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1.この世界のこと

「なんなのこの世界は……私はなんでここにいるの……?」


「深く考えるな、俺たちも似たようなことを考えたが答えは見つからなかった」


「似たようなこと……?もしかしてザビメロも別のところから来たの……?」


「そうだ、俺だけじゃなくここにいる連中は皆別の世界からやってきた」


困惑するリゼリアにザビメロは現状を説明する。


「人だけじゃない、この世界は基本的にこの荒野と不気味な空と変な岩しか存在しない、だが代わりに別の世界から人や物や場所なんかが際限なく流れてくるみたいでな、俺たちはそれらを総称して『流されモノ』と呼んで利用しているんだ」


「流されモノ……場所が流れてくるってどういうこと?」


「振り返ってみろ、お前がいたダンジョンもその流されモノだ」


リゼリアが振り返って今居た場所を見ると何もない荒野に蜃気楼の様な歪んだ入り口だけが存在しており、その入り口からはあの地面や岩壁が仄かに赤く光る不気味な洞窟が顔を覗かせていた。


「へぇ……こんなことがあり得るんだ」


「こいつはかなり特殊なタイプだがな、こんなので驚いていたらここじゃやっていけない、ほらついて来い」


そういうと男が歩き出し、リゼリアもそのあとをついていく。


しばらく歩いていると何やら金属製の大きな籠のようなものが置かれており、その中に何が白いものが無数に飛んでいるのが確認できた。


「これは?生き物なの?」


よく見ると飛んでいるものは白い紙きれのような物体で、先ほどザビメロが怪物に押し当てた白いカードに似ていた。


「こいつについて説明するのは手間だな……とりあえず言っておくとこいつは俺たちにとって必要なものなんだ、だから一纏めにして管理しているとだけ覚えとけばいい」


「ふーん……」


興味なさそうにリゼリアが相槌を打つと、そのまま通り過ぎて本来の目的地である『コロニー』へとまた歩き出す。


「見えてきたな、あれが俺たちの拠点『コロニー』だ」


「おお、こんな場所なのに街はちゃんとしてるんだね」


そこにあったのは、荒野の真ん中とは思えないほど高度に発達した都市だった。


遠くからでも分かる高い壁は表面に紋章が浮き出ており、そんな壁より高いビル郡も内部には存在していることがここからでも見えた。


しかもそんなビル郡の中でも頭ひとつ抜けて高いタワーがあり、それの頂上の周りを環状の建築物が浮遊しているその様相は、さながらSF作品の未来都市のようだとリゼリアは思った。


「コロニーは俺たちにとって大事な所だ、この世界では各地にあるコロニー以外で生きれる場所はほとんど無いと言っていい」


それだけ言うとザビメロは再び歩き出した、まだ質問したいことがあったリゼリアは、勝手に進んでいくザビメロに少々ムッとした表情を向けながらその後をついて行った。

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