いんじゃない?」
「気分的な問題がな」
「割りきろう」
自らに言い聞かせる意味も込めてそう言う。
とはいえ本当にする事がない。何か探してみるか。
「じゃあまず引き出しを」
「待て、どうして人の部屋を家捜しするっていう結論に至った?」
「槙の机なら何か面白い物が入ってるって確信して」
「例えば?」
「盗んだ下着とか」
「俺は変態か」
「充分素質はあるね」
「だとしても下着ドロはしないから」
槙が何故か否定する。人は自分がよく見えてないとはよく言ったものだ。
「槙。僕は君の趣味を否定したい訳じゃないんだよ。だけど、法律というものがあってね。さ、隠してるモノをだしてごらん?」
「なんだその“僕は聖人です”みたいなノリは」
「今なら間に合うよ…ね?」
「うわうぜぇ」
「冗談はさておき」
「待て机を漁りにかかるな」
「君の机には鯏が入ってるの?」
「俺の机の中は海岸か?」
「それは誰にもわからない…」
「良い感じに締め括ろうとするな」
遠い目をする僕に呆れたように槙が突っ込む。
「隙有りぃ!」
「もう勝手にしろや…」
槙からお許しが出た。僕は容赦なく鯏…もとい漁りにかかる。
「〜♪」
「ったく…」
報告します!収穫物…
「画用紙、スケッチブック、空のファイル、白紙の大量に入ったファイル、折り紙、筆箱(文房具一式)、ゲームソフトの空箱いくつか、ゲーム機の空箱、何故か工具箱…」
「面白そうな物なんてないだろ」
「……スケッチブックの中身を!」
「何も描いてないかな」
「……」
本当に何も面白くない。槙って奴は…槙って奴は…っ!
「なんてつまらない奴なんだぁっ!!」
「いやぁすまんね」
槙が某連鎖する落ちものパズルゲームで遊びながらテキトーに返答する。
「…暇だねぇ」
「……お前どんだけ暇なんだよ。なんか狩り行くか?」
「ドス〇ャギィ」
「二分あれば死ぬよな?」
「ブ〇ハブラ」
「大型ですらなくなったよ…やる気のなさが滲み出てるな」
「じゃあ特〇キノコ納品」
「まぁ言うと思ったけどな?」
「じゃあ何なら良いんだよっ!」
「俺はやらなくても良いんだがな」
本当に槙はわがままだな!
「暇だねぇ」
「ふーん」
「暇だねぇ」
「そーだなー」
「暇だから誰か呼ぼうか?」
「この狭い部屋にそう何人も入れねぇよ」
「例えばあの娘とか」
「なんで呼ぶ方向で話進めてんた。てかアイツは暇なら呼ばなくても自分から来るだろ」
「確かにそうだね。ていうかよく分かったね」
「ココに来る女子とか一人しかいないし」
「槙モテないもんね」
「そうだな。…ん?ラインが」
『ボク呼ばれたかい?』
「………」
「どうしたの?」
「ほれ」
「……」
「……」
「彼女はエスパーか何かかな?」
「可能性あるな…」
『〜議題〜
お前はエスパーか?』
「それ今議題に挙げる必要あったの?」
「暇なんだろ?」
「あ、暇潰し?」
『ふふっ どうだろうね?』
『なんだその含みのある物言いは』
『もしかすると本当にエスパーかもしれないよ?』
『怖ぇよ』
「…怖いね」
「あり得そうだから困るんだよな…」
『槙も負けず劣らず怖いから安心しなよ』
『馬鹿な。俺のどこが怖いと』
「聴覚かな」
「そんな馬鹿な…」
『聴覚かな』
『なんで樂と寸分違わぬ返答するんだよ!』
『槙「そんな馬鹿な…」』
『エスパーか!』
「あはは、面白いねぇ」
「なんだお前ら!」
もうしばらく槙で遊んでいよう。楽しいから。
あの娘は誰なのか。
それはそのうち。




