~Chocolate~ -甘くも切ない物語-
私がこれから語る話は、ある一人の漫画家を目指す少年の切ない恋の話だ。
漫画家の少年は、いつも絵を描いていた。休み時間になると決まって、絵を描く道具を取り出して描いていた。私はそんな姿を眺めていた。ある日、少年が相談をしてきた。それは、ある少女のことだった。少年は、その少女のことが好きになってしまったようだった。私は話を聞き、色々アドバイスなどをした。そしてその少女とメールで会話をしていると、少年に聞いた。私は、おそらく見たことがあるだろう。彼が話すことによると、可憐な少女らしい。私は、この恋が実るといいと思った。
ところが少年は、早まってしまい少女と音信不通になってしまう。落ち込みながらも漫画家を志す者らしく、漫画を描き続けた。そして、着実に実力を積んでいったのだ。
月日が流れ、季節が暖かくなった頃。彼は、様々な場所に漫画を持っていくようになった。だんだん、漫画家らしくなってきていた。だが、あの可憐な少女への想いは変わらなかった。時が経つにつれ、傷は癒えていったのだが。少し未来に彼にとても、嬉しくなることが起こる。
ある日。彼が自転車で、川岸を走っていたときのことだった。自転車を止めて、川岸の方へ彼は歩いていった。途中で足を止めて、その場に佇んだ。川辺には、山吹色の絨毯が広がっていた。その花の名前は花菱草、別名カリフォルニアポピー。花言葉は、和解。少年は空が赤く燃えるような時間まで、その花を眺めていた。
数日後のこと。少年のところに一通の手紙と、白い花束が届けられた。差出人は、あの少女だった。手紙には感謝の言葉と、友達からやり直して欲しいという内容が書いてあったのだと、彼は言ってくれた。少年はとても嬉しくなった。そして、もう一度初めからやり直し始めたのだった。
彼は気付いてないようだが、彼女が贈った花束は全てホワイトレースフラワーだった。この花の花言葉は、感謝。
偶然に偶然が重なり、必然になったようだった。彼は、花菱草
ハナビシソウ
を見て、その花言葉通りの事が起きたのだった。
彼女は、彼にホワイトレースフラワーを送った。私だったら、アイリスを送るだろう。何故なら-