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寝る前の妄想です。
青春とはなんだろうか。
夢のために汗水垂らしてスポーツに精を出すことだろうか。
恋という幻覚に囚われなんの取り柄もない相手への性愛に夢中になること?
10年立てば何してるかもわからない友達のようなものと放課後にダラダラと喋ること?
大学受験のために机に齧り付いて勉学に勤しむことだろうか。
おそらく彼、彼女たちにとってはコンビニの前にたむろい16歳にしてタバコを吸う。
このような犯罪行為も青春になってしまうのだろう。
思い出というなのフィルターを通して美化され加工されまくった瑞々しい若い頃の純粋な青春を一生胸に抱えて人は生きていくのだ。
その証拠に40代30代になって人生に見切りをつけ諦めたものたちは「若い頃」を宝物のように話す。
だからだろうか。自分自身が宝物のように思っている時期の自分はきっと輝いていたことだろうと、楽しい毎日を過ごしていたことだろうと信じて疑わないのだ。
そんなことはない。次の日の学校が憂鬱で夜遅くまで死んだ目でゲームをする毎日を過ごしていたに違いない。
彼、彼女らが胸にしまって大切に育てた青春は何重にもフィルムを通して作り出された空想で、幻覚で、己の理想を追求したファンタジーなのだから。
睡眠時の夢のように、ふわふわと曖昧な記憶に心地良く浸かっているのだ。
そしてその物語は恐ろしくも地球上に78億ある。
何者かであろうと努力する彼、彼女たちが綴る青春という名のファンタジーはきっと髪の毛のように一度ブリーチされて鮮やかで美しいものに染まっているのだろう。
そんな汚い欲望のつまった美しい物語の一部をほんの少しだけのぞいていこうではないか。