13.動物って見てると癒される
皆さんは犬派?猫派?
私は可愛いければどっちでも
とある昼過ぎ。
「…………」
僕は木陰で寝そべっていた。
「…………良い天気だなぁ」
快晴。木漏れ日がチラチラと煌めいている。
勘違いする人がいるかもしれないので追記しておくが、僕は地面に敷いたシートの上に寝そべっている。僕は槙じゃないのでそんなに馬鹿じゃない。
「誰が馬鹿だー!」
「うわっ!?」
突然の槙の声に振り向くと向こうの二階の窓から槙が顔を出していた。
「読心か!?」
「だから読心じゃねーよ!お前色々声に出てるから!」
距離が遠いので自然と声が大きくなる。
「読心じゃないなら地獄耳か!?」
「そーかもなー!」
「……ばーか」ボソッ
「だから馬鹿じゃねーよ!」
「怖いよ!!」
なんでこの距離で聞こえるの?50mはあるよ?
「目が悪い分聴覚が発達したんじゃねーの!?」
「どんな理屈さ!絶対おかしいからその理屈!」
「とにかくー!俺は馬鹿じゃないからー!どっちかってーと阿呆だからなー!」
「いやその捨て台詞はおかしい!」
バタン。槙が“話は終わりだぜイェア!”とでも言うかのように窓をしめる。「なんだイェアって!」………僕は何も聞いていない。
それにしても良い気分だ。訳あってここは車もほとんど通らないし、雑音が皆無に等しい。僕はかなりこの場所が気に入っている。…見つけたのは槙だけど。
ここにいると様々な動物が見られる。特にすることがない時にはこの場所にいる場合が多い。槙共々。
噂をすれば。
「……」
「……」
猫。
たぶん野良。
白い毛並みに左耳の先だけ茶味がかっている。
ここにいると頻繁に見る猫だ。
僕から向かって左前方から右手前へトテトテと歩いてきた。
「……」
「……」
見つめていると猫もこちらに気付いたらしく凝視してくる。
「……」
「……」
どうにもこちらが気になるらしい。こちらを見る→歩きだす→こちらを…以下ループ。一ループ一秒半くらい。
警戒の仕方がすごい。当たり前ではあるが。
「……」
「……」
しばらく進んだ所で止まる。僕との距離、およそ三メートル。
「……」
「……」
しばしこちらを見つめたあと、その場に座る。かわいい。
僕から少し目を離して前足を舐めている。かわいい。
「……」
「……」
またこちらを見る。
どうしてこういう時の動物って寸分たりとも動かないんだろう。その緊張感もまたかわいい。あぁ、ライオンもふもふしたい…。
「……」
「……」
僕達の間に会話はない。僕達の仲に、そんなモノはいらない。
……いや、そもそも会話できないけども。
「……」
「……」
何か言いたげな目でこちらを見る猫。さしずめ“こっち見てんじゃねーよ”かな。
「……」
「……」
「……」
「…にゃー」
にゃーじゃないよ!何なの?君は僕を殺したいの?だけどその前に君をもふもふさせてくれ!
「おい樂、猫見て悶えるのやめろ」
「「…!?」」ビクッ
「思考駄々漏れじゃないだけマシだが」
槙が出てきた。猫と僕が驚いて目をやる。なんと槙は僕のすぐ後ろに立っていた。
「…君は何者だ!?」
「槙だ」
「忍者か!?」
「学生だ」
僕の言葉を適当にあしらいながら猫に近づいていく槙。そんな事したら逃げるから!ていうか猫ちゃん逃げてー!
「何気に酷い事言うよなお前って」
「読心!?」
「逃げてーじゃねーよ。失礼な奴だなお前」
スルーされた。
僕が少し落ち込んでいる間に槙が猫との間合いを詰める。やめろ!猫ちゃんに何をする気だ!
猫ちゃんも槙に歩み寄る。早く逃げてー!
「…にゃー」
「よしよし」
「………!?」
「にゃーん♪」
なんということでしょう!我らが猫ちゃんが槙になついているではありませんか!
「えっ?えっ?どういう事っ?」
「あのな、俺はお前より早い時期からここに来てたんだぞ?」
「えっ?えっ?どういう事っ?」
「落ち着けよ」
猫が槙に撫でられて喉を鳴らしている。逃げるそぶりも見せない。猫ちゃん早く逃げてー!!
「俺コイツが子猫の頃から知ってるから」
「そうだったの!?」
「むしろ先代をしっかり埋葬したのが俺」
「ええっ!?」
「ここに埋めて良いのかよく知らなかったけど」
「じゃあその猫は…」
「なんか知らんがなついてきた」
槙…侮り難し!
槙君は色々読めない奴です
ある意味では愀君以上




