足跡
あるポルトガル語で書かれている物語を、私なりに訳して詩にしてみました。
どこまでも続く道を、若者と老人が並んで歩いて行く。
道には二人分の足跡が残されて行く。
あるとき若者が、今まで歩んできた道を振り返った。
そこには二人分の足跡と、ときに一人分の足跡が残っていた。
若者が一番辛い時には、一人分の足跡しか残っていなかった。
若者は隣を歩いている老人に聞いた。
「何故、私が一番辛い時にあなたは隣にいてはくれなかったのですか。」
すると老人は若者の質問に対して、こう答えたのだった。
「若者よ。足跡が一人分しかない時は、私が君を背負って歩いたのだ。決して君を一人にしていないのだよ。」
若者は老人の言葉を黙って聞いていた。
老人は、こう言葉を紡いだ。
「私はどんな時でも君の見方だ。君を裏切る様なことはしない。それが、家族というものだよ。」
例え、どんなに辛くて逃げ出したくても。
周りの誰もから非難され、罵られても。
誰からも信じてもらえず、孤独になっていても。
親だけは、家族だけは絶対に裏切らない。
だから、信じてみてもいいんじゃないのかな。
その愛情に。
その絆に。




