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31.おっさん、凛の変化に戸惑う

 スキル玉を手に入れてからダンジョンの探索速度が早くなった。


 弱い魔物であれば魔力をたくさん吸収して、強い魔物に遭遇した時は雷属性を付与する。


 それだけで戦力の差が格段に変わった。


 そこで俺達に高難易度の依頼が来た。


 "ハイオークの睾丸"をできる限り集めてきて欲しい。


「ハイオークってオークの上位種だよな?」


「私が調べたサイトでもそうやって書いてました」


 スキル玉のおかげでどんどん攻略が進むと、ハイオークに遭遇することが増えた。


 それを知ったのか、前のオークの睾丸大量ドロップ事件から俺達に依頼がきたらしい。


 個別の依頼は普通のドロップ品回収より、数十倍近くのポイントを手に入れることができる。


 早速ハイオークを何体も狩り続けたが、オークの時のようにハイオークの睾丸をドロップすることはなかった。


 出てくるのはハイオークの鼻などの普通のドロップ品ばかり。


 オークの時と何が違うのかと思って様々なことを検証した。


 その結果、こんな状況になっている。


「はい、次の方いきますね」


『ブヒィ♡』


 凛は大きく鞭を振るってオークに威嚇する。


「お前らちゃんと働けよ。豚の分際で私を見るなんて死んで詫びろよ」


『ブヒイイイィィィ♡』


 するとハイオークは自らハイオークの睾丸に姿を変えてドロップ品になる。


 オークの睾丸をドロップした時、それは彼らが興奮が絶頂になった時に倒すということだった。


 ただ、オークの上位種であるハイオークはそうではなかった。


 己から命を絶つことで、女王様に睾丸を捧げる。


 そうすることでハイオークの睾丸が手に入った。


「はい、次のオークお願いします」


『ブヒィ♡』


「いや、さすがにこれは間違って――」


『ブヒイイイィィィ!』


「すみません」


 俺が止めようとしたら、ハイオークが怒って止めてくる。


 ただ、オークとは違って殴るモーションをするだけだ。


 思ったよりも知性があって礼儀正しいだろう?


 中には俺にも蔓を渡してくるやつもいる。


 少し性癖が変わっているのだろうか。


 そもそもハイオークの睾丸を集めて欲しいってのは、花田からの依頼でもある。


 今までハイオークの睾丸は、数回だけドロップされた記録がある。


 ただ、その効能もあまり判明されておらず、きっとオークの睾丸よりも効果が高いと言われている。


 全く反応がなかった股間が10代のようになり、髪の毛がない人がロン毛になる。


 そんな都市伝説があるぐらいだ。


 全世界のおっさん達の運命を俺と凛が握っていると言われれば引き受けるしかなかった。


「凛大丈夫か?」


「ははは、おめえもこの鞭で打ちつけて欲しい……いや、すみません」


 段々と感情が出てくるようになった凛もついにバグるようにもなってきた。


 アーティファクトのお医者様はいますかー?


 と心の中で叫びたくなってしまう。


 ただ、様々な凛を見ることができて、少し嬉しい気持ちもある。


 表情豊かな姿を見ると、本当にあの時の凛に会っているようだ。


「これで全部ですか?」


「ああ、お疲れ様!」


 長蛇の列になっていたハイオークも気づいた時には、睾丸の山になっていた。


 二度目となれば回収の手際も早くなる。


 袋に小分けして鞄に入れていく。


「今日こそ美味しいレストランを予約したから行こうね」


 この間も結局、凛の希望でいつものラーメン屋に行くことになった。


 だから今度こそは思い出のレストランを予約して、ご馳走を食べることにした。


『ブヒイイイィィィ♡』


 やっといなくなったハイオーク達も、時間が経てば虫のように湧き出てくる。


 奴らはゴ○ブリと同じだ。


 一体いたらたくさんいると思え。


 そんな勢いで奴らはどこかしらから、凛の鞭を求めて走ってくる。


「さぁ、有馬。もう一狩りするわよ」


「ああ」


 違う意味でどこか頼もしい凛に俺は何とも言えない気持ちになった。

「大変申し訳ないんですが、ガチャを引くには★★★★★が必要で……」


「それじゃあもらえないわよ?」


「ならどうすれば?」


「下僕達、私のために★を課金しなさい?」


 凛はアーティファクトである鞭を振り回した。


「凛がどんどん変わっていく……お前達のせいだからな! レビューも書けよ」


 俺は配信を終えた。

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