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ゆっくりと
走って、走って。
小さな石につまずいて、転んでしまった。
そこから立ち上がれなくなって、泣いた。
泣いて、泣いて。
涙をぬぐって、振り返ってみた。
そこにはいたはずのたくさんの人達が、もう見えなくなってしまった。
周りを見回しても、誰も見当たらない。
探して、探して。
やっとみつけた。
だけどそれは、予想していたことではなくて。
その人は、こう言い残した。
「ゆっくり、もっとゆっくりとここにたどり着いて。」
そして、見えなくなってしまった。
ゆっくりと、ゆっくりと。
焦らずに生きていこう。




