10.いつもの光景
これが彼らの平常運転。
視点 愀
…………………。
「…っ!まさか槙、君 今度は僕のことを“男の娘”とでも言うつもりかい!?」
「言わねーよお前は少し落ち着け」
「槙…やっぱり君はそういう趣味が」
「ねーよ」
今日も平和だな…。
「だいたいね、槙。僕にはそういう趣味は無いって言ってるだろう?目を覚ましなよ」
「だいたいな、樂。俺にはそういう趣味は無いって言ってるだろう?目を覚ませよ」
「いつから君はそんな趣味を持ったんだ?」
「いつからお前はそんな趣味を持ったと勘違いした?」
そう言えば、明日は三キロ走るとか言ってたな…。
「いや、別に僕は同性愛を否定するつもりはないよ?個人の自由だしね。ただ君の趣味に僕をに巻き込まないで欲しいな」
「個人の自由とか今どうでもいい。そしてお前を巻き込んだつもりはない。あとそんな趣味は無い」
もう桜の花も散ったしな…。
「槙。いい加減自分の性癖を認めたらどうだい?」
「そもそもありもしない性癖を認める気など毛頭ないがな」
今年は花見、できなかったな…。
「だいたい何なんだお前は。俺のことをどう思ってるんだよ」
「友達。君みたいに変な目で見たりしてないよ」
「語弊があったか。俺を何だと思ってるんだよ」
………………。
「槙は槙じゃないか。それ以外に君を形容できる言葉は僕が知る限り無いよ」
「間違ってないし否定できないのが癪だな…」
今日は快晴だな…。
「それはそうとアノ件はどうなったんだい?」
「飛躍し過ぎだしドノ件か分からんぞ」
雲一つ無い青空ってこういうのを言うんだろうな…。
「ほら、アレだよ」
「ドレだ」
山並も綺麗に見えるな…。
「同好会だよ。顧問は手配できたの?」
「いや、まだだ。なかなか見つからなくてな」
………………。
「まんまりモタモタしてると切り捨てるよ?」
「入学直後で勝手が分からないんだよ」
最近なんか風強いな…。
「そんな勝手がどうとかどうでもいいじゃない。いつもの調子で突っ込めよ」
「無茶振りすんな。あといつもの調子ってなんだ」
急に気温上がってきたしな…。
「いつもの調子はいつもの調子だよ」
「これで平常運転だ」
一昨日なんて雪降ってたのに…。
「ほら、赤フン一丁で両手に扇持って踊」
「やったこと無いどころか見たことも無いわ」
三寒四温どころじゃないな…。
「人のセリフを途中で遮るのは良くないと思うよ」
「どうせ下らない事言うんだからどうでも良いだろう」
今日なんて二十五度超えてるしな…。
「それよりも始めの話に戻そうぜ」
「何だっけ?」
…今日も平和だな…。
愀君は意外とぼんやりしているようです。




